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闇金対策法について効果的な活用方法や自治体との取り組みを紹介

相談・解決

近年社会現象となっている問題の一つに、闇金問題があります。自己破産した・ブラックリストに載っている・銀行や優良貸金業者からお金を調達できない方が、よくないとはわかっていても苦渋の決断で闇金を利用するケースがあります

こうした状況で弁護士連合会からの意見書提出もあり、闇金対策法が制定されました。

しかしながらこの闇金対策法につきましては、聞いたことはあるような気がする・どんなことなの?といった傾向も否めません。確かにこの闇金対策法に興味がある方とは、闇金業者そのもの・士業者・闇金被害者といった方くらいで高い認知度があるとは言い難いです。

そこでこの闇金対策法につきまして、法律そのものの簡単な内容・地方自体の取り組みなども含めて話を展開していきます。

闇金対策法とは?

闇金対策法制定により、貸金業について幾分か規制などが改正されました。

貸金業登録制度改正

貸金業登録の審査にて、次の項目が改正されました。

  • 申請者などの本人確認が義務化
  • 人的要因(反社会勢力の排除)の強化や財産的要件の追加
  • 各々の営業店に主任者を設置すること

上記項目により、今まで以上に厳格な審査がなされるようになりました。

罰則が著しく厳罰化

法外な金利貸付け・無登録営業に関する罰則が大きく厳罰化されました。そして法外な金利を要求する行為そのものも、罰則対象として扱われることとなりました。

  • 無登録営業:5年以下の懲役・1千万円(法人の場合1憶円)以下の罰金
  • 高金利違反:5年以下の懲役・1千万円(法人の場合3千万円)以下の罰金(※)

※出資法で決められている貸金業者の上限金利(年29.2%)を超過する利息の貸し付け契約を行った場合

法律違反広告・勧誘行為の規制

無登録業者の広告・勧誘行為に対して罰則が行われるようになりました(新設された罰則:百万円以下の罰金)。

違法取り立て行為への規制補強

貸金業法に違反する行為への罰則が強化されました。貸金業法の項目例を示します。

  • 妥当的な理由がない夜間の取り立て行為
  • 勤務先など自宅以外への電話連絡や訪問
  • 第3者以外への弁済要求など

罰則強化内容:2年以下の懲役・300万円以下の罰金(無登録業者の行動も罰則対象となります)。

「年109.5%を超過する利息での貸付契約の無効化」

登録業者・無登録業者を問わず、年109.5%を超過する利息での貸付契約があったとします。この場合当該契約は無効であり、利息を支払う必要は一切ありません。

闇金対策法成立の背景

闇金営業の実態

①法外な高金利

無登録・登録有(特に無登録において)の貸金業者において、出資法の上限金利を大幅に上回っている業者が多数存在します。

②高圧的な催促連絡

支払いが遅くなった場合・大幅に滞った場合に、電話で怒鳴り散らす・脅迫のようなものの言い方をします。

③反社会勢力の資金源

闇金被害者から送金されたお金が反社会勢力の資金源にもなっています。

闇金融が存在し続ける原因

①需要がある

一般的な感覚からすれば、闇金から資金調達する感覚が理解できません。しかしながら資金がどうしても必要ながら、まともな融資先の当てはすべて回りきったけどダメだったという方がいます。そしてちょっと数万円借りるだけで、次の給料で完済できるしといった感覚で借りる方もいます。このように需要があるのです。

②短期で大きく稼げる

需要がある・大きな利息という状況が要因で、闇金業者からみたら都合が良く大きく稼げるビジネスなのです。

③摘発が思うようには進んでいない

警察による闇金摘発が無くはないものの、思ったようには進んでいない現実があります。

総合的な闇金対策法の必要性

借りる側・返済が滞る側に全く非がないとは言い切れないものの、やはり強く闇金から一般市民・住民を守る法律が必要です。

貸付契約が無効化

そもそも法外な高金利利息の場合、契約そのものが無効となるという法律があれば良いのではないでしょうか。以上のような意見が日本弁護士連合会などといった法律機関から寄せられ、闇金対策法の策定・成立へと至ったわけです。

闇金対策法成立後の変化と活用法

闇金対策法成立後の変化

闇金対策法成立により闇金業者・闇金被害は減少傾向にあり、国民の血税が投入されている国会で議論され成立した効果が発揮されています。

活用法

①闇金対策法に沿っているか否かチェック

会社の経費調達をある貸金業者へ頼もうかと検討中だけど、闇金業者・優良でない貸金業者か否か不安な場合があります。このような場合、闇金対策法と照らし合わせて違反項目があるか否かで判断材料の一つになります。

②闇金予防

もし会社や家に、見慣れぬ金融業者からの郵便物・書類などがあるとします。その場ですぐに誰のものなのかはわからなくても、中身を見て闇金対策法の項目と照らし合わせます。もし闇金対策法に明らかに当てはまっている・当てはまっているのではという点があれば、すぐに無料相談先へ電話するなど早めの対策につながりやすいです。

③闇金相談に活用

もし既に闇金からお金を調達してしまい、今から対策をするという場合にも活用できます。契約内容・闇金側とのやり取り・闇金側によって起こされた事実や現象などと照らし合わせて、闇金対策法と違反した項目があれば整理・メモしておきます。こうすれば相談先への電話連絡・相談先へ行った際の話・対処手続きが、スムーズに正確に進みやすいです。

闇金対策と地方自治体の取り組み

組織結成

ある県では当時の知事の発案で、闇金対策が本格的に発動しました。まずは組織が結成されました。組織構成の中には次のような機関などがあります。

  • 県、県警
  • 財務局事務所
  • 弁護士会・司法書士会
  • 商工会
  • 消費生活センター
  • 貸金業協会など

情報の集約

対策会議の構成メンバーが受けた相談における闇金情報が、対策会議の事務局へ送られることとなりました。闇金情報は次の事柄などです。

  • 業者名
  • 住所・電話番号
  • FAX番号
  • 口座番号
  • 口座名義人など

そして集約された情報は構成メンバーへ送られ、情報が全体で共有されるというシステムです。

離職防止策

闇金から勤め先への連絡により、支払いはもちろん・離職せざるを得なくなった方がいます。これを防ぐために県の経営者団体に対策会議の構成団体が記された通知が送られ、会社代表に対して闇金問題への把握・認識・理解が求められました。希望する相談者にはこれが配布され勤務先に提出するよう促され、離職防止が図られました。

闇金業者そのものへの措置

まず、県警と財務局を除く対策会議の構成団体の名前が記された、警告通知が作成されました。この警告通知はもちろん闇金業者への通知ですが、この通知を闇金被害者ももてることとなりました。これにより闇金被害者が、勇気をもって毅然と闇金業者に立ち向かえるよう図られました。

上記内容をはじめ、他の内容も検討されました。

闇金予防のカウンセリング

日本貸金業協会では闇金対策そのものはもちろん、闇金利用を防ぐカウンセリングもなされています。

「相談例:相談者:40代男性」

悩み概要 浪費癖のある妻に、複数の借金・借金歴があるから何とかしたい
浪費の内容と原因 妻は毎日のように外出し友人との交流費や、これに伴う洋服代・貴金属類の購入で多額の出費をしていました。妻は友人からの誘いを断れない性格でした。

当初相談者は妻がこれらに費やすお金は、自分の収入から支出していたものと考えていました。ところが実は消費者金融から借金をしていたのです。

カウンセリング内容 根本原因:外出が多いこと

対策:外出を今までよりは減らす。以前は今ほど外出していなかった。

対応内容①:妻が今ほど外出していなかった時の生活内容を聞き取り

結果:夫婦の会話が今より多かった(旦那さんが仕事で多忙になってきて、会話が減った)

対応内容②:旦那さんに「家ですこしはじっとしろ」「誘いに応じて外出ばかりされては困る」と頭ごなしに否定するようなことはいわず、かつ旦那さんの協力(会話)が不可欠である旨が説明されました。

カウンセリング後 夫婦の会話が以前より増え、無理なく自然な流れで妻の外出が減りました。結果的に妻による家計の支出は減り、借金癖も改善されました。

上記のような、その他の相談もなされています。闇金対策はもちろん大事ですが、お金を必要以上に使う原因への対処も大事ですね。

闇金対策における今後の課題

闇金対策における今後の課題として、闇金業者撲滅のための規制法律作成・闇金被害者をもっと効率的に救済する方法の考案も重要です。この一方でお金・お金を使うということ・借金に対する教育意識へも、焦点が向けられる必要があります。確かに小学校・中学校・高校などで経済に関する学習内容はあっても、お金・お金を使うということ・借金に対する学習はあまり見られません。

  • お金の価値観
  • 借金とはどういうことなの?
  • 利息とは?
  • 闇金とは?
  • 闇金を利用した時の悲惨な状況とは?

上記に関する内容が、道徳・闇金や借金について教えることの悪影響にも配慮しながら義務教育・高等教育の中でもっと指導される必要があるのではないでしょうか。そして「どうせ2万とか3万とかだし、次の給料で完済できるし」といった、借金・闇金に対する薄い危機意識が芽生えないような教育方針も求められます。

まとめ

以上闇金対策法について述べてきました。様々な話が展開されましたが、重要な点として闇金対策法は闇金被害者を救うために大きな力になるという点です。他にも地方自体の取り組みや、貸金業協会によるカウンセリングなども大きな力になってくれます。

闇金利用防止のための防止策として・利用してしまった時の闇金への対抗策として、平穏な生活を維持できるよう・取り戻せるよう対策法を御利用ください。