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家具リース金融とは?闇金の悪質な手口や逮捕事例、利用者の対処法

闇金の手口

「自宅にある家具を担保にしてお金を借りたい」
「家具リース金融の手口やリスクが気になる」

自分が所有している家具を売却して、お金を得る方法の1つとして家具リース金融があります。売った家具をリースとして使い続けることができ、一時期はリース金融の利用者が多くいました。

ただ、家具リース金融は闇金業者が行っていることが多く、利用者が損しやすいデメリットもあります。本記事では家具リース金融の仕組みやトラブル時の対処法について解説します。

家具リース金融とは

リースとは業者から必要な設備などを借りて、毎月決まった金額を支払う契約方法です。一般的に会社が事業のためにリース契約しますが、個人向けの家具リース金融もあります。

家具リース金融では利用者は家具を借りるのではなく、所有する家具で資金調達できるのが特徴。そしてリース契約を結ぶことで家具を手放す必要はなく、今までと同じ生活を続けられます。

一方、闇金が家具リース金融として営業していることが多く、リース契約で業者とトラブルになりやすいです。悪質業者による家具リース金融の手口について詳しく見てみましょう。

チラシやビラで集客

家具リース金融が人気を集め始めた頃はインターネットがあまり普及していませんでした。そのため当時の悪質業者はお金に困っていそうな人が集まる場所にチラシやビラで宣伝。

「お宅にある家具をすべて現金化します」「リース契約だから売った後も家具を持てます」などの売り文句で人々に勧誘しました。そして業者は電話番号からのお問い合わせを待ちます。

そして家具リースを利用したい人から連絡がきたら、名前や住所などを聞いて業者が対応。利用者が買い取ってほしい家具を確認するため、連絡後に業者が利用者の自宅に訪問します。

利用者から家具を買い取る

悪質業者は利用者から家具を買い取るために、まずは実際の家具を査定します。業者がチェックするポイントは家具に価値があることと、利用者にとって家具の必要性が高いことです。

買い取る商品の価値が高くなればなるほど、利用者に渡せる買取価格も大きくなります。また、買い取る家具が生活に必要なものであるほど、業者は高い金額で査定する傾向です。

なぜなら、業者は家具を買い取った後にリース契約を結ぶため。

必要性が高い家具を失いたくない利用者は毎月の支払いを守ろうとするので、業者が安定した利益を得やすくなります。

家具リース金融を利用する人は経済的に貧しく、失った家具を新しく買うハードルは高いです。リース料の支払いを催促するために、必要性の高い家具の買取価格は高くなります。

利用者にリース料を請求

利用者が業者の提示した買取価格に納得したら、次に利用者は業者とのリース契約を結びます。リースにより利用者は売却した家具を持つことができ、以前と変わらない生活を送れるでしょう。

そして契約で決められたタイミングに利用者は業者にリース料を支払うことが必要です。もしリース料を支払わなければ、悪質業者から生活に必要な家具を差し押さえられます。

生活するためには家具が必須である以上、利用者はリース料の支払いから逃れることはできません。実際に数万円で売却した家具のリース契約により30万円以上も支払った人がいました。

(4)継続リースや買取を要求

家具を売った利用者と悪質業者とのリース契約が終了したら、業者は利用者に継続リースや売った家具の買取を要求します。たとえ契約期間を満了しても家具が自分の物になるとは限りません。

「契約が終了すればリースアップで家具を持てる」と思う人は多くいるでしょう。ですが契約方法によってリースアップの有無は異なり、悪質業者が所有権を引き渡さない場合が多いです。

そして家具を持ち続けるために業者から買い取ってしまうと、利用者は今まで支払ったリース料の分だけ損します。闇金がお金を融資して高額な利息を請求するのと本質は同じです。

闇金によるリース金融の逮捕事例

家具リース金融は闇金と同じく違法な融資であり、過去には悪質業者が逮捕された事例もいくつかあります。

あなたが知っておくべき闇金業者によるリース金融の逮捕事例は次の3つです。

  1. リース業者を装って貸金
  2. 1億円超の利息を利用者から徴収
  3. 闇金に名義貸し

それぞれの逮捕事例について詳しく見てみましょう。

リース業者を装って貸金

2003年10月22日、福岡県警は出資法違反などによりリース会社の経営者と元従業員を逮捕しました。摘発されたリース会社は家具リース契約を装って利用者に融資していたのです。

経営者と元従業員は2002年から2003年にかけて福岡市内の高齢者などに数万円を貸付。そして家具などのリース料を名目に法定利息の約33倍もの利息を請求しました。

リース契約を結んだ350人以上の利用者から約3,000万円を徴収していたことが推測されています。

参考:https://news.a902.net/a1/2003/1022-41.html

1億円超の利息を利用者から徴収

2018年2月7日、福岡県警は貸金業法違反などの疑いで自称無職の容疑者ら3人を逮捕しました。容疑者はカーリース業を装った闇金融を経営していて、法定金利の約10倍もの利息を利用者に要求。

福岡県や佐賀県、熊本県などで約600人の利用者に合計9,000万円を融資して、利息だけで約1億7,000万円を徴収しました。

そして2015年から2016年頃に佐賀県の高齢者など3人に約52万円を貸し付けて、合計56万円の利息を受け取った容疑が逮捕につながったのです。

家具リースだけでなくカーリースにおいても闇金業者が悪質な手口で儲けていたことが分かります。

参考:https://smc-110.com/%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B9%E8%A3%85%E3%81%84%E3%83%A4%E3%83%9F%E9%87%91%EF%BC%9D%E5%88%A9%E6%81%AF%E8%A8%88%EF%BC%91%E5%84%84%E5%86%86%E8%B6%85%E3%81%8B%EF%BC%8D%E7%A6%8F%E5%B2%A1

闇金に名義貸し

2010年7月21日頃、神奈川県警は出資法違反などの容疑で「オートリース」の元経営者と、貸金業法違反で土木作業員の容疑者などを逮捕しました。

元経営者などは豊島区で闇金業を営業して、2007年から2010年の間に9,000円の法定利息を上回る8万円を徴収。また、土木作業員から借金返済の代わりに名義貸しを指示しました。

昔から続いている企業であっても、名義貸しなどにより闇金が違法営業する場合があります。もし手続きしている業者に違和感があるときは契約を避けることが重要です。

参考:https://www.kanaloco.jp/article/entry-136563.html

家具リース金融で被害にあった場合の相談先

「家具リース金融に引っかかったらどうしよう」と悩む人は少なからずいるでしょう。今では悪質業者から被害にあったとき、トラブルを解決できる相談先がいくつかあります。

お金の貸し借りでトラブルが起きたときのオススメ相談先は次の3つです。

(1)国民生活センター

独立行政法人国民生活センターでは業者との契約トラブルにあった人のために相談窓口を用意しています。消費者ホットライン「188」に電話することで担当者がお悩み相談に対応。

また、ホームページには過去の相談事例や判例などが掲載されています。担当者と相談したり事例を確認したりすることで、悪質業者とのトラブルを対処することが可能です。

参考:http://www.kokusen.go.jp/

(2)(証拠があれば)警察

既に家具リース金融を担う業者と契約してしまい、契約書などの証拠を持っている人は警察に相談することがオススメです。ヤミ金融対策法が成立した今では警察が積極的に関与してくれます。

ただ、最近は悪質業者が証拠を残さない場合が多く、警察に相談してもトラブルが解決しないパターンも多いです。もし証拠がないときは警察ではなく、法律事務所に相談しましょう。

(3)法律事務所

家具リース金融は闇金と同類の手口であり、法律事務所に相談することで専門家が対処してくれます。電話やメールなどで業者と直接交渉してくれるから、手間なくトラブルを解決できるのがメリット。

今では分割払いや後払いに対応した法律事務所が多く、お金があまりない人でも問題解決の依頼が可能です。確実にトラブルを対処したい人に法律事務所での相談をオススメします。

リース金融を避けてお金を得るには

生活費などが足りなくて金欠に悩んでいるとき、家具リース金融以外にもお金を得る方法はあります。

以下にある3つの方法でトラブルにあうことなく資金を調達することが可能です。

  1. リサイクルショップで売る
  2. フリマアプリで出品する
  3. 消費者金融を利用する

それぞれの方法について詳しく見てみましょう。

リサイクルショップで売る

使わなくなった家電や放置されている家具は、リサイクルショップに売ることで現金化できます。持つ必要がない物を手放すことができ、お部屋のスペースが空くメリットがあります。

最近ではネット買取に対応したリサイクルショップも多く、ダンボールに詰めて送るだけで売却できるサービスも利用可能です。自宅に不用品が残っている人にリサイクルショップをオススメします。

フリマアプリで出品する

「リサイクルショップは買取価格が安い」と思った人に便利なのがフリマアプリです。スマホから売りたい物を手軽に出品でき、好きな価格で所有物を売却できるメリットがあります。

一方、設定した価格により売却が長引く場合もあり、スムーズに現金を得られないのがデメリット。少しでも高い価格で不用品を売却したい人にフリマアプリはオススメです。

消費者金融を利用する

「自宅には必要な家具家電しか残っていない」と思ったときは、消費者金融の利用を検討しましょう。消費者金融なら収入が少なくてもお金を借りることができ、闇金よりも低い金利で返済できます。

最近では即日融資に対応したカードローンが増えていて、申し込んだその日にお金を借りられるのがメリット。必要な分だけお金を借りることで無駄な利息を避けることもできます。

ただ、消費者金融は他の融資に比べて金利が高く、借金が増えると返済が苦しくなるデメリットもあること。もし借金が増えすぎてしまったときは法律事務所に相談することがオススメです。

まとめ

家具を売却した利用者とリース契約を結び、業者が高額なリース料を請求する手口が家具リース金融です。

リース業を装う闇金業者が逮捕されるようになり、今では家具リース金融による被害が少なくなりました。

もし金欠に悩んでいるときはリサイクルショップに不用品を売ったり、消費者金融からお金を借りたりすることがオススメです。悪質業者の手口に引っかからないよう注意しましょう。