総量規制で闇金を利用するリスクと多重債務の解消法を解説
総量規制をオーバーする借入があるけれど、資金を調達する必要があるという方の中には闇金の利用を検討する方もいらっしゃるかもしれません。しかし、すでに収入の3分の1以上の借入がある状態で、超高金利の闇金から借入をするのは大変危険です。
今回は、総量規制の概要と総量規制で闇金を利用するリスクについて説明すると同時に、多重債務に陥った時の対処法、闇金を利用した時の対処法についても説明しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
総量規制の概要
総量規制とはどのようなルールなのでしょうか。以下では総量規制の概要について説明します。
収入の1/3以上の借入を規制する法律
総量規制は、個人が貸金業者などから借り入れる際の総額を年収の3分の1以下に規制する法律です。2006年の貸金業法の改正時に公布され、2010年6月に完全施行されました。
借入の総額ですので、複数の貸金業者を利用している場合は、全ての借入の総額に適用されることになります。融資の申し込みがあった際、貸金業者は信用情報機関に照合を行い、申込者の借入状況を調査することが義務付けられています。
総量規制の目的
総量規制は、消費者の返済能力を超えた借り入れを規制すると同時に、貸金業者による過剰な貸付を抑制することを目的としています。近年、社会問題にもなった多重債務者問題を解決するために設けられました。
全ての貸付に適用されるわけではない
総量規制は、主に消費者金融からの借入やクレジットカードのキャッシング等について適用されるものであり、全ての貸付について適用されるわけではありません。
総量規制の対象外となる貸付は、主に3つに分類されます。
①総量規制が及ばない業者からの貸付
- 銀行、信用金庫、信用組合、労働組合などからの貸付
総量規制は貸金業者を対象としているため、上記の機関からの借入については総量規制の対象となりません。
②総量規制の適用除外の貸付
- 住宅や自動車の購入を目的とした貸付
- 高額医療費のための貸付
- 不動産、有価証券を担保とした貸付
- 売却予定不動産の売却によって返済される貸付
上記のような貸付については、総量規制になじまないものとして総量規制から除外されています。
③総量規制の例外となる貸付
- 利用者のみに有利な条件での借換え
- 借入残高の段階的な減少を目的とした借換え
- 配偶者と併せた収入の3分の1以内の貸付
- 事業者の利用目的を事業資金とした貸付
上記の貸付は、消費者の保護に支障がないため、総量規制の例外として扱われます。しかし、総量規制の例外となる借入についても借入残高に計上されますので、総量規制の基準を超過した場合、その後は総量規制の対象外となる(①~③に該当する)借入しかできなくなります。
総量規制の影響
2006年に改正され、2010年に完全施行された貸金業法では、総量規制以外でも上限金利の引き下げなども行われました。
しかし、この改正によって生じた過払い金の返金請求による収益悪化などで、貸金業者の倒産が相次いだこともあり、貸金業会は全体的に縮小したといわれています。また、総量規制により新たな借入ができなくなった消費者が、違法な闇金業者に流れているという指摘もあります。
総量規制で闇金を利用するリスク
上述した通り、総量規制のために正規の貸金業者から融資を断られた方の中には、闇金利用に踏み切る方も存在するといわれています。しかし、総量規制をオーバーする借入がある状態で、さらに闇金から借入れることにはリスクがあります。以下では、総量規制で闇金を利用するリスクについて説明します。
闇金を利用するリスク
総量規制をオーバーしていなくとも、闇金を利用することにはリスクが伴います。闇金利用のリスクとして、主に以下の4つが挙げられます。
①超高金利
闇金はよくトイチといわれるように、大変な高金利です。法定金利の上限は15~20%ですが、闇金の利息は10日で1割(トイチ)ならまだ低い方で、10日で3割や7日で2割と定めている業者も存在します。10日で1割を年利にすると365%、トサンなら1095%を超えます。このような高金利では、返済するのは難しいでしょう。
闇金の金利については以下の記事で解説していますので、詳しく知りたい方は併せてご参照ください。
②強引な取り立て
返済が滞った際、闇金は強引な方法で取り立てを行います。昼夜を問わず利用者の携帯電話に電話をすることや、FAX、自宅まで来てはり紙や暴力行為を行うこともあるといわれています。闇金の取立ては、債務者と債務者の自宅だけでなく、勤務先や家族など周囲も含めて標的となります。
闇金の強引な取立ての手口については以下の記事で詳しく説明していますので、併せてご参照ください。
③人間関係に悪影響を及ぼす
闇金の取立ては大変なストレスとなります。前述した通り、債務者の周囲にまで取り立てが及ぶため、周囲の人間との関係がうまくいかなくなることも多いようです。闇金利用によって、離婚や絶縁に至るケースや、会社を辞める羽目になるというケースも珍しくありません。
闇金利用によって家族が崩壊してしまう流れについては、以下の記事で解説していますので、詳しく知りたい方は併せてご参照ください。
④犯罪に巻き込まれる
闇金に返済できない場合、銀行口座や携帯の名義貸しを要求されることがあります。しかし、携帯の名義貸しや口座の売買は犯罪です。もし闇金業者に捜査が入った場合、あなたも犯罪グループの一員として警察の取り調べを受ける可能性があります。
このように、闇金を利用することは多大なリスクがあるのです。
借金がある状態で借金をするリスク
総量規制をオーバーしている方には、さらに借金がある状態で借金をすることに対するリスクがあります。
毎月少なくない額の返済をしている所へ、さらに闇金の超高金利の返済もしなければいけなくなるのです。給料を貰っても返済金を支払った後には、ほとんど手元にお金が残らないという状況になってしまうのではないでしょうか。
返済できなくなるのは時間の問題
総量規制の上限ぎりぎりの返済をしながら、闇金の返済をすることはまず不可能でしょう。最初は何とかなったとしても、いずれ立ち行かなくなるのは目に見えています。
返済が滞るようになれば、上述したような取り立てが行われるようになり、経済的のみならず精神的にも追い詰められることになります。このような最悪の状況に陥らないためにも、総量規制で正規の貸金業者を利用できないからと言って、闇金から借りることは止めましょう。
多重債務に陥った時の対処法
総量規制になる方の多くは、複数の貸金業者から借入をしており多重債務に陥っていると考えられます。多重債務に陥ると、常に返済に追われる状況になるため、返済資金の調達目的に闇金利用にまで追い込まれやすいといわれています。以下では、多重債務で返済が難しくなった時、どのように対処すれば良いかについて説明します。
借金総額を把握する
複数の貸金業者を利用している方の多くは、日々の返済に追われるあまり、自分の借金の全容を把握していない方も多いのではないでしょうか。新たな融資の審査に通らなかったことで、総量規制いっぱいまで借入があると思う方もいらっしゃるかもしれませんが、総量規制は法的なルールであり、貸金業者には各社独自の審査基準を設けています。そのため、融資審査に通らなかった、イコール総量規制を超えた借入があるというわけではありません。
借金の総額を把握するには、各社の契約書などを確認する方法もありますが、残額などをまとめて知りたい場合は、以下の信用情報機関に問い合わせてみることをおすすめします。
- 全国銀行個人信用情報センター(KSC):銀行、銀行系クレジットカード会社、農協、信用組合、信用金庫等が主に加盟
- 株式会社シー・アイ・シー(CIC):クレジットカード会社、信販会社等が主に加盟
- 株式会社日本信用情報機構(JICC):消費者金融、信販会社等が主に加盟
貸金業を営む業者は必ず、上記のいずれかの信用機関に加盟することを義務付けられています。この情報機関の個人情報に延滞等の情報が記載されることを、俗に金融ブラック、ブラックリストに載ったなどといいます。
上記の信用機関に照合を行うことで、自分の信用度を知ることができると同時に、どこの会社からいくら借入があるかも知ることができます。
おまとめローンに借換えをする
おまとめローンは、複数の貸金業者からの借金を一本化することで、月々の返済額を軽減し、完済を目指す返済専用のローンです。月々の返済額を軽減とあるように、一般的な消費者金融やカードローンなどより低く金利が設定されていることが多いのが特徴です。前述した通り、おまとめローンは総量規制の対象外になるため、もしオーバーしていても審査に通る可能性があります。
おまとめローンには、月々の返済額が少なくなる、月一回の返済になるため管理がしやすい等メリットも多いですが、審査に通りにくい、完済まで時間がかかる等のデメリットもあります。
債務整理を行う
多重債務で返済が難しい場合は、債務整理を行うことも検討してみてはいかがでしょうか。債務整理を行うと一定期間、信用情報に事故情報が記載されるため、新規の借入ができなくなる等、デメリットもありますが、今ある借金をリセットすることができるという大きなメリットがあります。債務整理には、自己破産・任意整理・個人再生といった種類があります。いずれの方法を選択するかは、専門家に相談して決めると良いでしょう。
依存症が原因の場合
借金の原因がギャンブルや買い物のし過ぎなどである場合、依存症の可能性があります。おまとめローンや債務整理などで借金を整理したところで、原因が依存症である場合、また借金をしてしまう可能性があります。その時の借入先は、正規の貸金業者からはすでに借入ができない状態ですので、闇金を利用することになってしまうでしょう。そのような事態を防ぐためにも、カウンセリングや治療を受けることをおすすめします。依存症の相談機関等について詳しく知りたい方は、以下の厚生労働省のページを参考にしてください。
参考サイト:依存症対策(厚生労働省)
闇金を利用した際の対処法
もしすでに闇金を利用してしまった場合は、速やかに法律の専門家に相談することをおすすめします。
闇金問題は警察にも相談可能ですが、警察が扱うのは基本的に刑事事件のみであり、闇金問題は一般的に民事事件として扱われるため、積極的な働きかけはあまり期待できません。せいぜい、業者に電話をかけて取り立て行為を止めるよう注意をする程度の対応にとどまるため、闇金も取り立てを即時に辞めることはありません。
闇金対応を専門とする法律の専門家に対応を依頼した場合、即日に業者に対し介入を通知し、もし闇金が従わなければ法的措置を取るため、一般的に1~3日程度で取り立てを止めさせることができるといわれています。
まとめ
今回は、総量規制の概要、総量規制で闇金を利用するリスク、多重債務に陥った時の対処法、闇金を利用した時の対処法などについて説明しました。
総量規制で闇金を利用することは、資金問題を解決するどころか泥沼化させるだけですので、絶対に止めましょう。返済のため生活が苦しい場合は、おまとめローンに借り換えをして返済計画を立てる、もしくは債務整理を行うことで、まず多重債務から抜け出すことを考えましょう。
もしすでに闇金を利用してしまった場合は、速やかに法律の専門家に相談して問題解決することをおすすめします。
我々ジェネシスWESTは、借金問題に詳しい司法書士と元警察官が協力して、闇金トラブルに対応する司法書士事務所です。相談は無料で、着手金については後払い・分割払いにも対応しています。闇金業者からの借金でお困りの方は、一人で悩まずにぜひ我々へご相談ください。