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借り入れ前後の正しい闇金対策方法を相談先も併せて紹介

取り立て対策

「もし闇金からお金を借りてしまった場合、どのように対策すればいいのか分からない」と悩む人は多くいるはずです。高い金利や取り立てなどに対抗するには、専門家に頼りつつ自衛することが重要です。

間違って闇金に手を出さないよう、悪質な貸金業者を見分ける方法を知っておくことも大切です。あなたがうまく闇金を対策できる方法について詳しく解説します。

闇金の対策方法

もしお金を闇金業者から借りてしまった場合、自分で闇金問題を解消するのは難しいです。被害者としてはお金を借りた負い目があるため、正しい判断ができない傾向があります。

例えば自分が借りたお金を返済できないと、家族や職場に対して相談するのは簡単ではありません。実際に業者から嫌がらせをされて、家族との関係が悪くなってしまった被害者はいます。

しかし闇金は法律を守っていないことが多く、たとえお金を借りていても返す必要はありません。被害を最小限に抑えるには以下の5つのポイントに従って闇金を対策することが重要です。

  1. お金を業者に返済しない
  2. 弁護士に相談する
  3. 被害が大きいときは警察にも相談する
  4. 破産や民事再生した人は広告に注意
  5. 借金するときは業者を細かくチェック

どのようにして闇金を対策するのか、それぞれのポイントを詳しく解説します。

お金を業者に返済しない

一般的に闇金業者が定めている金利は貸金業法に違反しているため、債務者は闇金に対して返済する必要はありません。法律に反して金銭を渡すことを「不法原因給付」と呼びます。不法原因給付となれば返済を求めることが認められず、裁判所が金銭を返済させるために手助けをしないのです。「金を借りたら返す義務がある」という常識がありますが、それには法律を守っている条件があります。

もし返済する必要がないのに業者にお金を送金すると、被害者からお金を取れると業者は推測するもの。取り立てに応じて返済し続ければ、あなたの金銭的な損害は大きくなってしまいます。

闇金に対して返済を諦めさせるには、取り立てや嫌がらせがあってもお金を業者に返済しないことが重要です。被害者やその家族が闇金業者に対して毅然とした態度を取りましょう。

専門家に相談する

「お金を返済しないでいたら、業者から悪質な取り立てをされるようになった」と悩む人もいるはず。闇金から被害を受けている人としては、業者の取り立てや嫌がらせをやめさせたいものです。

取り立て行為を止めるには弁護士や司法書士といった専門家に相談して、闇金問題に介入してもらうことが必要です。依頼することで受任通知書が作成されて、被害者に対する取り立てが不可能になるためです。

専門家が介入すると債務者に取り立て行為ができなくなることは賃金業法により定められています。もし取り立てを続けた場合、専門家が刑事告発したり口座凍結の手続きをしたりして闇金に対抗します。

取り立て行為によりデメリットが大きくなれば、闇金業者は取り立てや嫌がらせをやめるものです。より強く対抗できる専門家に相談することで、闇金問題を解決しやすくなります。

被害が大きいときは警察にも相談する

闇金業者によっては被害者が返済しないことに激怒して、事件性のある行為に及ぶ場合があります。自宅の玄関を蹴られたり自分や家族に対して暴行を加えたりするケースも少なくありません。もし業者からの悪質な取り立てにより被害を受けたときは、弁護士だけでなく警察にも相談しましょう。警察が事件性を認めれば業者に対して取り立てをやめるよう指示してくれます。

注意すべきポイントは暴行や取り立てなどの証拠がなければ、警察に相談しても相手にしてもらえないこと、また電話やメールでの取り立てだけでは事件性が弱く、警察が対応しない場合があります。

業者の悪事を残すために、カメラやボイスレコーダーといった道具で証拠を記録することが重要です。事件性が認められることで被害者は警察から保護されるようになります。

破産や民事再生した人は広告に注意

この記事を読んでいる人の中には、過去に自己破産や民事再生といった手続きをした人もいるはずです。破産した債務者の記録は官報の諸事項で公開されていて、誰でも破産した人の名前と住所を確認できます。大半の人たちは官報で破産者を見ることは少ないですが、闇金業者は官報を見ていることが多いです。破産者は借金の減額や免除が認められている分、信用情報に傷があるためです。

立場の弱い破産者はお金に困ることが多く、業者が宣伝することで闇金に手を出してしまう傾向があります。そのため業者が官報で破産者の住所をチェックして、DMやチラシを送るのです。

過去に破産した経験がある人は自宅に届くDMや宣伝に注意しましょう。「ブラックでもOK」「破産しても借りられる」と謳う業者は闇金が多く、お金を借りるとトラブルの原因になります。

借金をするときは業者を細かくチェック

もし生活費や娯楽費などのために借金を検討している場合、業者を細かくチェックしてから申し込むことがオススメです。問題のある業者からお金を借りると金利や取り立てなどで被害を被ります。

あなたが借金を検討している業者が以下の項目に当てはまっている場合、闇金である可能性が高いです。

  • 実際に存在する賃金業者に偽装して融資を宣伝している業者(登録詐称業者)
  • 実店舗や固定電話を保有せずに携帯電話だけで融資している業者(090金融)
  • 返済実績を作ることで高額な融資ができることを謳う業者(融資保証詐欺)
  • 申し込んでいないのに業者からお金が振り込まれて高額な利息を請求する業者
  • 中小規模の企業向けに高い金利で事業資金を貸し付ける業者(システム金融)

摘発を防ぐために闇金業者は実態を隠しているところが多い傾向があります。貸金業者に申し込むときは、所在地や固定電話があるか確認してから融資を依頼しましょう。

実際に専門家が行う闇金に対する対処方法

「専門家に依頼するとどのように闇金を対処してくれるのか気になる」と思う人は多くいるはずです。闇金の被害者が専門家に依頼すると、以下のような方法で闇金に対処してくれます。

  1. 電話や店舗での交渉
  2. 口座凍結
  3. 実態の調査
  4. 刑事告発

なぜこれらの方法で闇金に対抗できるのか、それぞれの対処について詳しく理解しておきましょう。

電話での交渉

一般的に闇金業者と連絡するには電話を活用することが多く、専門家は業者と電話により交渉します。被害者が先に闇金へ電話して、業者と連絡が取れたら専門家が代わる流れです。専門家が直接闇金に電話をかけることもありますが、業者が「そんな債務者は見覚えがない」と知らないふりをする場合があります。そのため被害者が先に電話をして、専門家が電話の途中で交代するのです。

専門家が電話で連絡したらまず、被害者が専門家に債務整理の依頼をしたことを通告します。受任通知書を送るために住所またはFAX番号を尋ねるのが原則です。

業者によっては専門家に対して反抗するところがありますが、通常では専門家が闇金に電話することで引き下がります。

口座凍結

お金を送金したり入金したりするには口座が必要であり、闇金業者は貸付や返済のために複数の銀行口座を利用します。銀行口座は他の業者からの買取や債務者から奪うことで確保したものです。

もし被害者が闇金業者に対してお金を返済してしまった場合、専門家は振り込め詐欺救済法により業者の口座を凍結できます。被害者が振り込んだ口座情報により口座凍結申請を送るのです。凍結された口座は利用できなくなり、業者が営業を続けるのは不可能になります。

実態の調査

口座凍結よりも闇金業者が恐れていることは、警察から逮捕されて刑事罰を受けることです。業者の悪事が摘発されれば営業活動ができなくなり、融資による儲けがなくなります。

事務所側は悪質な闇金業者を告発するために、交渉の内容や振込明細などの証拠を集めて実態を調査します。携帯電話の所有者や貸金業者として登録された代表者の住所を調べます。このような調査により集まった証拠を活用することで、闇金業者に有利な立場で交渉できるようになるのです。

刑事告発

専門家が闇金業者の実態を調査することで、被害届や刑事告発のために必要な証拠が集まるものです。いつまでも業者からの取り立てが続いた場合、警察に情報を提供して業者の摘発を始めます。

闇金に対しての法律もある

今では業者が貸金業により資金を集めて、暴力団などの悪意ある組織に資金が流れないよう、ヤミ金融対策法が成立しています。以下のような要素により闇金業者を対策できるのが特徴です。

  1. 賃金業登録制度の強化
  2. 法外な金利での契約を無効化
  3. 取り立ての規制強化
  4. 罰則の強化

それぞれの項目について簡単に解説します。

賃金業登録制度の強化

消費者にお金を貸して金利により利益を稼ぐ貸金業をするには、財務局または都道府県の登録が必要です。ヤミ金融対策法により登録するための審査が厳しくなりました。

例えば登録時の本人確認が強化されて、最低150万円以上の財産を保有しない業者は登録できなくなったのです。また登録に必要な手数料も引き上げられました。

法外な金利での契約を無効化

1年間に109.5%を超える金利により資金を貸し付けた場合、その貸付契約は無効化されるようになりました。無効となった貸付契約では債務者が利息を払う必要はありません。

取り立ての規制強化

貸金業規制法により悪質な取り立ては禁止されていて、ヤミ金融対策法では具体例が明記されました。例えば正当な理由なくして21時から翌日8時までは取り立てができず、債務者の住居以外の場所に電話や訪問するのは不可能になったのです。

罰則の強化

出資法や貸金業規制法に違反した業者に対する刑罰は大幅に引き上げられました。

例えば無登録で営業した場合、5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金となったのです。高金利でお金を貸した場合も同じく1,000万円以下の罰金などが課せられます。

まとめ

今ではヤミ金融対策法により闇金から被害を受けることは少ないですが、業者の性質を理解して自衛することが重要です。実態のない業者からお金を借りないよう注意しましょう。もし闇金に手を出してしまったら、すぐに専門家と相談をして問題を解決することが重要です。業者から被害を受けた場合は警察に相談するのも良いですね。