1. 司法書士法人ジェネシス WEST
  2. コラム
  3. 闇金の手口
  4. 現在の闇金事情|ヤミ金融対策法やコロナ禍の影響

現在の闇金事情|ヤミ金融対策法やコロナ禍の影響

闇金の手口

ヤミ金融対策法やネットの普及によって、闇金の手口は変わったといわれています。
また現在、新型コロナの流行によって、経済状況が不安定になる方が増えていることもあり、闇金被害も増加しているといわれていますが、こうした社会背景によって闇金業者に手口の変化はみられるのでしょうか。

今回は、現在の闇金事情、現在の闇金の手口と特徴、現在の闇金被害への有効な対処法、闇金被害に遭わない方法について説明します。

現在の闇金事情

2000年代以降のネットやスマホの普及、新型コロナの流行、こうした技術の進歩や取り巻く状況の変化によって、良くも悪くも生活が一変した方は少なくないでしょう。法律や社会情勢の変化の影響は闇金業者も受けています。

以下では、闇金業界に大きな影響を与えたと思われる事象と、それによる闇金業者の変化などから現在の闇金事情について説明していきます。

ヤミ金融対策法後の変化

平成15年に成立したヤミ金融対策法(貸金業規制法の改正)は、闇金業界の大きな転機になったと考えられます。

それまではルールも曖昧で、厳しい罰則も存在しなかった闇金業者に対して、厳格な規則と罰則が制定されました。これにより、従来の闇金業者の多くは廃業したといわれています。

ただし、従来の店舗を構え、対面で営業を行う闇金業者がなくなっただけで、闇金業者自体は現在でも存在します。

参考サイト:ヤミ金融対策法が成立しました(金融庁)

ネットやSNSの普及の影響

店舗を構えることができなくなった闇金業者が目を付けたのは、ネットやSNSです。
ヤミ金融対策法が施行される時期に重なるように、インターネットが急速に普及していきました。それ以前にもインターネットは存在しましたが、誰もが当たり前に利用するようになったのは2000年代半ばでしょう。インターネットと携帯電話を駆使することで、闇金業者は姿を隠したまま闇金業を営むことが可能となったのです。

総量規制で闇金の利用者は増えた?

ヤミ金融対策法(貸金業規制法の改正)と同時に行われた、過剰貸し付けの抑制を目的に設けられた総量規制のルールにより、年収の3分の1以上の貸付けができなくなりました。また、グレーゾーン金利の廃止によって、貸金業者が廃業に追い込まれるケースも増え、それ以前に比べ融資審査は厳しくなったといわれています。

こうした事情から正規の貸金業者から融資を受けられなくなったため、闇金を利用する方もいるのではないかといわれています。

コロナ禍で闇金被害は増加している?

2020年から続く新型コロナウィルスの流行の影響を受け、収入が減少した方は少なくありません。給付金の支給や、休業要請が出されている業種へは支援金があるケースもありますが、それでも生活費や事業の運営資金が足りずに闇金に手を出した方は少なくないといわれています。また、給付金を巡っての詐欺や、資金調達に焦るあまり闇金に騙されてしまうという事例も報告されています。

現在の闇金の手口と特徴

前章で取り上げたような様々な影響を受けて、闇金の手口も変化しています。以下では、現在の代表的な闇金業者の手口と特徴について説明します。

090金融など姿を見せないことが特徴

前章で説明した通り、ヤミ金融対策法の施行後、店舗型の営業から携帯電話とインターネットを利用した、いわゆる090金融と呼ばれるような営業形態が主流となっています。
融資も返済も振込みで行い、業者と利用者が直接顔を合わせる機会はありません。そのため、利用者は闇金業者がどこの誰であるかを知ることは元より、所在地すら分かりません。闇金が業務で利用する携帯や口座は闇サイトなどを通じて手に入れた他人名義のものであることもあり、闇金を営んでいる人物を特定することは非常に困難です。
督促や嫌がらせに関しても携帯で行い、実際に自宅まで押し掛けて暴力を振るうようなケースはほとんどありません。

闇金に対する取り締まりは強化されましたが、それでも闇金が撲滅されないのは、現在の闇金がこのように姿を見せないという特徴を持つためでしょう

匿名掲示板やSNS等を集客に利用

現在の闇金業者は取引にネットを使うだけでなく、集客にも匿名掲示板やSNSを利用します。また、正規の貸金業者と見紛うような立派な公式サイトを持っている闇金業者も存在します。
他にも個人間融資掲示板への書き込みや、Twitter等のSNSに#(ハッシュタグ)を付けての投稿などで、利用者を募っている業者もいるといわれています。

ファクタリングなど他業者を装う

債権を買い取るファクタリング業者や、リース業者などを装う闇金業者の被害も報告されています
特にファクタリング業者については、闇金でなかったとしても、手数料が高額なものや金銭の貸付けに該当するため貸金業登録が必要であると見なされる法的にグレーでなケースもあるため、利用の際は慎重に検討する必要があります。

参考サイト:ファクタリングに関する注意喚起(金融庁)

スマホや銀行口座を騙し取ろうとする

現在の闇金の営業に欠かせないのが、他人名義の携帯電話と銀行口座です。
被害者が警察や法律家などに相談した場合、利用していた携帯や銀行口座は使えなくなってしまう可能性が高いです。そのため、現在の闇金業者は常に他人名義の携帯電話と銀行口座を必要としているのです。

そのため、返済ができなくなった方に返済を待つ代わりとして、もしくは融資希望者に融資の条件として、携帯電話や銀行口座を要求するというケースが増えています。
融資の条件としてスマホを送るように言われ、送ったにもかかわらず融資はされなかったという、詐欺の被害事例も多数報告されています

携帯電話の場合は、高額な本体代の他、月々の利用料まで請求されることになります。銀行口座の場合は、犯罪利用される可能性が高いため、口座が凍結され、その影響で同じ名義の他行の口座まで凍結されてしまうことや、新規の口座が開設できなくなる他、最悪犯罪者として取り調べを受ける可能性すらあるのです。

昔ながらの手口も

郵送によるDMでの勧誘や、電柱の張り紙、もしくはパチンコ店や競馬場などでの勧誘など、昔ながらのやり方での集客も引き続き行っている闇金も存在します。
他にも知り合いの知り合いからの紹介など、人脈を使った闇金もあるようです。こうしたケースでは、どこの誰か分かっていても、知人や友人に迷惑をかけたくない、世話になっている等の事情から警察に通報しにくいようです。

現在の闇金被害への有効な対処法

前章では現在の闇金の手口を紹介しましたが、もしこうした闇金の被害に遭ってしまった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。以下では、現在の闇金被害への有効な対処法について説明します。

警察に相談する

闇金被害は警察に相談することが可能です。警察というと、闇金の被害を相談しても「借りた方が悪い」「元本は返済するように」といった対応を取られるのではないか、と考えている方もいらっしゃるかもしれませんが、ヤミ金融対策法の施行後、警察の闇金対応も積極的に取り締まる方向へ変化しました。

しかし、闇金被害の相談を受けるようになったとはいえ、業者を逮捕してくれるかと言えば、そこまでは難しいのが現状です。警察は刑事事件を取り扱う組織であり、闇金被害は一般的に民事事件として扱われることが多いからです。
そのため、相談に行っても通り一遍のアドバイスをされただけで、解決に至らなかったというケースも少なくありません。

しかし、もし闇金に脅迫されている場合や、自宅まで押し掛けられそう、暴力行為を受けた、もしくはほのめかされたような場合は、警察に通報することをおすすめします。現行犯でない場合は、通話の録音や文書など証拠を持って行くとより真剣に取り扱ってもらえるでしょう。

法律の専門家に相談する

闇金問題を確実に解決したい場合は、法律の専門家に相談することをおすすめします

闇金業者は自らの違法性を理解しているため、法律の専門家の介入を嫌う傾向があります。罰則が強化された現在、闇金が最も恐れているのは逮捕されることです。法律の専門家の介入後も、しつこく利用者に返済を迫るなどの行為を行った場合、逮捕される可能性が生じます。また、法律家に相談したということは、返済する気がないということも分りますので、法律家が介入した時点で手を引く業者も珍しくありません。

ただし、闇金対応は法律家の扱う案件の中でも専門性が高く、扱いが難しいといわれています。また、闇金業者の背後には反社会的勢力が存在するケースも多く、リスクが高い割に儲けが良いわけでもないため、闇金案件は断る法律家も多いです。断られなかったとしても、闇金対応に不慣れな場合、時間がかかる上に結局解決に至らないケースもあります。
闇金被害を相談する場合は、事前に評判を調べ、闇金対応の実績を豊富に持つ専門家を選ぶようにしましょう

現在の闇金被害に遭わないための方法

近年、闇金の手口は巧妙化しているといえます。こうした闇金の被害に遭わないためにはどうすれば良いのでしょうか。以下では、現在の闇金被害に遭わないための方法について説明します。

資金を調達する時は慎重に

資金を調達する必要がある時、焦って貸金業者を探すのは危険です。焦っていると普段なら感じ取ることができるはずの違和感に気付けなくなり、闇金が張った罠に落ちてしまう可能性が高まります。
貸金業者を探す時は、一呼吸おいて、その貸金業者が正規業者であるかをきちんと確認してから申し込むようにしましょう。

ネットの情報をうのみにしない

ネット上の真偽のわからない情報をうのみにするのは止めましょう。特にお金が絡む話では、安易に相手の言い分を信用しない方が良いです。
また、ファクタリングやリース業などを利用する際は、システムをよく理解した上で、利用する業者が正しい運営を行っていることを確認するようにしましょう。

まとめ

今回は、現在の闇金事情、現在の闇金の手口と特徴、現在の闇金被害への有効な対処法などについて説明しました。

ヤミ金融対策法の施行など、闇金業者に対する取り締まりは強化されています。しかし、その反面、ネットの普及などによって現在の闇金業者は、正体が捉えにくく逮捕は難しくなっています。しかし、昔も今も闇金を利用して良いことは一つもありません。
もし闇金の被害に遭った場合は、早急に法律の専門家に相談することをおすすめします。

我々ジェネシスWESTは、借金問題に詳しい司法書士と元警察官が力を合わせて、闇金トラブルを解決する司法書士事務所です。相談は無料で、着手金については後払い・分割払いにも対応しています。24時間・年中無休で受付しておりますので、闇金トラブルでお困りの方は、一人で悩まずにぜひお気軽にご相談ください。

参考サイト:違法な金融業者にご注意!(金融庁)