闇金が暴力を振るうことはある?取立ての手口と対処法を解説
闇金というと、返済できなければ家までやってきて暴力を振るう、というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。しかし、いくら闇金とはいえ、本当に返済を迫るために、債務者を殴ったり蹴ったりすることなどあるのでしょうか。
本記事では、闇金業者は暴力を振るうことがあるのかを検証すると同時に、最近の闇金業者の取り立ての手口について解説します。闇金業者に暴力を受けた際の対処法と、闇金トラブルへの対処法についても説明しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
闇金業者は暴力を振るうことがあるか
ドラマや漫画の中では、よく取り立てに来た闇金業者に殴られたり蹴られたりするシーンが出て来るため、「闇金=暴力を振るうもの」と考えている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、最近は闇金業者に暴力を振われたという事例はほとんど聞かれません。以下では、最近の闇金業者の特徴や最近の闇金業者が暴力を振るうことはあるかどうかなどについて説明します。
最近の闇金は姿を現さないのが特徴
最近の闇金業者の特徴として、ネットや携帯電話でのみ営業し、姿を現さないということが挙げられます。電話やメール、SNS等で申込の受付や連絡を行い、融資も返済も口座振込みで行うため、利用者が闇金業者の顔を見る機会は基本的にありません。電話も固定電話ではなく、携帯番号というケースがほとんどでしょう。
最近の闇金が姿を現さない理由
昭和~平成中期までは、闇金業者も街中に営業所を構え、融資や返済も現金を手渡しするというシステムを取っているケースも少なくありませんでした。自宅まで取り立てに行き、暴力を振るうといった事例も実際にあったようです。当時の法律でも闇金は違法でしたが、法の整備が追い付いていなかったこともあり、厳しく取り締まられることはなかったようです。
しかし、90年代後半に闇金被害が社会問題となったこともあり、貸金業法・出資法が大幅に見直され、2003年にはヤミ金融対策法が成立しました。その後は、闇金に対する罰則の厳格化に伴い、警察も本腰を入れて取り締まるようになり、実際に闇金業者の大規模な摘発も行われたため、以前のように表立って営業する闇金業者は消滅しました。
暴行を受けることは基本的にない
ヤミ金融対策法の施行以後、以下のような闇金業者はほぼいなくなりました。
- 現金を手渡しする店舗型の業者
- 直接自宅や会社に取り立てに行く業者
前述した通り現在の闇金の多くは、携帯電話やインターネットでのみ営業を行います。これは逮捕されるリスクを避けるためで、利用者の前に現れることはまずありません。直接顔を合わせる機会がないことに加え、もし暴力行為などがあれば、すぐに警察に捕まってしまうという事情もあり、最近の闇金業者から直接殴られるなどの暴力を振われることは基本的にはないと考えられます。
法を守らないため、絶対にないとは限らない
ただし、闇金業者が姿を現さない・暴力を振るわないというのは、あくまでもそうしたケースが多いというだけの話です。闇金業者は星の数ほどあり、その運営元や関係者の考え方も様々です。闇金はそもそも法律を守るつもりがない犯罪組織です。背後に反社会的勢力が存在するケースも少なくありません。逮捕されることなど恐れずに、暴力を使ってでも取り立てる闇金業者が今でも存在しないとは限らないのです。闇金を利用してトラブルになった場合、暴行を受ける可能性も十分にあり得ると理解しておきましょう。
また、暴力行為がなくとも、闇金の取り立ての強引さ・過酷さに変わりはありません。次章では、最近の闇金の取り立ての手口について解説します。
最近の闇金の取り立ての手口
ヤミ金融対策法の効果もあり、直接家を訪問されることや暴力を振われるケースはほとんど聞かれなくなりました。しかし、高利を搾取する闇金の取り立ての恐ろしさは昔も今も同じです。以下では、姿を見せずに債務者を追い詰める、最近の闇金の取り立ての手口について説明します。
執拗な電話攻撃
返済が滞った債務者に対し、闇金業者は執拗に電話で攻撃します。昼夜を問わず出るまでかけ続け、ドスの利いた声で脅迫します。電話攻撃は昔も行われていましたが、固定電話から携帯電話が利用されるようになったことで、外出中でも逃れることが難しいため、攻撃された側のダメージは昔より増していると思われます。
着信拒否設定にすることや、出ないという選択肢もありますが、闇金業者は複数の携帯電話を所持していることが多いため、番号で判断することは難しいかもしれません。また、仕事で利用している方の場合は、見知らぬ番号でも出ないわけにはいかないということもあるでしょう。
地味な手法ではありますが、そのわずらわしさと、電話に出た時に浴びせられる怒声や脅迫文句による精神的なダメージは計り知れません。
勤務先や実家への連絡
闇金業者は契約の際、必ず勤務先と実家や親類などの連絡先を聞き取ります。それはいざという時に、取立ての連絡を入れるためです。
勤務先や実家に連絡されることがあれば、迷惑がかかるだけでなく、相手からの信頼も損なわれます。特に勤務先に連絡をされた場合、闇金を利用していたからといってクビにすることはできませんが、予定していた昇進が無くなることや、窓際部署への左遷など、退社を促すような人事をされるような可能性は十分に考えられます。
デリバリーやタクシー配車等の嫌がらせ
自宅に直接やってくることはなくなりましたが、代わりに大量のピザや寿司のデリバリーを注文する、タクシーや救急車の配車を頼むといった嫌がらせをしてくることがあります。
犯人を特定しにくく事件化が難しい手口
上述した携帯への昼夜を問わない電話攻撃や、勤務先・実家などへの連絡は、貸金業法第21条の取立行為の規制に接触します。
- 正当な理由なく、夜間(午後9時以降)や早朝(午前8時以前)に債務者に電話をかけることや、FAXを送ること、債務者の居宅を訪問すること
- 正当な理由なく、債務者の勤務先など、自宅以外に連絡を入れること
- 保証人以外の債務者の親族や知人に対し、返済を求めること
こうした行為は、現在の貸金業法では禁じられています。
しかし、例え違法行為でも電話で連絡が来るというだけでは、警察に相談しても、「連絡をやめるよう伝えるとよいのでは」などとアドバイスされるだけで、具体的な対処をしてもらうことは難しいでしょう。
また、デリバリーや配車等についても、注文主を偽り業者を騙して不利益を与えているため、当然違法行為(民法709条、刑法233条等)に当たりますが、非通知やインターネットを使ってなされた場合、犯人を特定することが難しいのが現状です。
罰則が強化されたことにより、違法行為を行う場合でも、なるべく足が付きにくく捕まりにくい手段を取るのが最近の闇金業者の手口の特徴といえます。
闇金から暴力を受けた場合の対処法
あまりないことではありますが、もし闇金業者から暴力を受けた場合は、どのように対処すれば良いのでしょうか。闇金業者から暴力を受けた場合は、以下のように対処すると良いでしょう。
警察に通報する
闇金業者から殴られる・蹴られるなど、直接暴力を受けた場合は即座に警察に通報してください。暴力行為は、それだけで違法です。それによって怪我を負えば傷害罪(刑法第204条)、怪我がなくても暴行罪(刑法第208条)が適用されます。
診断書や音声等の証拠があると良い
暴力行為を受けている間に通報することができなかった場合は、後から警察に被害届を出すことも可能です。ただし、現行犯の場合と異なり、何らかの証拠がないと証明は難しいかもしれません。
怪我を負った場合は、医者に行き診断書を出してもらうことをおすすめします。また、暴行の際の音声や画像が用意できれば証拠になるでしょう。
闇金トラブルの対処法
暴力行為はないけれど、執拗に取り立てられる、嫌がらせをされるなど、闇金業者とトラブルになってしまった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。闇金トラブルへは、以下の方法で対処することをおすすめします。
返済はしない
闇金業者とトラブルになった時、返済することで問題を解決しようとする方もいらっしゃるでしょう。しかし、闇金業者へお金を払うと、「支払い能力がある」「いいカモだ」と思われてしまう可能性があります。闇金業者と手を切りたいのでしたら、返済するのは止めた方がいいでしょう。
法律の専門家に相談する
闇金トラブルを解決したい場合は、法律の専門家に相談するのが一番だと思います。闇金業者は自らが違法行為を行っていることを承知しており、刑事罰を受けることを恐れています。法律家が介入すれば勝ち目がないことを理解していますので、介入を知らせる受任通知を受け取った時点で手を引くことも珍しくありません。
ただ、闇金対応は法律の専門家の中でも専門性が高く難しい分野だといわれています。そのため、債務整理などを専門にしている法律家でも、債権者が闇金だというと断られるケースもあります。また、闇金対応の経験が少ない法律家の場合、闇金業者にそのことを気付かれて、逆に言いくるめられてしまうようなケースもあります。闇金トラブルを相談する際は、闇金対応の実績を豊富に持ったプロに依頼することをおすすめします。
我々ジェネシスWESTは、借金問題に詳しい司法書士と元警察官がタッグを組んで闇金トラブルに対応する司法書士事務所です。実績を積んだ経験豊富な専門家が、秘密厳守で迅速に対応します。闇金トラブルでお困りの方は、一人で悩まずにぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
今回は、闇金業者は暴力を振るうことがあるのか、最近の闇金業者の取り立ての手口、闇金業者に暴力を受けた際の対処法、闇金トラブルへの対処法などについて説明しました。
ヤミ金融対策法が施行されて以後、暴力による取り立ては基本的にはありません。しかしそれも絶対とは言い切れませんし、闇金の取り立ての執拗さ陰湿さには変わりないため安心することはできません。闇金業者とトラブルになった際は、早めに法律の専門家に相談して問題を解決することをおすすめします。