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新しい闇金の手口「金貨金融」とは?

闇金の手口

闇金の手口は時代とともに日々進化しています。クレジットカードの現金化、SNS上での勧誘などの様々な手法で闇金は顧客を開拓していますが、最近は「金貨金融」という闇金の手口があるのをご存知でしょうか?

一見するとコイン販売のようにも見えますが、実は闇金です。気づいた時には膨大な借金を闇金から借りてしまっている新しい手口といえます。

闇金については周知が広がっていますので、闇金も新しい手口でなんとかターゲットにお金を貸し付けようと必死です。

闇金にだまされないために、金貨金融について詳しく解説していきたいと思います。

金貨金融とは?

金貨金融とは、2011年に初めて摘発された新しい闇金の手口です。表面上は闇金ではないように偽装していることから、利用者はだまされがちです。

チラシなどに「お金がなくても即現金」「100%融資OK」「ブラックでもお金が手に入る」などと、信用情報などの理由によってお金をどこからも借りることができない人が見たら、思わず乗ってしまいそうな文句で顧客を勧誘しています。

金貨金融業者は基本的に闇金であるということを認めませんが、やっていることは実質的に闇金で、通常の闇金よりもさらに高金利でお金を取られてしまうこともあります。

闇金の新しい手口である、金貨金融について詳しく見ていきましょう。

新しい闇金の手口

最初に理解しておくべきこととして、「金貨金融は闇金」ということです。

金貨金融は、表向きは「直接お金を貸し付ける」という形ではありません。顧客を信じさせるために、金貨というモノを介してお金を貸し付けるのです。

これはクレジットカード現金化などと同じスタイルで、「私たちはお金を貸し付けているわけではないので闇金ではありませんよ」と謳っているだけであり、実はれっきとした闇金です。

まずは「金貨でお金」「クレジットカードでお金」という文句を見たら、「闇金だ」と判断することを心がけるようにしてください。

表面上は金貨販売業

金貨金融の表向きは、金貨ショップまたはコインショップです。闇金のようにお金を貸し付けることを表面上の目的としていませんので、あくまでも「顧客に金貨を販売する」という手段を選びます。

表面上は金貨ショップですので、金貨金融に手を出す人は「闇金からお金を借りている」という実感がなく、気づいた時には借金をしてしまっているのが金貨金融の怖さです。

ツケで時価よりも高く金貨を売りつける

事例から考えていきましょう。まず金貨ショップを偽装した闇金は、時価40,000円の金貨を63,000円で顧客に販売します。

と言っても、金貨金融に手を出すような人が、金貨を購入するための63,000円を手元に持っているはずがありませんので、この63,000円をツケで販売します。

「ツケで販売」というと聞こえはいいですが、実際にはこの時点で63,000円を闇金から借りてしまっているのです。

ブラックの人に対して「お金を貸します」と言えば、「闇金からもしれない」と疑ってしまう人が多いでしょう。

しかし、「金貨を購入する代金はツケでいいですよ」と言われれば、購入する側は借金をしている実感がないので、闇金を警戒している人でも金貨金融にはだまされてしまう可能性が高いのです。

「ツケで販売する」という文言には、金貨金融以外でも注意した方がよいでしょう。

そして、金貨を購入した人は1週間〜10日くらいで63,000円を金貨ショップに支払わなければなりません。つまり、期間1週間〜10日で闇金から63,000円を借りたことになるのです。

購入者は別の金貨販売店に行き金貨を売却

金貨を購入した人は、別の金貨ショップに行けばすぐに時価で現金化できると言われ、金貨ショップを紹介されます。

ただし、購入した金貨の時価は40,000円ですので、別の金貨ショップで金貨を売却しても40,000円にしかなりません。

明らかにだまされているのですが、購入した人は1円もお金を支払わずに40,000円を手にしたことになるので、どこからも借りることができないお金に困った人は、その時は「助かった」と感じてしまうかもしれません。

後日、金貨の購入資金を支払う

前述したように、金貨のツケ代金は1週間〜10日後には支払をしなければなりません。

このケースでは63,000円のツケが残っていますので、金貨を売却した代金40,000円が手元に残っていたとしても、差額の23,000円はどこからか用意して返済する必要があります。

また、金貨金融に手を出す人はそもそも相当お金に困った人ですので、40,000円をすでに使ってしまっている可能性が高いと言えます。

いずれにせよ、借りてから1週間〜10日という短期間の間に、金貨を売却して得た現金よりも非常に大きな金額を返済しなければならないのです。

クレジットカード現金化と同じような手口

クレジットカード現金化という手口をご存知でしょうか?金貨金融はこれによく似た手口です。

クレジットカード現金化とは、闇金が指示した品物をクレジットカードを使って購入し、その代金を闇金から受け取るというものです。

例えば、10万円のスマホをクレジットカードで購入して闇金に7万円で売却すると、すぐに手元に7万円を用意することができます。

短期間でお金を手元に作ることができる方法ですが、7万円しか受け取っていないのに、クレジットカード会社には10万円支払わなければなりませんので大きな損失です。

また、クレジットカード現金化は、クレジットカード会社という法律遵守の会社に対してお金を借りるようなものですが、金貨金融の場合には闇金からお金を借りてしまっているので、クレジットカード現金化よりも非常にリスクが高いと考えておきましょう。

クレジットカード現金化も金貨金融も、絶対に手を出してはいけません。

金貨金融は超高金利!絶対に利用してはいけない

金貨金融の手口をあえてシンプルに言えば「金貨を介してお金を貸し付ける闇金」ということができますが、金貨金融は闇金よりもタチが悪いと言われています。

その理由は、返済までの期間が短いという点と、金利が闇金よりも高くなることが多いという点です。金貨金融の怖さを、返済期間や金利面から詳しく見ていきましょう。

返済は10日以内ということが多い

前述したように、金貨金融からツケで購入した代金は、1週間〜10日以内に返済しなければなりません。闇金から現金を借りたのであれば返済は月1回が基本ですが、金貨金融はそれよりも返済期限が早く到来します。

同じく63,000円を返済するのであれば、闇金から現金を借りた場合には30日間の時間的な猶予があるので、1日2,000円程度バイトなどでお金を稼げば作れるかもしれません。

しかし、金貨金融の場合は1週間〜10日以内に63,000円という大金を作らなければならないので、返済が遅延するリスクは闇金から現金を借りた場合よりも高いのです。

ご存知のように、闇金からの借金返済に遅れると、精神的に追い詰められる悪質な督促が待っていますが、金貨金融の方がこのような事態になってしまう可能性が高いと言えるのです。

年利で1,000%を超えることも

では、金利面を見てみましょう。闇金から現金を借りた場合には、10日で1割(トイチ)が昔ながらの金利で、最近では10日で3割(トサン)の超高金利が設定されることもあります。

これを年利に直してみると、以下のようになります。

  • トイチの場合:年利約360%
  • トサンの場合:年利約1,080%

このように、トサンの場合には年利で1,000%を超える超高金利になっていますので、借りたお金の10倍以上の利息を1年間で支払わなければならないことになります。

では、前述した金貨金融の事例で、金利を計算してみましょう。

40,000円で売却した金貨の購入代金63,000円を10日後に支払う必要がありますので、10日間の利息は差額の23,000円ということになります。

10日間の金利は57.5%にもなります。年利換算で約2,070%というとんでもない金利です。実際に現金を借りているわけではないので油断してしまいがちですが、金貨金融は闇金のトサンと呼ばれる超高金利の貸付の倍近い法外な金利設定をしているのです。

闇金から現金を借りることはもちろんですが、金貨金融にも絶対に手を出してはいけません。

金貨金融は違法!

当たり前の話ですが、金貨金融は違法です。現金を借りているわけではないと言っても、これだけの超高金利でお金を貸しているのですから、闇金と認定されて実際に逮捕者も出ています。

金貨金融で逮捕者も出ている

金貨金融では200人以上の逮捕者が出ています。

逮捕された金貨金融業者は口を揃えて「お金は貸していないのだから闇金ではない」と主張していますが、これだけの高金利でツケ代金を貸し出していたのですから、闇金と認定されても仕方がありません。そもそも、金貨金融業者の実態は闇金です。

金貨金融は全国で多くの被害が発生しており、国民生活センターにも多数の相談が寄せられています。「金貨でお金」「ブラックOK」「100%即日現金化」などの広告を見たら、「闇金だ」と判断して絶対に連絡をしないようにしてください。

金貨を買ったお金を返済できないと

金貨を買ったお金を返済することができないと、どのようになってしまうのでしょうか?前述したように、ここからは闇金と同じ手口ですので、闇金から現金を借りた時に返済できない場合と同じく徹底的に追い詰められる督促が待ち構えています。

闇金からお金を借りた場合と同じように執拗に督促される

金貨を購入したツケ代金を闇金に支払うことができないと、闇金はありとあらゆる方法で督促を行います。手口は様々ですが、考えられるものとしては以下のようなものを挙げることができます。

  • 早朝・深夜にわたる電話での督促
  • 会社への督促電話
  • 自宅玄関前での張り紙
  • 頼んでもいないデリバリーの配達
  • 弔電などの恐怖を連想する電報
  • 子供への付きまとい
  • SNS上で「金を返さない」などの拡散や、SNS上の友人やフォロワーへの督促

督促の手段は多岐にわたり、時代とともに変化をしていますが、とにかく「お金を返済すれば救われる」という精神状態になるように徹底的に精神的に追い込み、お金を返済させようとします。

また、闇金は未来永劫利息を払い続ける顧客の獲得を目的としていますので、場合によっては現金を貸し付けた場合と同じように、金利を設定した上で返済のジャンプを勧めるケースもあるようです。

ただし、現金を貸し付ける場合と異なり、金貨金融の場合には「完済させない」という事例はそれほどなく、あくまでも金貨の時価と売却代金の差額を得ることを目的としているケースが多いようです。

金貨金融の勧誘手口

では、金貨金融はどのような手口で勧誘を行うのでしょうか?金貨金融に引っかからないためにも、勧誘の手口をしっかりと理解しておきましょう。

基本的には闇金と同じ手口で勧誘される

前述したように、金貨金融とは金貨ショップを偽装した闇金です。そのため、金貨金融の勧誘も闇金と同じように行われます。

金貨販売のはずなのに、「100%融資OK」「ブラックOK」「即日現金」などと、闇金の謳い文句と変わらない文言で勧誘が行われます。

よく考えれば、金貨の売買にこのような文言が並ぶこと自体おかしいのですが、そもそもお金に困っている人をターゲットにしていますので、「お金を借りないなら大丈夫」という錯覚に陥り、金貨金融に手を出してしまう人は少なくありませんので注意しましょう。

電話やダイレクトメールで勧誘される

勧誘の方法は、電話やダイレクトメールで行われます。金貨金融の場合には、集合団地など比較的金銭的に余裕のない人たちが住んでいる場所を狙って、チラシをポスティングするという方法でも勧誘が行われるようです。

金貨金融の場合には、「新しく金貨ショップがオープンしました」などの切り口で勧誘が行われることが多いので、「お店の宣伝か」と安心して引っかかってしまう人も少なくありません。

闇金に個人情報を知られていると勧誘される

以前に闇金からお金を借りていた人や闇金に問い合わせをしたことがある人は、闇金の個人情報を知られているため、金貨金融のターゲットとして狙われてしまうでしょう。

このような人は闇金に対して一定の警戒心を持っているので、「闇金からお金を借りるよりも安全ですよ」などと言われると、お金に困っているのでついつい安心して金貨金融に手を出してしまうことも多いのです。

真っ当な業者は自分たちの方から勧誘をすることは少ないですし、そもそも商品の購入代金を100%ツケ払いできるようなことはあり得ません。

金貨金融でなくても、電話やDMでの勧誘は断るようにしてください。この世に美味しい話などありません。

金貨金融に手を出してしまったら

金貨金融に手を出してしまったら、警察と弁護士に相談した方がよいでしょう。また、手を出す前に「おかしい」とか「取引をしても大丈夫?」などと疑問を持った場合には、国民生活センターなどに相談するのもよいでしょう。

いずれにせよ、金貨金融に金貨代金をツケにしてもらうということは闇金からお金を借りていることと同じですので、できる限り早くプロに相談することをおすすめします。

警察と弁護士に相談

前述したように、金貨金融については逮捕者も出ていますので、警察に相談して被害届を出すことで、業者が摘発される可能性があります。ただし、これは時価よりも高額な金貨代金を払ってしまった場合です。

代金を支払う前や代金を支払うことができない場合には、弁護士に相談しなければ悪質な督促から逃れることはできません。

弁護士が連絡をすれば大抵督促は止まる

闇金から現金を借りた場合と同じように、弁護士が金貨金融に連絡を入れることによって、悪質な取り立ては止まるのが一般的です。

業者が最も恐れるのは警察に摘発されることですので、1人の顧客を追い詰めて逮捕されるよりも、他の顧客からお金を取った方がメリットがあるからです。

闇金問題に詳しい弁護士の中には、警察とコネクションが強い弁護士も多く、そのような弁護士に相談すれば金貨金融業者は摘発を恐れて逃げていきます。

闇金で最も怖いのが取り立てですが、弁護士に相談することによって取り立ては止まりますので、精神的にはかなり楽になります。

ただし、すでに支払った代金については取り返せないことが一般的ですので、相談するのであればできるだけ早い段階の方がよいでしょう。

まとめ

金貨金融は、時価よりも非常に高額な金貨をツケで買わされ、業者が時価と販売代金の差額を得るという行為です。業者が直接お金を貸しているわけではないので、闇金ではないように偽装していますが、れっきとした闇金です。

支払期日は10日以内と期間が短く、闇金から現金を借りる時よりも高い金利が設定されています。

また、返済することができないと悪質な取り立てが待っていることになりますので、絶対に金貨金融に手を出さないようにしてください。もしも手を出してしまったら、早急に弁護士などに相談するようにしましょう。