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闇金は法律違反!返済を迫られても応じる義務はなし

返済停止

真面目な人ほど、闇金に対して真摯に返済しようとしてしまうものです。
闇金の暴力的な取り立てが怖いという理由ももちろんあるでしょう。しかし、それ以前に、「借りたものは返すべき」「困っているときに貸してくれたのは闇金だけ」などと、持つ必要のない感情に基づき、行動する人もいらっしゃるようです。

しかし、闇金は違法業者です。元々法的には返済義務などないのです。

本記事では、闇金に返済するリスクと、闇金の見分け方を説明します。闇金から借りてしまった際の対処方法についても説明しますので、ぜひ参考にしてください。

闇金に返済するリスク

借金は、基本的には苦労したとしても「返せば終わる」ものです。
そう思って頑張ってしまう人もいるのですが、闇金はそのような常識が通用する相手ではありません。
闇金に返済すること自体にも、大きなリスクがあります。具体的にどのようなリスクがあるのか説明します。

完済するのはほとんど不可能

闇金業者は、単に「高利なだけ」の貸金業ビジネスではありません。

闇金の利用者の多くは返済能力に問題があります。返済能力に問題がある方を対象とした貸金業は貸し倒れリスクが非常に高いといえます。

返済能力に問題がある方から無理に支払わせるために、脅迫や暴力的な取り立てを行いますが、それでも限界があります。

そのため、利用者本人に性風俗や肉体労働等、無理な労働を課し強引にお金を作らせることや、利用者の家族や知人友人など周囲の人間から代わりに取り立てること、利用者に犯罪の片棒を担がせることなどがワンセットになったビジネスモデルなのです

返しても終わらないのが闇金

完済できた場合でも、一度闇金と関わってしまったが最後、縁を切ることは非常に難しいでしょう。

完済後にも、強引な勧誘を受けることや、借りたくもないのに振り込まれる(押し貸し)の被害に遭う等、ずっと関係が続くことになるのです。

闇金は慈善事業ではない

闇金業者は、正規の貸金業者から借金をすることができない方にとっては、困った時に頼れる味方のように思えるかもしれません。

しかし、闇金業者は、困った人間を助ける味方では決してありません。むしろ弱みに付け込む悪魔のような存在なのです

総量規制等の、貸金業法のルールは消費者(利用者)を守るためのものです。この法律を守らない、違法業者、闇金は消費者の敵です。正規の貸金業者に断られたからといって、闇金を利用するのは、身の破滅につながる危険な行為なので絶対に止めましょう。

闇金業者の見分け方

時に、正規の貸金業者と闇金とは判別が難しいことがあります。闇金業者と正規の貸金業者には具体的にどのような違いがあるのでしょうか?
以下では、闇金業者の見分け方について説明します。

貸金業許可を確認する

許可を受けた貸金業者には、貸金業登録番号が振られています。これは広告にも必ず記載しなければなりません。貸金業登録番号を持たない業者、すなわち貸金業登録を行っていない業者は、全て闇金業者です。

ただ、他人登録番号や欠番など、でたらめの番号を掲げることで、登録業者を装っているケースもあるため注意が必要です。貸金業許可の有無や整合性は、金融庁の公式サイトの「登録貸金業者情報検索」で、調べることが可能です。

参考サイト:「登録貸金業者情報検索」(金融庁)

上記のサイトで検索して登録が確認できない業者はすべて闇金ですので、利用することは止めましょう。

法定金利内かどうか確認する

貸金業許可を受けたといっても、業者の内実は千差万別です。

特に許可を受けて浅い業者の場合、合法の隠れ蓑の下、違法な金融にかかわっているケースもあります。全国規模で許可を受けている業者(税務局登録)の場合はほぼ問題ないものの、都道府県単位で登録する小規模な業者で、登録の浅い業者については気を付けた方が良いかもしれません

許可番号は、「東京都知事(1)第12345号」という形式です。この「(1)」というのは、登録して3年未満で、許可の更新を受けていない業者を指します。この中には、過去に行政処分を受けて番号がリセットされたという業者も存在します。

「(1)」の業者の多数が、許可を更新して「(2)」にならないケースもあるのです。
登録番号が若い業者の場合は特に、金利が違法な数字になっていないか注意をしましょう。
利息制限法を守らない業者は、いずれ許可取消になります。利用をする際は、金利を必ず確認するようにしましょう。

利息制限法で定められた法定金利の上限は以下のとおりです。

  • 限度額100万円未満の借入れ・・・年18.0%
  • 限度額100万円以上の借入れ・・・年15.0%

「この数字以上の金利でなら融資をしても良い」といわれた場合、その業者は闇金ですので断りましょう。

一見合法に見える業者もある

まったく許可のない業者だけでなく、許可番号を持っているが内実は闇金というものもあるので困ります。
前述の、都道府県知事許可でカッコ内が「(1)」の業者から借りる際は、必ず以下の内容を確認しましょう。

  • 許可番号が間違いないか
  • 金利が利息制限法の範囲に収まっているか

どちらかに問題がある場合は、利用は止めた方が良いでしょう。

闇金から借りていることに気づいたら

気を付けていれば闇金を利用してしまうことは少ないですが、焦っていた場合や相手が巧妙だった場合など、誤って借りてしまうこともあるかもしれません。
借りてしまった後で相手が闇金だと気づいた場合、どうすればよいのでしょうか。
以下では、闇金から借りてしまった場合の対処方法について説明します。

話し合いは難しい

一般の民事債権事件では、話し合いを行い「一定額を支払うことで、それ以上の義務はないことを確認する」といった形でことを収めることができます。消費者金融等、正規の貸金業者へ借金が返せなくなった場合、そのように和解することが可能です。

返済義務があっても、返済能力がないのでは仕方ありません。債権者側も、自己破産されて債権全額を消失するより、返せる分だけでも返してもらったほうが良いでしょう。

しかし、闇金については、話し合いで妥協を求めても、まず相手にされないと思ったほうがいいでしょう。違法業者である闇金業者とは、法律に則った話し合いなど不可能ですので、さらに強硬な手段を講じる必要があります。

いやがらせの実例も多数

闇金業者は、借り手が返済できなくなった際、強引な取り立て以外にも様々な嫌がらせを行うことがあります。自宅だけでなく、勤務先や家族、家族の関係先などに対しても、嫌がらせをされた事例があります。

頼んでもいないピザや寿司の出前が大量に来る、救急車や消防車を呼ばれるといった嫌がらせが良く聞かれますが、このような嫌がらせは、地味なようにも思えますが、された側の精神的ダメージは大きいです。

法律の専門家に相談する

法律を無視して商売をする相手とはいえ、日本は法治国家です。法律により、借入れを無効にしたり(民事)、相手方を刑務所に送り込んだり(刑事)することが可能です。

ただし、いずれも専門知識を持たない一般人が一人で行うことは非常に難しいので、法律を武器として使える専門家に依頼することを強くおすすめします

法律の専門家ではなく、警察に相談に行ったとして、ひと昔前のように「民事不介入」と門前払いされることは少ないでしょう。しかし、具体的な対策を講じてくれることは少ないため、闇金の取り立てを完全にやめさせることは難しいかもしれません。しかし、警察に相談する場合でも、法律のプロを経由することで、スムーズに被害届を受理してもらうことができるなど効果が期待できます。

法律の専門家に相談するメリットは他にもあります。
闇金問題と併発することの多い、借金問題の解決方法についての相談も同時に行うことができます。
正規の貸金業者からの借金を重ねた上で、闇金を利用してしまったケースでは、借金問題を根本から解消しなければまた闇金に手を出してしまいかねません。

闇金への返済義務はない

闇金に対して「なんとか返済しよう」などと考えても無駄です。闇金へ返済を続けることには何の意味もありません。そもそも、闇金業者へは法的に返済義務などないのです。

利息は当然返さなくていい

闇金は、利息制限法で定められた上限金利より、はるかに高い金利を設定しています。
当然、法律を超える金利で計算された利息は、法的に無効となり返済義務はありません。

利息制限法で定められた以上の金利を取られていた場合は、過払い金となるため、返金手続きを取ることで返金を求めることさえ可能です。ただし、これは正規の貸金業者の場合の話であり、闇金業者に対して過払い金が発生していたとしても、返金を求めるのはほぼ不可能と考えられます。

元本すら返金義務はない

闇金から借りた際には、法外な利息だけでなく、元本についても返金義務はないとされています
いくら借りたとしても、トイチやトサン等で計算された利息のみならず、元本も一切返さなくていいというのです。この見解の根拠は、闇金の貸出しは「不法原因給付」にあたるため、業者から借り手に対する返還請求ができないとされた2002年の最高裁の判決を元にしています。

不法原因給付とは、社会倫理道徳に反して行われた給付(貸出し)を指します。
ただし、この最高裁判決は異常な高金利について「不法原因給付」と判断したもので、ソフト闇金のように「法律の基準より高め」の金利についての判断は出ていないことに注意が必要です。

また、元本すら返済していない場合は、闇金業者もしつこく追及してくることを覚悟する必要があります。

法律を味方につけよう

日本は法治国家です。最終的には、法律がものを言います。法律を味方につければ、闇金業者に勝ち目はないのです。

次の手段を重ねて講じれば、闇金から身を守ることができるでしょう。

  • 返済しないという明確な意思表示
  • 法律の専門家へ相談(場合によっては警察へ被害届の提出)
  • 電話番号、銀行口座番号の変更(解約)
  • 債務整理(自己破産、任意整理等)
  • 可能であれば引っ越す

闇金は、違法業者のため法律を使って返済を迫ることはできません。
ですから、法律を盾に強引な取り立てや嫌がらせ行為を避けることができれば、相手にはそれ以上何もできないのです。

闇金業者に一度知られた個人情報は、半永久的に裏社会の中に残ってしまうため、闇金業者と手を切り、他の犯罪被害に遭わないためにも、できる限り変更することをおすすめします。

まとめ

今回は、闇金に返済するリスクと、闇金の見分け方、闇金から借りてしまった際の対処方法などについて説明しました。

闇金は法律に反する存在ですが、借りた以上返済は義務だと思い込んでいる方も多いのではないでしょうか。しかし、闇金業者へは、元本を含め、一切の返済義務はありません

闇金は利用しないことが一番ですが、もし利用してしまった方は専門家と相談してしっかり対処しましょう。借金問題を抱えている方は、同時に解決することをおすすめします。