チケット金融(金券金融)は闇金?手口・狙われるタイプ・対処法を解説

闇金が変化した形として、チケット金融(金券金融)という業者が問題視されています。
チケット金融はまず、代金は後払いでよいからといって利用者に何らかのチケットを渡します。
詳しくは下記で説明しますが、後でチケット金融業者が代金として高額な金額を請求・回収するのです。
一般的な闇金業者とは手法が異なるため、闇金とは思えないような感じもしますが立派な違法業者です。
今回はこのチケット金融について、チケット金融の定義やトラブルが起きた時の相談先などに触れながら解説します。
目次
チケット金融(金券金融)の定義と違法性
定義
チケット金融という手法は、まず利用者に「代金は後払いでよい」と伝え、チケット金融業者が何らかのチケットを渡します。
後日、チケットを渡した利用者から、法外な高金利に匹敵する代金を搾取するのです。
違法性
一般的な闇金と比較すると、明らかな違法性が無いようにも思えます。
しかし、利用者がチケットを売って一時的に得た金額と、後日チケット金融業者に支払う金額には大きな差があります。
この差が闇金の法外な利息に当たるため、出資法違反と解釈される違法性があるのです。
実際に、チケット金融業者は警察によって摘発されたり、裁判所で違法判決が下されたりした事例があります。
どのような手口なのか
広告方法
チケット金融業者は、まずスポーツ紙や街頭の看板広告などに「代金は後で大丈夫です」「審査不要」とキャッチコピーを掲載します。
手口例
甘い誘導方法
キャッチコピーを見た人が電話で問い合わせると、チケット金融業者は「こっちがもっているチケットを、指定するショップに売ってくれるだけでよいですよ」などと業務説明をします。
利用者は、説明通りに指定のショップへ行ってチケットを売却し、一時的に現金を入手して喜びます。
裏では、利用者へチケットを渡した業者と、チケットを買い取った業者はつながっています。
現金回収
利用者は後日、最初にチケットを渡された業者に代金を支払います。この時がポイントです。
たとえば、利用者は最初のチケット業者から、高速道路回数券180,000円分を10日後支払の想定で渡され、指定のショップで売却して120,000円入手しました。
ですが10日後には180,000円を支払わなければなりません。差額の60,000円がチケット金融業者の利益となるのです。
利用者が後払いの代金を支払えない場合は、遅延利息としてさらに高額な支払を要求されます。
金銭面以外の被害要素
個人情報の漏洩
利用者が問い合わせをした時点で、電話番号がチケット金融業者に知られたら、これだけでも被害を受ける要素になります。
問い合わせをしただけで実際には利用しなかったとしても、リスクは大きいです。
たとえば、チケット金融業者が仲間の闇金に利用者の電話番号を教えるとします。すると別の闇金からも、一方的な融資勧誘電話がかかってくる可能性が生じます。
利用者がLine(ライン)を使っていて、自分の電話番号で検索できる設定にしていたら、闇金が悪徳なラインを送ってくる可能性もあります。
ほかにも、銀行の口座や住所などの情報も伝えていたら、別の嫌がらせや闇金行為をしてくることも考えられるのです。
たとえばチケット金融業者に銀行口座を教えていたら、押し貸しの目に遭うケースが想定されます。押し貸しとは、闇金が銀行口座への送金を一方的に行い、法外な利息を請求してくる行動のことです。
住所を教えていたら、怪しいダイレクトメールを送ってきたり、勝手に緊急車両を手配されたりする嫌がらせが考えられます。
「銀行口座や住所なんてそう簡単に教えるわけない」と思うかもしれません。ですが経済的に追い込まれた人は、闇金業者の指示通りに教えてしまう場合もあります。
チケット金融のターゲットになりやすい人の特徴
簡単にお金を稼ぎたいと考える人
お金は、基本的に一定の労力を費やすことで稼ぐものです。
事業収入や権利収入などで、容易に大金を稼げたようにみえる人もいます。ですが実際には、人の数倍労力を費やして財を築いているでしょう。
この一方で、「何とか簡単にお金を稼げる方法はないかな」と考える人がいるのも事実です。
世間の厳しさやリスクを知らずにこのような考え方をする人は、チケット金融業者のターゲットになりやすい傾向があります。
他の方法でお金を調達できない人
銀行や一般的な消費者金融などから資金を調達できないという人も狙われやすいです。中小企業の経営者だけでなく、浪費癖のある一般人も含まれます。
「ちょっとだけだし」「次のパート給料で全額返済できるし」といった安易な気持ちで、チケット金融業者などの闇金を利用するのは危険です。
チケット金融の存在理由
業者がなぜチケット金融という面倒な手法を用いるのか、疑問に思う人もいるでしょう。理由を端的にいえば、闇金側の対策です。
闇金側としては「チケットの代金としてお金を徴収しているだけ」として、一般的な闇金行為ではないという口実を作りたいのです。
利用者側も、対策が分からずに「チケットの代金だから」と泣き寝入りしてしまう人もいるため一定の効果はあります。
防止策と対策
チケットの売買ではお金を稼げないという認識
チケット金融の被害を受けないためには、まず「渡されたチケットを売却するだけでお金が稼げるはずない」という認識が必要です。
自ら認識するのはもちろんとして、家族や友人などがチケット金融に引っかかりそうな兆候があるとします。
この場合は相手を問い正して、電話による問い合わせなど業者との接触を持たせないようにとどめたいものです。
換金せずに専門家へ相談
仮にチケットを受け取った状態でもまだ指定のショップで換金していなければ、この時点で業者との関わりをやめ、専門家へ相談に行くのがおすすめです。
領収証や契約書などの書類が発行されていなければ、契約不成立で対策にかかる手間が省ける可能性があります。
口頭によるやり取りは成立しているので、チケット闇金業者が契約の成立を主張してくる可能性はありますが。
ここで「売買契約が成立していないのなら、チケットを渡されたまま逃げても大丈夫なのでは?」と考える人もいるかもしれません。
そのような行動は法的にも道義的にも不正とみなされ、逆にチケット金融業者側から詐欺罪で訴えられる可能性が否定できません。
そしてチケット金融業者が激高し、常軌を逸した嫌がらせを仕掛けてくる可能性すらあるため、自ら率先して不正な行為を行わないようにしましょう。
他の被害者を探す
可能なら、同じチケット金融業者による他の被害者を見つけられれば、その後の対応がよりスムーズです。
司法書士事務所や消費生活センターなどの相談先に、同じ業者によるトラブルが寄せられている可能性があります。
同じ業者による被害者を集めたい理由としては次が挙げられます。
- 情報が集まりやすい
同じ業者による似た被害情報があると、相談先としては被害内容についての話を把握しやすいです。 - 警察が動きやすくなる可能性がある
一般的に警察は、刑事事件性のある案件で捜査や摘発をするため、被害情報が複数寄せられれば対応しやすくなる場合があります。 - 裁判を起こすときの費用が低減する可能性がある
複数名で同じ業者に対して裁判を起こせば、弁護士などの士業へ支払う費用が幾分か安くなる可能性があります。
チケット金融に関するトラブルの相談先
弁護士や司法書士といった士業
チケット金融に関するトラブルで困ったら、弁護士や司法書士をはじめとした士業に相談しましょう。
チケット金融業者は一般的な闇金業者と違って、明らかな貸金業法違反を指摘しにくいかもしれませんが、早めに相談することで何らかの対策措置を講じたいものです。
司法書士の場合、相談だけなら無料というところが多いです。
消費生活センター(国民生活センター)
最初から士業のところに何となく行きにくいといった時は、消費生活センターもおすすめです。
自分のケースでは、どこの法律事務所へ行くのが適切なのかわからない時もあるでしょう。
消費生活センターでは、おすすめの事務所を教えてもらえる可能性があり、自分が手探りで探すより早いです。
また、同じ業者による被害者から他にも相談を受けている場合は、その場で電話して「他にも被害相談を受けていますよ」などと軽く対策を講じてくれる可能性もあります。
相談先へ行く時の留意点
下記の内容を整理しておくと、相談先で話を進めやすいです。
チケット金融の被害に遭った経緯を伝えやすくしておく
- 対象のチケット金融を知ったきっかけ
いつ何の雑誌に掲載されているのを見て知ったか - 接触をした経緯
何の電話番号に連絡をして、何という名前の人とどのようなやりとりをしたか - チケットの受け渡し場所での行動内容
受け渡し場所にいた人の人数と名前、会話含めどのような行動があったか - チケット受け渡し以降の行動内容
チケットを換金した場所や、チケット金融側との金銭のやり取りと会話内容など
書類や写真など
書類や写真などは、チケット金融の被害に至った経緯の説明に役立ちます。裁判になった場合も、些細なものでも証拠として裁判官が重要視する可能性があります。
まとめ
ここまでチケット金融の違法性について考察してきましたが、押さえておきたい点はチケット金融の定義や違法性と対策です。
金銭面以外の被害要素や、チケット金融に関するトラブルの相談先もポイントといえます。
チケット金融は甘いキャッチコピーで誘惑しますが、絶対に利用しないことが大切です。本記事をチケット金融トラブルの予防や被害対策にお役立てください。