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仮想通貨詐欺と闇金の危険な関係とは?手口と対処法を解説

相談・解決

2017年は仮想通貨元年といわれ、ビットコインをはじめとするさまざまな仮想通貨が取引されました。巨額の資産を築き、「億り人」と呼ばれる人たちがたくさん誕生しましたが、乱高下も激しく、逆に一文無しになった人も存在します。
日本でも取引所が設立されたことや、使える場所が増えている点などからも徐々に認知されてきているといえるでしょう。しかし、この仮想通貨市場において、闇金が暗躍し詐欺の温床となっているケースが見受けられます。

この記事では、仮想通貨詐欺と闇金業者の関係性や仮想通貨詐欺にあってしまった場合の対処法などについて詳しく解説します。

仮想通貨とはどのような性質のものか

そもそも仮想通貨とは、どのようなものなのでしょうか。まだ誕生して間のない新しいシステムであるため、詳細を理解していない方も多いと思います。以下では、仮想通貨の仕組みと仮想通貨詐欺の手口について解説します。

仮想通貨について

仮想通貨はもともとインターネット上の取引で利用されていた通貨です。電子データのみでやりとりされる通貨なので、デジタル通貨とも暗号通貨とも呼ばれています
電子データのみで実物が存在しない点も特徴的なのですが、お金に換金ができるため、送金や決済に使われる以外にも、株取引のような投資目的での売買が行われる側面も持っています。

仮想通貨は非常に数が多く、2020年10月時点でも3,000を超える仮想通貨が取引されています。仮想通貨は、円やドルといった法定通貨と異なり、運用業者同士の取引とプログラムの管理によって成り立っています。国や中央銀行など、通貨をしっかりと管理する存在はないため、価値の保証という点については不安要素があるといえます。

仮想通貨詐欺の手口

前述の通り、仮想通貨には明確な管理機関が存在しません。また、新たな仮想通貨が日々増え続けているため、トラブルが起きやすく詐欺の温床にもなっているといわれています。

下記は2014年から国民生活センターに寄せられた仮想通貨に関する相談件数を表しています。

引用:国民生活センター「2018年度暗号資産(仮想通貨)に関する相談件数」

年々仮想通貨に関する相談が増えていることが分かります

では、仮想通貨詐欺にはどのような手口があるのでしょうか?
仮想通貨詐欺の代表的な手口としては、以下のようなものがあります。

  • お金を払ったあとは連絡が取れない
  • 元本保証といわれたのに資産が大幅に減った
  • 価格保証といわれていたのに価格が下がったあとも保証されなかった
  • 期間限定で購入したのに2ヶ月経っても販売されている

仮想通貨はデジタルデータのみで実態がなく、仕組みを完全に理解している人が少ないため、詐欺に使われやすいのでしょう。

仮想通貨と闇金の関係性

仮想通貨投資を行っている闇金業者が存在するという報告もあります。

そのような闇金業者は、仮想通貨投資により利益を得るという名目で融資、配当を暴利で受け取ります。実際の口座管理も全て闇金業者が行うので、基本的に債務者は口座の名義人になるだけです。しかし、利息が引かれても多少なりとも配当金を受け取れるため、顧客が飛躍的に増えているといわれています。

このような取引は出資法違反に問われるケースがあるのですが、現段階では完全にクロというわけではなく、今のところ大きな被害などは報告されていません。しかし、違法な闇金マネーが仮想通貨に流入していることは、犯罪の温床となりかねない非常に危険な兆候といえるでしょう。

仮想通貨は貸金業法の適用外なのはなぜか

仮想通貨は貸金業法の適用外なので、法による規制が及ばず、闇金に利用されやすい環境下にあるといわれています。しかし、なぜ仮想通貨は、貸金業法の適用外なのでしょうか。
以下では、貸金業法と仮想通貨の関係性について説明します。

仮想通貨は金銭とはみなされない?

現在、仮想通貨は貸金業法の適用外とされています。今の法律上では、仮想通貨は金銭とはみなされていないからです。仮想通貨は、単に「資産」として取り扱われます。
仮想通貨が貸金業法上の「金銭」と見なされていないと、どのような弊害が起こりえるのでしょうか。

もし、闇金業者が仮想通貨で貸付を行った場合、貸金業法の規制外となり、利息制限もないため、いくら利息を付けても貸金業法上では罰せられません。また、取立てに関しても、貸金業法の中では早朝や深夜の取立ては禁止されていますが、仮想通貨ならばそのような制限もないということになります。
つまり、仮想通貨で借金をすると、大きなトラブルに発展する可能性が高いということです。今のところ、仮想通貨を使った貸付による目立ったトラブルは起きていないようですが、上記の点から注意が必要です。

仮想通貨の信用買いとは

仮想通貨では「信用取引」に関しても注意が必要です。
信用取引とは、一定額の保証金や株式を担保にすることで、それ以上の金額での取引が可能となるシステムのことです。株式市場での信用取引の場合、保証金や株式の担保時価の最大3.3倍までの取引が可能となります。

仮想通貨も、信用取引が可能です。一定の保証金額を差し入れることで、保証金額以上の取引ができます。
仮想通貨の信用取引には、貸金業登録が必要です。仮想通貨における保証金の担保がお金や株式といった貸金業法上の金銭に当てはまるため、貸金業の登録が必要となるのです。
もし、貸金業登録も行わずに信用取引が可能な仮想通貨があれば、非常に危険なものといえるでしょう。貸金業登録を行わずに信用取引が行えるとなれば、闇金など犯罪の土壌となりかねません。

仮想通貨詐欺は貸金業登録と暗号資産交換業登録で見抜け

仮想通貨による詐欺を予防する方法として、貸金業法登録や暗号資産交換業登録を行っているかどうか確認するという方法があります。
基本的に貸金業登録を受けずに貸金業を行っている場合は、闇金業者の可能性が高いです。また、暗号資産交換業登録も行っていない業者を利用することも非常にリスクが高い行為であるといえます。
貸金業、暗号資産交換業ともに登録業者は、厳格なルールを課せられ守らなければ厳しい罰則を受けることになります。闇金や詐欺を避けて、安全に取引を行うためには、利用前に必ず登録の有無を確認しましょう

仮想通貨詐欺被害に遭った場合の対処法

闇金業者や仮想通貨で詐欺を行おうとしている詐欺師は、非常に狡猾です。気を付けていても、被害に遭ってしまうかもしれません。
万一、仮想通貨詐欺被害に遭ってしまった場合には、どのように対処すれば良いのでしょうか。
以下では、仮想通貨詐欺に遭ってしまった場合の対処法について解説します。

警察へ相談

仮想通貨詐欺に遭った際、真っ先に思いつくのは警察に通報することかもしれません。
警察に相談する際は、最寄りの警察署へ直接おもむくか、警察相談専用電話(#9110)でも受け付けています。
ただし、警察に相談して被害届を作成するためには、犯罪に遭ったという確かな証拠を示す必要があります
仮想通貨詐欺などの場合、詐欺被害に遭った証拠が明確に示せないことや、単なる個人間のトラブルとみなされて被害届を受け付けてもらえないケースもあるかもしれません。また被害届が受理されたとしても、すぐに捜査をしてもらえるとは限りません。

しかし、だからといって警察へ相談することが無意味とはいえません。例えば他に多数の被害者からの相談があった場合は、捜査が開始されることになります。また、被害届を出すと受理番号が交付されますが、この受理番号は振り込め詐欺救済法を利用する場合に必要になります。

国民生活センターへ相談

国民生活センターも詐欺被害についての相談を受け付けています。

国民生活センターとは、消費者生活センターと同義で全国に設置している公共機関です。国民の生活を向上させるための様々な相談をすることができますが、闇金や詐欺被害などの相談も可能です。
ただし、国民生活センターはあくまで相談を受ける場所であり、直接問題解決に向けて働きかけてくれることはありません。ただ、法律相談や、専門家への紹介は行っており、たびたび無料の法律相談会なども開催されていますので、どこに相談していいか判断が付かない場合は、まず国民生活センターに相談してみるのも良いかもしれません。

法律の専門家へ相談

仮想通貨詐欺に遭ってしまい、すぐにでも問題を解決したいと考える場合は、法律の専門家へ相談することをおすすめします

警察にした場合に比べ、被害者の要望に沿って加害者との交渉を行ってもらえるため、速やかな問題解決と場合によってはお金を取り戻すことができる可能性があります。

その際は、詐欺被害や消費者問題に強い法律の専門家依頼するようにしましょう。法律には幅広い分野があり、細分化されています。餅は餅屋というように、その道のプロフェッショナルに依頼することで、的確で効果的なアドバイスを受けることができ、速やかな問題解決が期待できます。

まとめ

今回は、仮想通貨詐欺と闇金業者の関係性や仮想通貨詐欺にあってしまった場合の対処法などについて説明しました。

仮想通貨は現在の法律上は金銭として扱われないため、仮想通貨で融資を受けた場合、貸金業法の制限の範疇外になります。利息や取立てに関しての明確な規定がないため、大きなトラブルになる可能性を秘めています。また、仮想通貨による詐欺にも注意が必要で、闇金などが詐欺の材料として仮想通貨を利用してくる可能性も考えられます。
仮想通貨詐欺や闇金に関わった場合は、速やかに法律の専門家へ相談することをおすすめします。

我々ジェネシスWESTは、借金関係に詳しい司法書士と元警察官がタッグを組んで、依頼人のトラブル解決に尽力します。闇金や仮想通貨詐欺に関するトラブルでお困りの方は、一人で悩まずにぜひお気軽にご相談ください。