闇金にスマホ(タブレット)を渡してしまった際の対処方法
闇金では状況によってスマホやタブレットを渡せ、などと言われるケースがあります。
では、なぜ闇金側はそのようなことを言ってくるのでしょうか?
そこで今回はこの闇金とスマホ(タブレット)につきまして、闇金とスマホ(タブレット)の関わり方・対処法などにも触れながら解説致します。
目次
闇金にスマホ(タブレット)を渡してしまうことの経緯
闇金にスマホ(タブレット)を渡してしまうことの経緯として、審査(信用度のクリア)・融資の担保や利息を待つ代償などといった口実をつけてくることが挙げられます。
審査(信用度のクリア)・融資の担保
審査(信用度のクリア)
闇金によっては「うちの融資条件としてスマホ(タブレット)を渡してもらうこと、複数所有していない場合は新規契約して渡してもらうことがあります」と口実をつけて、スマホ(タブレット)を要求するのです(一般的な優良貸金業者では全く考えられないような融資条件です)。
そして担保を何か用意できますかと尋ねられ、融資申請側が提案した担保対象がことごとく否定され「担保としてスマホ(タブレット)を渡してください」と迫ってくるのもあります。
また他のケースとして「あなたはブラックリストに載っているので融資致しかねます。ただスマホ(タブレット)を渡してもらうことによって、こちらでブラックリストからの削除と融資が可能となります」という口実もあり得ます。
利息を待つ代償
闇金から一度融資を受けて、利息の支払いが追い付かなくなった方が闇金から「利息の支払いを数日待ってあげるからスマホ(タブレット)を渡してください」と求められる場合もあります。
闇金がスマホ(タブレット)を欲しがる理由
ここでなぜ闇金がスマホ(タブレット)を欲しがるの?と疑問に思った方もいらっしゃるでしょう。理由として一言でいえば、警察の追跡を避けられるようにするためです。
警察は闇金の情報を基に追跡・捜査を進めようという方針で動きますが、電話番号が次から次に変わると追跡が著しく難しくなる・直近で対象としていた闇金の追跡が無理に近くなるといった事態につながります。
全うな生活をしている方からみると「こんな口実のつけ方普通あやしいと思うでしょ」という感じにもなりますが、闇金から資金調達せねばならない方は精神的に追い詰められている傾向もあります。
それゆえ、闇金がいうことがいかにも正しいかのような心理状態になるのです。
闇金にスマホ(タブレット)を渡してしまうことのリスク
携帯電話会社への詐欺罪と信用を失う可能性
闇金からの要求に応じて、自分名義で契約したスマホ(タブレット)を闇金側へ渡す(郵送する)と携帯電話会社への詐欺罪になってしまいます。
知らず知らずのうち(故意ではない)とはいえ闇金による要求という事情が公になっていないうちは、携帯電話会社が被害者・契約者が加害者という状況が成立してしまいます。
こうなってしまうと闇金による要求という事情・契約者が事実上冤罪であるという事実が携帯電話会社へ立証される・しっかりと信用されるという状態にならなければ、別機会で契約者が当該携帯電話会社のサービスを申し込む際の障壁となりかねません。
これらのリスクだけにとどまらず、電話契約者(闇金被害者)は理屈上犯罪者になってしまいます。それゆえ最悪の場合、逮捕されるという危険性が否定できません。
犯罪に加担してしまう
自分が契約したスマホ(タブレット)が闇金に利用されるということは、闇金による貸金業法に反した返済催促電話に利用される可能性もあるということです。
つまり自分が契約したスマホ(タブレット)が犯罪に利用され、犯罪に加担してしまう可能性まであるということです。
料金請求がくる
スマホ(タブレット)を利用するのは闇金でも、契約者は自分自身(闇金被害者)なので自分に料金請求がくるわけです。数千円から1万円程度の料金ならまだマシですが、額が数万円から10万円程度になると悲惨です。
携帯電話不正利用防止法とは?
詐欺罪とは別の法律違反
自己名義のスマホ(タブレット)を携帯電話事業者に無断で譲渡するのは、携帯電話不正利用防止法違反に該当します。
携帯電話不正利用防止法
携帯電話などの販売時には、契約者の本人確認及び記録の保存と管理が必要となります。本人確認は、運転免許証など身分証を示すことによって行われます。
このような手段で、犯罪などに携帯電話が不正に利用されるのを防止できるよう制定された法律です。
この法律によって闇金側が自分たち自身でスマホ(タブレット)を調達するのに限界が生じ、業務進行に支障が出て闇金被害の抑制につながるわけです。
しかしながら闇金側の巧妙な手口によって闇金被害を抑制するための法律で、別の犯罪発生・闇金被害者の二次被害にもつながるという懸念も危惧されているわけです。
闇金にスマホ(タブレット)の送付手続きをしてしまった直後の措置
配送手続き後すぐの場合
配送手続き後すぐに譲渡(配送)してはならなかった・する必要性はなかったというのに気づいた場合、すぐに配送会社・配送連絡先に連絡をして止めてもらうよう伝えるのが大切です。
そして購入した販売店や携帯電話会社に事情を説明して、契約したスマホ(タブレット)が使えないように通信を止めてもらう段取りも必要となります。
闇金にスマホ(タブレット)を渡してしまった後の対処法
司法書士の方や弁護士の方へ連絡・相談
配送手続き後数日たって恐らくもう対象のスマホ(タブレット)が闇金業者に渡ってしまっただろう場合は、なるべく早く闇金対処に強く実績がある弁護士や司法書士の方へ相談となります。
渡してしまったスマホ(タブレット)を取り返すというのは、至極困難・無理というのが予想されます。
しかしながら渡してしまったスマホ(タブレット)が違法融資はもちろん、融資以外の様々な犯罪に利用されてしまうとします。
こうなるとスマホ(タブレット)の契約者である自分自身(闇金被害者)まで最悪の場合、逮捕という可能性すら否定できません。
販売店や携帯電話事業者との交渉
自分は知らないうちに犯罪に加担している・自分自身が犯罪者になってしまっているかもと気付いた時には、まずスマホ(タブレット)がこれ以上利用されないようにと販売店や携帯電話事業者に急いで連絡する方もいるでしょう。
しかしながら著しく混乱し「闇金にだまされてスマホ(タブレット)を送ってしまいました、すみませんが今すぐにとめてください」と伝えても、スムーズに正確に販売店や携帯電話事業者へ事情・状況が伝わり難いのも予想されます。
このような場合弁護士や司法書士の方に相談すれば、携帯会社との交渉を代わりに落ち着いて的確に行ってくれる可能性があります。
警察での弁護
仮に実際自分が契約したスマホ(タブレット)が犯罪に利用され、警察から出頭要請があるとします。この場合でも弁護士や司法書士の方に弁護してもらえ、厳重注意で済む可能性もあります。
被害者を支援する会の存在
ひこばえの会
ひこばえの会は、1983年(昭和58年)10月12日に発足しました。長年、多重債務問題などに取り組んできている団体です。大まかな取り組み内容としては、サラ金・闇金被害の救済です。
闇金による被害でKDDIへの申し入れ
同会から闇金による不当な要求による被害を防ぐために、KDDIへ申し入れがなされました。
賠償や契約に関する旨
闇金被害者が闇金側の不当な要求によって、auショップにて通信機器を購入・契約へと至るとします。この場合闇金被害の状況に鑑み、次の2点がリクエストされました。
- 損害賠償請求・違約金の支払い請求は控える
- 申し込みの撤回・契約解除を認める
闇金要求による購入・契約を防ぐ旨
auショップにて購入者・契約希望者の年齢・状況(職業など)・使用用途を鑑み、複数契約・2台目3台目契約が不適切ではと懸念される場合があるとします。
このような場合、購入者・契約希望者に闇金被害や詐欺被害にあっていないか十分確認し、もし被害にあっていると考えられる場合は、販売しない旨をauショップおよび従業員などに周知徹底してほしいという内容も盛り込まれています。
申し入れの背景
闇金からauショップが指定されていた
同会への相談者にauショップで携帯電話を新規契約して渡すよう、闇金側から指定されて実行している方が多くみられる事情がありました。
自己破産を検討せざるを得ない方がいる
携帯電話機種代金・通信料金・違約金などを契約者(闇金被害者)が負担したものの、支払えていないケースがあります。
そして当該相談者は別で銀行からの借り入れもあり、弁護士・司法書士に相談し自己破産の申し立てを行わざるを得ない事例まで出てきています。
割賦販売法第35条3の12
何らかの商品販売で、通常必要とされる分量を著しく超える商品の販売契約がなされた場合があるとします。
この場合割賦販売法第35条3の12にて、申し込みの撤回や解除を認めることが規定されています。
これらの被害状況・法律の存在といった事情によって、警察の捜査・対応だけではカバーしきれない部分もあり上記のような申請がなされました。
まとめ
以上闇金とスマホ(タブレット)について述べてきました。一番大きな点としては、スマホ(タブレット)を闇金へ無償譲渡することは詐欺罪や携帯電話不正利用防止法違反になり得るということではないでしょうか。
たとえ配送手続きが済んでいても、まだスマホ(タブレット)が配送されておらず配送を止められるうちなら最低限必要な措置は自力でも可能です。
しかしながら、スマホ(タブレット)が闇金側へ渡ってしまっては自力での対処がとても難しいので、なるべく早く弁護士の方・司法書士の方への連絡・相談が不可欠といえます。