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闇金に債権譲渡されることはあるか|事例と対処法

相談・解決

「債権者から闇金に債権譲渡すると脅されている」
「闇金から債権を譲渡されたと連絡が来た」
債務を抱えている方の中には、このようなお悩みをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、「闇金に債権を譲渡される」等ということが本当にあるのでしょうか。

今回は、債権譲渡はどのように行われるか、闇金に債権が譲渡されることはあるのか、債権譲渡されたという闇金から取り立てを受けた事例、闇金から取り立てを受けた時の対処法などについて説明します。

債権譲渡とはどのように行われるか

債権譲渡とはどのような時、どのような手続きをもって行われるのでしょうか。以下では、債権譲渡について説明します。

債権者は債権を譲渡することができる

債権者は債権を第三者に譲渡することが可能です。
債権が譲渡されると、債務者は元の債権者ではなく、債権を譲渡された新しい債権者に対し返済することになります。

債権者から通知、もしくは債務者の承諾が必要

債権譲渡を行う際は、債権者は必ず債務者へ通知を行うことが義務付けられています。通知がなければ、債務者は新債権者から返済を求められても、事情が分からずに困惑することになるからです。
通知以外にも、債務者が債権譲渡について承諾することでも可能となります。ただし、この際には元の債権者、新たな債権者、債務者の3者が公証人役場で校正証明書を作成しなければならないため、あまり行われることはありません。

譲渡されても金利等の条件は変わらない

債権譲渡された債権は、最初の債権者と債務者の間で交わされた契約内容から変わることはありません。つまり、新たな債務者から、突如高金利で返済を迫られることはありません。

時効がリセットされることもない

借金には以下のとおり時効があります。

  • 5年:クレジットカード、消費者金融、銀行、携帯料金など
  • 10年:個人、奨学金、信用金庫、農業協同組合、労働金庫など

債権譲渡によって時効がリセットされることはありません
ただし、借金の時効を成立させるためには、5年(10年)以上返済していない、債務承認とみなされる行為をしていない、裁判をしていない等の要件を満たしたうえで、時効の援用の手続きを行う必要です。ただ債務を放置しているだけでは、借金の時効は成立しませんので注意が必要です。

闇金に債権譲渡されることはあるのか

前章で説明した通り、債権者は債務者に通知を送付することで債権を譲渡することが可能です。しかし、闇金に債権が譲渡されるようなことはあるのでしょうか。

正規の貸金業者であればあり得ない

借入をしている先が、消費者金融や銀行、奨学金などである場合、闇金に債権が譲渡されることはあり得ないと考えてよいでしょう。しかし、滞納している場合は、債権回収会社などに回収を委託する可能性があります
滞納している債務について、回収会社への譲渡の通知が来た際は、放置せずにきちんとした手続きを取るようにしましょう。そのまま放置していると、裁判所を起こされて給与や資産が差し押さえられる可能性があります。

多重債務状態にあるなどして、どうしても借金が返済できないという場合は、債務整理を行うことをおすすめします。

参考サイト:多重債務の相談窓口(金融庁)

個人からの借金の場合

個人からの借金を滞納しており、「返済しないのなら、闇金に譲渡する」と脅されている方もいらっしゃるかもしれません。債権者が裏社会とのつながりがある方だった場合、可能性はあるかもしれません。
しかし、債務がどこかに譲渡された場合でも契約時の条件はそのまま保持されます。急に債務が膨れ上がることや、金利や延滞料の利率が変わることはありません。

闇金から闇金へ譲渡されるケース

闇金から他の闇金に債権が譲渡されるというケースは可能性としてあります。闇金業者は、警察の摘発などで入れ替わりが激しいですし、顧客情報なども共有する傾向があるからです。
ただし、闇金との融資契約は、法的には無効となる可能性が高いです。そのため、債権譲渡の有無とは関係なく、法的に返済義務はないと考えられます。

借金の存在を知った上での虚言の可能性

債権譲渡を騙った詐欺という可能性もあります。過去の闇金の顧客リストなどを参考にすることもあれば、全く普通の名簿をもとに行われることもあるようです。実際に、全く身に覚えがないのに、怪しげな債権回収会社から請求が来たという事例も報告されています。
闇金に限らず、債権を譲渡されたという債権者から請求が来た場合は、元の債権者に確認を取るなど、事実関係を調べるようにしましょう。

債権譲渡されたという闇金から取り立てを受けた事例

闇金に債権譲渡をされることや、闇金から債権譲渡されたと取り立てを受けることなどあるのだろうか、と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
大手Q&A掲示板には、債権譲渡されたという闇金から取り立てを受けた方やヤクザに債権譲渡すると脅されている方の体験談が複数掲載されています。以下では、その中から数例をご紹介します。

闇金から債権譲渡されたという債権回収会社から連絡が来た

2010年6月頃、過去の闇金の債務について債権回収会社から連絡が来た方の体験談です。

投稿者は、数年前に借りていた闇金の債務について、債権回収会社から「債権譲渡されたので支払いをしてください」という、連絡および訪問があったそうです。
債務があり返済が滞っていたのも事実のため、債権が譲渡されていてもおかしくないと思ったものの、元金が13万8千円に対して利息が23万8千円程の請求を支払わなければいけないのかと悩み、Q&Aサイトに投稿したとのことです。

回答者からは、以下のようなアドバイスが寄せられていました。

  • 債権者から債権を譲渡したという通知が来ていないのなら、本当に譲渡されているとは限らない
  • ポイントは、債権譲渡は本当にされているのか、金利や金額は正しいのか
  • 消費者ホットラインなどで相談すると良い

このケースでは、元の借主が闇金業者であるため、契約自体が無効であると考えられます。また、投稿者が通知を受け取っていないことからも、おそらく借金の存在を知った他の闇金が架空請求をしている可能性が高いように思います。

参考記事:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1042349360?__ysp=5YK15qip6K2y5rih44CA6ZeH6YeR

闇金に債権譲渡されると脅されている

2013年5月頃、知人が闇金に債権譲渡されると悩んでいるという内容の投稿です。

投稿者の知人は、共同経営を行っている相方に事業資金として借用書を作成し、600万を借りたそうです。ただ、相手ともめてしまい、もう関りたくないので借金を全額返してもらったうえで離れたいといわれたそうです。
また、債務者である相方は知人が支払うと言っているにもかかわらず、「知人は信用できないので、知り合いのヤクザ(闇金?)に債権譲渡する」と脅してきたそうです。

何とか債権譲渡を阻止できないのか、という投稿者に対し、回答者からは以下のようなアドバイスが寄せられていました。

  • 債権譲渡されても適正な金利ならば問題ないのでは
  • 違法な取り立て行為をされた場合は警察に相談すると良い

このケースでは、知人の債権者が債権譲渡するといっている相手が闇金なのかヤクザなのかは不明ですが、回答者の言う通り、適正な条件であるのなら債権譲渡されても問題はないでしょうし、恐れているような違法な取り立て行為があった場合は、警察や法律家に相談すれば良いでしょう。

参考記事:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11107735656?__ysp=6ZeH6YeR44CA5YK15qip6K2y5rih

闇金から取り立てを受けた時の対処法

債権譲渡を受けたという闇金業者から連絡があった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。以下では、闇金から取り立てを受けた場合の対処法について説明します。

返済しない

相手が闇金であるとはっきりしている場合、返済することは止めましょう。
債権譲渡されたと言ってきた相手が闇金だった場合は、正式に債権譲渡されている可能性は低いです。なので、相手の言うままにお金を支払う必要はないと考えられます。

長く延滞している債務がある方は、時効が過ぎている場合は時効の援用を行う、時効が過ぎておらず返済ができない場合は、債権譲渡の有無について確認をしたうえで、債務整理を行う等、対処を行うようにしましょう。

元々の債権者が闇金である場合には、時効の援用や債務整理などは、あまり効果がないといわれています。
しかし、闇金からの借金については、法律上は契約自体が無効であり返済義務はないとされています。そのため、債権譲渡とは関係なく返済はしなくて良いのです。
そうはいっても、闇金の取立ては執拗で、無視してやり過ごすことは困難です。闇金から取り立てを受けている場合はどのように対処すれば良いのでしょうか。

法律の専門家に相談する

闇金から取り立てを受けた時、最も頼りになる相談先は法律の専門家です。
闇金業者は違法な存在であるため、法律の専門家の介入を嫌います。法律家に介入された時に勝ち目がないことを知っていますので、介入を知らせる通知を受け取った時点で手を引く闇金業者も少なくありません。

法律の専門家に相談するには費用が掛かるため、躊躇する方もいるかもしれません。しかし、闇金トラブルは長引かせると、ご自身や周囲の人間に悪影響を与えます。闇金問題を専門に扱う法律家の中には、依頼人の事情を鑑みて、費用の分割や後払いにも対応しているところもありますので、まずは相談してみてはいかがでしょうか。

警察に相談が必要なケース

最近ではあまりないことですが、闇金が家までやってきて、人や物に対し暴力を振るうような場合や、暴力を振るうと脅されているような場合は警察に通報することをおすすめします。

まとめ

今回は、債権譲渡はどのように行われるか、闇金に債権が譲渡されることはあるのか、債権譲渡されたという闇金から取り立てを受けた事例、闇金から取り立てを受けた時の対処法などについて説明しました。

闇金から債権を譲渡されたと連絡があった場合、多くは虚言や詐欺である可能性が高いです。もし譲渡されるような債権がある場合は、以前に債権譲渡の通知を受け取っているかどうかを確認するようにしましょう。
債権を譲渡されたという闇金から取り立てを受けている、元々の債権者が闇金であるという方は、早期に法律の専門家に相談することをおすすめします。

我々ジェネシスWESTは、闇金業者への対応経験豊富な司法書士と元警察官が力を合わせて闇金トラブルを解決する司法書士事務所です。相談は無料で、着手金については後払い・分割払いにも対応しています。24時間・年中無休で受付しておりますので、闇金トラブルでお困りの方は、一人で悩まずにぜひ一度ご相談ください。