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闇金が主婦をターゲットする理由と借りてしまった場合の対策方法

相談・解決

債務整理をしたことがある、延滞をしたことがある、といったことが原因で信用情報事故情報が登録されている、いわゆる金融ブラックの状態になっている場合は、正規の貸金業者からお金を借りることができません。このような時に「ブラックOK」というような誘い文句で融資を申し込んできた人に対して高利で貸付を行い、過酷な取り立てをするのが闇金です。

実はこの闇金に主婦が狙われるケースが少なくありません。この記事では、主婦をターゲットにした闇金の実態と、闇金から借金をしてしまった際の対処方法について解説します。

闇金の概要

まず、そもそも闇金というものがどういうものなのかを知りましょう。

闇金とはどのようなものか

闇金というと「高利貸し」「過酷な取り立て」というイメージを持っている方が多いと思います。当然こうした業者も含まれますが、広い意味では貸金業が守るべき法律を遵守せずに違法な貸付を行っている業者をいいます。

貸金業者は、貸金業法・出資法といった法律を守る義務があります。しかし、闇金は「トイチ」と呼ばれる用語に代表される、出資法に規定されている上限金利に違反する貸付を行います。また、強引な取り立てを行う・登録を行わないなど、貸金業法に則さない形で営業を行うのが闇金です。

借りた時の法律上の構成

では、この闇金から借入をした場合、法律上はどのように扱われるのでしょうか。この点については最高裁が、違法な利息はもとより貸付けられた元本そのものも民法708条の不法原因給付にあたるため返済する義務がないとされています。

闇金業者への返済義務については以下の記事で詳しく説明していますので、深く知りたい方はご参照ください。

なぜ主婦がターゲットになるのか

この闇金から借入をする方の中には、主婦が多く含まれていることをご存じでしょうか。主婦は闇金のターゲットにされやすい存在といわれています。

そもそも主婦は専業である場合には収入がなく、兼業の場合でも非正規などで働いていることが多く収入が少ないケースが多いです。貸金業法では総量規制(収入の3分の1以上の借入はできない)というルールがあるため、主婦が正規の貸金業者から融資を受けることは難しいという事情があります。もし主婦が急に夫に内緒でお金が必要になった場合、外で働く・パートから正社員になる等の手段で収入を得て対処することは、様々な事情から難しいことがほとんどです。そこに目を付けたのが闇金です。

闇金側からすれば、主婦は夫の収入を当てにできる上、いざとなれば風俗などで働いて返済させればよいと考えるため、主婦は格好のターゲットといえるのでしょう。

最近の闇金の特徴

ドラマや小説などフィクション作品のイメージから、家に押し掛けられる・暴力の被害に遭うといった心配をしている方も多いかもしれません。しかし、最近の闇金はそのような行為を行うことはほとんどありません。最近の闇金は、携帯電話でできることのみを行い、顔を見せないという特徴があります。

つまり、本人や親族・会社に対して電話で督促を行うことや、ピザや寿司の宅配を頼む、救急車・消防車の手配をするといったいやがらせは行いますが、直接訪問するようなことはしません。その理由としては、法改正もあり闇金に対する警察の対応や刑事罰が厳しくなったことから、逮捕されやすい刑事事件に該当する行為を避けていることが考えられます。また、顔を見せず携帯電話のみで取引を行えば足も付きません。

闇金が使用する携帯電話にしても銀行座にしても裏で手に入れた他人名義のものですので、万一、警察に捜査されることがあっても、携帯や口座が停止される程度で逮捕されることは避けられます。
そうした事情から、嫌がらせをするにしても電話でできる行為のみに終始するのが、最近の闇金の特徴といえます。

主婦が闇金から借りるとどうなるのか

闇金業者の過酷な取り立てによって、主婦がどのような目に合うのかについて説明します。

返済のために風俗に勤める方もいる

主婦が闇金から借入をする際には、ほとんどの場合夫の勤務先を聞き取られます。これは、返済が難しくなった際に、「返済できなければ、夫の勤務先に押しかける」と、脅しをかけるためです。

脅された方の中には、思い余って風俗で働き始める方も珍しくありません。風俗は短時間で比較的まとまった金額を稼ぐことができるため、借金に追われた女性が流れ着くことは多いようです。
しかし、風俗に勤めることで、家族に知られずに闇金へ完済できれば良いですが、家族にばれた場合は、信頼関係が失われ離婚に発展する可能性が高いです。また、ばれなかったとしても、金銭を得られることで気が緩み、さらに借金を重ねてしまうというケースもあるため安易に選ぶべきではないでしょう。

自宅に怖い人が押しかけてくるようなことはない

自宅に怖い人が押しかけてきて、性行為を強要される・暴力行為を受ける、といった事を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、上述したとおり、そういった行為をすれば、足がついて闇金組織ごと逮捕される可能性あるため、闇金業者が自宅に押し掛けてくる恐れはほとんどありません。

夫の勤務先に督促が入ることで離婚に至るケースも

現実に一番多いのが、返済できなくなり夫の勤務先に督促をされるケースです。
妻の借金を知らなかった夫からすれば寝耳に水でショックな上、勤務先にも迷惑が掛かります。配偶者に内緒で借金をしていた場合、借金の存在が相手にばれてしまったことが原因で離婚に至るケースは珍しくありません。ましてや、それが非合法な闇金からの借入であり、勤務先に督促が来たとなれば、夫の心証は最悪でしょう。

闇金に返済できなくなった時の対処法

では、闇金に返済ができなくなってしまった場合には、どのように対処すれば良いのでしょうか。

警察に相談

闇金について、貸付自体が犯罪である、という事なのであれば、「警察に相談をして逮捕してもらえば良いではないか?」と思う方もいるかもしれません。確かに、警察では生活安全課などで闇金対応を取り扱っています。しかし、これは残念な事ですが、闇金に関しては逮捕が難しい上に、警察でも「お金を借りている人」という意識で接するため、あまり積極的ではない警察が多いのが現状です。

そのため、捜査をする義務を負わない被害届なら受けても、捜査をする義務を負う告訴状の提出については、いろんな主張をして受け取らないような運用がされています。理解のある警察であったとしても、実際には目の前で闇金に電話をしてくれる程度で、家に帰ってしまえば闇金からの電話が鳴りっぱなし…ということも珍しくありません。

しかし、それでも警察に闇金相談をしたいという場合は、以下の記事で警察に闇金相談をする際の手順を詳しく説明していますので参考にしてください。

無視しても問題は解決しない

返済できなくなった時、「無視していれば連絡が来なくなるのではないか」と期待する方もいらっしゃるようです。携帯に督促の電話が入るだけなら着信拒否設定にすることや、いやがらせの宅配や通報に関しても業者に事情を話すことで乗り切れるかもしれません。しかし、主婦が闇金から借入をしてしまった時、最も狙われる連絡先は夫の会社や実家です。

夫の会社に闇金から督促が入るようになっても、夫自身は被害者であるため、会社側からクビにするようなことはできないという表向きの建前はあります。しかし、こうした場合、実際には目には見えない様々な圧力がかかり、会社を辞めざるを得ない状況に追い込まれることは珍しくありません。自分の借金問題から夫の失職にまで発展しかねないのです。

もし、こうした件があった後で離婚することになれば、離婚の原因を作ったとして慰謝料の請求を受けかねません。さらに、子の養育権を争って裁判になるようなことがあれば、通常なら母親側に有利といわれていますが、闇金とトラブルになって迷惑をかけた過去があればそのことが考慮され、夫側に親権を取られてしまうかもしれません。

そうならないためにも問題を放置せず、きちんと解決に向かったアクションを起こす必要があると認識しましょう。

返済しても問題は解決できない

解決策として、夫や両親・兄弟などに事情を話してお金を用立ててもらい返済する、という解決方法を考える方もいるかもしれません。完済してしまえば問題解決だろう、と思われるかもしれませんが実はこれが一番危険であるかもしれません。

お金を支払うと、闇金業者は「脅せばお金が取れるのだ」と考えます。闇金業者は、取れるところからは最大限にお金を引き出そうとする特徴があります。そのため、一度支払ってしまうと、完済した後でも、延滞金や手数料を請求されることや、勝手に振り込んで来て利息を請求する「押し貸し」といった様々な口実で、次から次へと請求してくる可能性があります。お金を支払ったが最後、骨の髄までしゃぶりつくそうとするのが闇金なのです。

法律の専門家に相談をする

最も闇金問題の解決に近い行動を取ることができるのは、弁護士・司法書士といった法律の専門家です。弁護士・司法書士は債務整理問題の一環として、闇金の問題にも取り組んでいます。ただ、通常の債務整理であれば、貸金業者に対して債務整理として法律の専門家が介入をすれば、貸金業者は督促をしなくなる運用になっているのですが、闇金がそのような事を考慮するわけではありません。

法律家に闇金対応を依頼した場合、あなたに代わって交渉を始めます。法律の専門家は、闇金が違法な手を尽くして手に入れた他人の銀行口座や携帯電話をストップすることができるので、この時点で手を引く闇金も少なくありません。

しかし、法律の専門家が介入をしても電話攻撃を止めない業者もいます。その場合、法律家は直ちに闇金が使っている携帯電話・銀行の口座を凍結する手続きを行います。携帯や銀行口座を止められれば、さすがの闇金業者も攻撃をやめます。その期間はだいたい3日程度です。ですので、うまくいけば即時に、すくなくとも3日程度で事態は解決にするでしょう。

闇金問題は借金に起因することとはいえ、相手が犯罪者との交渉になるため、債務整理を標ぼうしている事務所でも、取り扱いに温度差があります。債務整理と同じように費用を分轄で行って、きちんと闇金問題と向き合う事務所もあれば、闇金問題を取り扱っていませんと表立って言うような事務所、闇金問題も扱ってはいますが一括で費用を入金できる方のみとなっています、というように事実上依頼できない状態にしている事務所など様々です。

闇金問題に真摯に向き合っている事務所であれば、費用を分轄にして依頼しやすくなっていることが多いです。

闇金問題は解決後にも注意が必要

法律の専門家に依頼することで闇金問題が解決したとしても、それだけで終わりではありません。以下では、闇金問題の解決後に気を付けることについて説明します。

銀行口座は解約しておく

闇金からの借入に利用した銀行口座については、できれば解約しておきましょう。法律家に依頼することで、闇金問題を解決したとしても、闇金はあなたの口座の情報や関係者の情報を持ったままです。このような場合、口座に勝手にお金を振り込んで、取り立てを行う「押し貸し」をされる可能性があります。勝手に振り込まれたにもかかわらず「貸した」という主張がなされ、取立てをされます。それが夫に知られた場合、実際には申込をしていないにも関わらず、「また闇金を利用したのか…」と誤解をされ、信頼を大きく失うことになりかねません。

しかし、仮に情報が残っていたとしても、口座が解約されていれば押し貸しはできませんので、闇金との取引のために使った口座は閉じてしまうのが得策です。

携帯電話などの連絡先も変更する

同様に携帯電話の連絡先の電話番号も可能な限り変えておきましょう。督促については思い出した頃に闇金の組織のボスに言われて1度くらいはかけてみる、という程度でかかってくる可能性がありますが、これは無視をしておけば良いです。

しかし、闇金を利用したことがある電話番号であると把握されていますので、忘れた頃に「お金を借りませんか?」といった勧誘の電話がかかって来る可能性が高いです。また、夫の携帯番号等も「またあなたの奥さん借金をしていますよ」というような電話を入れて、お金を騙し取ろうとするようなケースもありますので、変えてもらった方が良いでしょう。

主婦が闇金を頼らずに資金を調達する方法

闇金を利用する危険性について知っていたとしても、現実にお金が必要になる事態もあるかもしれません。そのような場合でも、闇金を頼らずに資金を調達する方法を知っておきましょう。

不用品を売却する

資金が不足した時、フリマアプリなどを利用して不用品を売却してみてはいかがでしょうか。引き出物で貰った食器やもう着用しない衣類、普段使わないブランド品や家電、雑貨や本など換金できるものは身の回りにたくさんあるのではないでしょうか。
手間がかかる割に大した金額にもならないだろうと考えている方も多いと思いますが、意外なものが意外な高値で売れることもありますので、資金が必要な時は試してみても無駄ではないかもしれません。

また、手先が器用な方の場合は、ハンドメイド品を作って売るという手段もあります。技術と材料費が必要ですが、在宅かつ隙間時間でできるためハンドメイド品販売は主婦の副業に適しているといえます。

生活福祉資金貸付を利用する

生活福祉貸付は、日常生活を営むのに必要な資金を貸し付ける厚生労働省が行う制度で、市区町村の社会福祉協議会の窓口から申し込むことができます。生活費・医療費・住居の確保といった最低限のもののみならず、教育・就労のための技能取得といった将来に向けての必要な費用について、保証人が立てられる場合は無利息で、保証人がいない場合でも低金利で借り入れができます。

この貸付は信用情報を参照してするものではないため、信用情報に問題があり一般の借入ができない方であっても融資を受けることができます。ただし、「緊急小口資金」として借入れる場合を除き、入金まで1ヶ月以上時間がかかることもあるため、必要になることがあらかじめ分かっている場合は早めに相談に行くようにしましょう。

参考サイト:生活福祉資金貸付制度(厚生労働省)

年金担保融資貸付を利用する

65歳以上の高齢の方や障害(精神障害を含む)をお持ちの方で障害年金を受けている方の場合、年金担保融資貸付制度を利用してはいかがでしょうか。一般的には年金を担保にした貸付はできないことになっていますが、唯一の例外が独立行政法人福祉医療機構による年金担保融資貸付です。保健・医療、介護・福祉、住宅改修、冠婚葬祭、生活必需物品の購入などの支出のために一時的に小口の資金が必要な場合にのみ利用できます。

年金を担保にした貸付けで、返済金は年金から直接差し引かれるシステムとなっています。こちらも信用情報を参照しないため、金融ブラックの方でも利用することが可能です。
申請は独立行政法人福祉医療機構代理店と表示された年金受取口座のある金融機関で行うことができます。借入の際には、使用用途が適切であるか等の審査に1カ月以上かかることがあるため、必要になることが分かっている場合は、早めに申請するようにしましょう。

参考サイト:年金担保貸付事業(独立行政法人福祉医療機構)

※年金担保融資貸付は令和4年3月末で受付申込終了となっていますのでご注意ください。

まとめ

今回は、闇金の概要、主婦が闇金から借りるとどうなるのか、闇金に返済できなくなった時の対処法、闇金問題の解決後に注意するべきことについて、主婦が闇金を頼らずに資金を調達する方法などについてお伝えしてきました。

専業・兼業問わず、主婦が自ら働くことで収入を増やすことはハードルが高い上、出資法の改正による総量規制により、主婦が正規の貸金業者から借入れを行うことは難しいです。このことが、主婦が闇金のターゲットにされやすい背景となっています。

闇金を利用してしまい、支払いのために風俗で働いたことや、返済が滞り夫の会社に攻撃されたことで、離婚に至るというケースは珍しくありません。そういった事態を避けるためにも、闇金を利用してしまった時は、早めに法律の専門家に相談して解決するようにしましょう。

我々ジェネシスWESTは、借金問題に詳しい司法書士と元警察官がタッグを組んで闇金トラブル対応に取り組んでいる司法書士事務所です。
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