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闇金に名義貸しを持ち掛けられた!リスクとトラブル対処法

闇金の手口

「闇金業者にスマホやタブレットの契約を要求されている」
「闇金にキャッシュカードを送ってしまった」

このような悩みをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。闇金業者は返済できない時や契約時の条件として、携帯やキャッシュカードを送るように要求することがあります。応じてしまうと、本来、闇金の被害者であったあなたも犯罪者になってしまう可能性があります。

本記事では、闇金の名義貸しについて説明すると同時に、闇金に名義貸しをするリスクと闇金に名義貸しをした事例を紹介します。闇金に名義貸しをしてしまった時の対処法についても詳しく説明しますので、ぜひ参考にしてください。

闇金の名義貸しとは

闇金は利用者に対し、名義貸しを持ち掛けてくることがあります。しかし、なぜ闇金は名義貸しを要求するのでしょうか。
以下では、闇金の名義貸しについて、詳しく説明します。

闇金が名義貸しを要求する理由

最近の闇金業者はほとんどの場合、店舗を構えることなく携帯電話のみで営業をしています。店舗を構えて闇金を営むことは、ヤミ金融対策法の施行後(2006年成立、2010年完全施行)、取り締まりが強化されたため、難しくなっています。もし事務所を借りて固定電話を引くなどして闇金を運営すれば、すぐに警察に逮捕されてしまう恐れがあるからです。

逮捕を避けるため、闇金業者は利用する携帯電話も足がつかないよう、闇金業者の名前で契約したものではなく、トバシと呼ばれる闇サイト等で売り買いされた他人名義を使用します。同様の理由で、返済に使用する銀行口座も他人名義のものです。

こうした事情から、闇金の被害者が警察や法律の専門家に相談したとしても、闇金を運営する人物の元にたどり着くことは難しくなっています。しかし、被害者が警察や法律の専門家に闇金被害を相談した場合、闇金が利用している携帯電話や銀行口座は使用停止されることになります。

闇金業者はこうした事態に備え、常に複数の他人名義の携帯電話や銀行口座を所持するようにしています。
つまり、闇金業者は常に他人名義の携帯電話や銀行口座を必要としており、これこそが闇金業者が利用者に携帯や銀行口座を要求する理由なのでしょう。

主に返済できない人間に持ち掛ける

携帯や銀行口座の名義貸しを持ち掛けるターゲットとなりやすいのは、主に闇金の利用者です。特に、返済が滞っている利用者に対し、「返済を待つ代わり」や「利息を負ける条件」などと言って要求するケースが多いようです。
返済できずに精神的に追い込まれている方の中には、それくらいでいいのなら、と深く考えずに応じてしまう方もいるのでしょう。

融資の条件として送らせることも

他にも、申込時に融資の条件として、携帯電話を契約して送るように要求されるという事例も報告されています。

この際、「こちらですぐ解約するので料金はかからない」などと説明されていたとしても、もちろんそのようなことはなく、翌月以降ずっと機使用料金+機種代の請求が来続けることになるでしょう。さらに悪いケースとしては、約束した融資もされずに、ただ携帯電話を騙し取られただけという事例もあります。

名義貸しのリスク

闇金に携帯電話やキャッシュカードを渡してしまうと、どのような事が起きるのでしょうか。闇金に名義貸しをした際に考えられる主なリスクは、以下の通りです。

名義貸しは違法

まず、第一に名義貸しという行為自体が違法である可能性が高いです。

闇金に対し携帯電話やタブレットの名義を貸した場合、闇金業務に利用される可能性が高いです。闇金は違法ですので、携帯があなたの名義である以上、あなたも犯罪行為に加担していることになります。また、闇金に渡すために携帯電話を契約することは、携帯電話会社に対する詐欺とみなされる可能性もあります。

キャッシュカードや通帳など銀行口座の譲渡は、犯罪収益の転移を犯罪収益移転防止法に該当します。闇金に渡すために新規に口座を開設された場合は、銀行に対する詐欺罪に問われる可能性もあります。

警察に捕まるリスク

上述した通り、携帯電話や銀行口座の名義貸しは違法ですので、警察に逮捕される可能性があります。もし逮捕された場合、例えば銀行口座の売買した時の罪状である犯罪収益移転法の場合は、1年以下の懲役、もしくは100万円以下の罰金と罰則が定められているため、高額の罰金の支払いや服役をしなければならなくなるかもしれません。

また、名義貸しをしたことで闇金の仲間とみなされて、貸金業法違反に問われる可能性もあります。本来、闇金の被害者であるはずなのに、闇金業者扱いをされてしまうことになるのです。

銀行口座や携帯電話が持てなくなるリスク

警察に捕まらなかったとしても、犯罪に利用された携帯や銀行口座の名義人であると携帯電話会社や銀行に判断された場合、新規で携帯電話や銀行口座が作れなくなるリスクがあります。

特に銀行の場合は、犯罪利用口座として凍結されると、他の金融機関にもその情報が共有されるため、他の銀行の口座まで凍結されることや、あらゆる金融機関で新規の口座が開設できなくなる可能性があります。

高額を請求されるリスク

携帯電話やタブレットを渡した場合、その機種代+使用料の支払い義務は名義人であるあなたにあります。最近は、通話料金に加算する形で買い物などの決済をすることも可能ですので、思いもよらない高額を請求される可能性があります。
この場合、あなたが使用したわけでなくても、あなたの名義である以上、請求から逃れることはできません。

闇金に名義貸しをしてしまった事例

闇金に名義貸しをするリスクについて上述しましたが、「本当に闇金から名義貸しを持ち掛けられることなどあるのだろうか?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
大手Q&Aサイトには、実際に闇金に名義貸しをしてしまった事例が複数掲載されています。今回はその中から数例をご紹介します。

闇金に脅され銀行口座を送ってしまった

2006年4月頃、闇金に脅されて銀行口座を送ってしまったという方の実体験です。

体験者は、闇金に脅され、銀行口座を送ってしまったそうです。その後、その銀行から利用停止の連絡があり、確認すると長崎県で還付金詐欺に使われたためとのことでした。署に来て欲しいとも言われたそうですが、住んでいるのが千葉県であると伝えた所、「とにかく、口座は凍結する」と言われ電話は切られてしまったそうです。

「自分はどうなりますか?」という投稿者に対し、回答者からは以下のような意見が寄せられていました。

  • 他の銀行口座も凍結されることや、新規に口座が開けなくなる等困ったことになるので、早期に法律の専門家に相談するべき
  • 送った時点であなたも闇金の共犯者である

この場合、警察に逮捕されるかどうかは不明ですが、回答者の意見にもある通り、確実に他の銀行口座に影響が出ると思われるため、早急に警察や法律家に相談する必要があるでしょう。

参考記事:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11158509911?__ysp=6ZeH6YeR44CA6YqA6KGM5Y%2Bj5bqn

闇金にスマホとタブレットを送ってしまった

2016年2月頃、闇金に騙されて、スマホとタブレットを送ってしまったという方の体験談の投稿です。

投稿者は、闇金に融資の条件としてスマホとiPadを契約し、送るように求められ送ってしまったそうです。しかし融資はされなかったため、スマホとタブレットは解約し、警察に行き、警察から業者に交渉してもらい本体は返してもらう事になりましたが、結局その後、業者から返送されることはなく、連絡は付かなくなり逃げられてしまったそうです。
警察に伝えた所、「この件は一旦一区切りですね」とバッサリ切られてしまいました。当方には3台分の2年払いが残り、携帯会社からは催促の毎日です。

  • 警察はそれ以上何もしてくれないのか
  • 何か救済措置などはないのか

という、投稿者の問いに対し、回答者からは「闇金に送るために契約をした時点で詐欺罪」「警察はもう介入してくれないだろう」といった厳しい意見が寄せられていました。

このケースの場合、法律の専門家に相談して刑事告訴を行うことは可能でしょう。しかし、だからといって闇金が返金に応じることはあまり期待できませんし、自分で契約した携帯電話の料金を支払えなければ、信用情報に事故情報が記載されてしまうことは免れないでしょう。

参考記事:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11155825971?__ysp=6ZeH6YeR44CA44K544Oe44Ob5aWR57SE

闇金に名義貸しをしてしまった時の対処法

上述した通り、闇金に名義を貸すことは大変にリスクが高い行為ですので、絶対に止めましょう。しかし、すでに闇金に名義貸しをしてしまったという方は、出来るだけ早期に以下の手順で対処することをおすすめします。

携帯・口座は解約する

携帯や銀行口座を闇金業者に渡してしまった場合、すぐに解約することをおすすめします。

携帯電話の場合、当然、携帯の解約料と機種代は請求されることになりますが、高額な使用料を請求され続けることや、犯罪行為に利用され逮捕されるリスクに比べれば、ダメージは少なく済むでしょう。

銀行口座の場合も同様に、口座の解約をおすすめします。犯罪利用口座と認定され、口座が凍結される前に解約してしまえれば幸いです。もしその際に見知らぬ振込み、おそらく他の闇金利用者からの返済金等が入金されていた場合は、銀行側に事情を話して振込みをした方に返金する等の対処が必要です。

警察に相談する

闇金被害に遭った時、真っ先に思い浮かぶ相談先は警察かもしれません。

すでに銀行口座が凍結されるなど、犯罪行為に利用されていた場合は、銀行と警察に事情を説明する必要があります。

ただ、携帯電話の被害については、前章で紹介した事例のように、警察に相談しても一度業者と交渉してくれただけで、結局解決には至らないケースも多いようです。なぜかと言えば、警察は基本的に民事不介入であるため、闇金側としても口頭で注意を受けたとしても、「実際に逮捕されるようなことにはならないだろう」と、高をくくっているところがあるのかもしれません。

警察に闇金被害を訴えても、警察が闇金業者を逮捕してくれて問題が解決する、という流れは、あまり期待できないのが現状です。

法律の専門家に相談する

闇金業者とのトラブルを早期に解消したい場合は、闇金対応の実績が豊富な法律の専門家に相談することをおすすめします。

口座が凍結されることや携帯電話が犯罪利用された等のトラブルも、ひとりで警察に行って事情を説明する等は怖いと感じる場合は、まず法律の専門家に相談すると良いでしょう。どのように対処するべきかアドバイスを貰うことができますし、闇金業者への対応についても、適切に対処してもらうことができます。

まとめ

今回は、闇金の名義貸しについて、闇金に名義貸しをするリスク、闇金に名義貸しをした事例、闇金に名義貸しをしてしまった時の対処法などについて説明しました。

闇金に名義を貸すことは、それ自体が違法行為である上に、銀行口座や携帯電話が利用できなくなるリスクや、高額を請求される可能性があるため、絶対に止めましょう。

もし、すでに闇金業者に携帯や銀行口座を渡してしまった場合や、返済できずに名義貸しを求められている場合は、早めに闇金対応に強い法律の専門家に相談することをおすすめします。

我々ジェネシスは、闇金業者への対応経験豊富な司法書士と元警察官が力を合わせて闇金トラブルを解決する司法書士事務所です。相談は無料で、着手金については後払い・分割払いにも対応しています。24時間・年中無休で受付しておりますので、闇金トラブルでお困りの方は、一人で悩まずにぜひ一度ご相談ください。