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親が闇金を利用していた時のリスクと対処法

取り立て対策

「親が闇金を利用していたが、どのようなリスクがあるか知りたい」
「親の闇金の取り立てに対して、どのように対処すれば良いか知りたい」
親が闇金を利用していた場合、本来無関係であるはずの子どもも影響を免れません。

今回は、親が闇金を利用していた時のリスク、親が闇金を利用していた事例、親が闇金を利用した時の対処法などについて説明します。

親が闇金を利用していた時のリスク

親が闇金を利用していると、子どもにはどのようなリスクがあるのでしょうか。以下では、親が闇金を利用した時、子どもに生じ得るリスクについて説明します。

家族にも取り立ては及ぶ

闇金業者を利用し、返済が滞った時、闇金の督促の標的となるのは債務者個人だけではありません。債務者の家族や友人も、闇金の督促のターゲットとなります
闇金は申請時に審査や緊急連絡先などの名目で、家族や友人知人の連絡先も聞き出しておきます。それは、利用者が返済できなくなった時に、代わりに取り立てを行う目的からです。

当然、その対象には子どもも含まれます。
同居していれば固定電話にかかって来た闇金からの督促の電話を受けてしまうこともあり得ますが、同居していない場合でも督促を受ける可能性があるのは、上記の事情から、親が闇金業者に子どもの連絡先を教えてしまっているケースがあるからです。

学校や職場に連絡がくる可能性

もし親が申請時に子どもの勤務先を教えてしまっていれば、勤務先に連絡が来る可能性もあります。また、学生の場合は、学校に連絡が来る可能性もあります。
会社に闇金から督促の電話が入れば、業務に支障が出て大変な迷惑になるでしょうし、学校の場合は噂になり、そこからいじめに発展する可能性もあるかもしれません。

様々な嫌がらせをされる可能性

闇金は単に督促をするだけでなく、様々な嫌がらせをしてくることもあります。闇金の行う嫌がらせの代表的な手口として、ピザや寿司のデリバリーの大量発注や救急車や霊柩車等の配車があります。闇金の嫌がらせの手口については、以下の記事で詳しく説明していますので、併せてご参照ください。

こうした嫌がらせのターゲットには、利用者だけでなく利用者の身内、子どももされる可能性があるのです。

子どもの銀行口座を渡してしまう親も

闇金を利用している方の中には、闇金の要求に応じて自分の通帳を渡してしまう方も存在します。その中には、子どもの銀行口座を渡してしまうケースも報告されています。子どもが未成年の場合など、親が銀行口座の開設を代行することが可能ですので、知らない間に自分名義の銀行口座が闇金に渡ってしまっていた、ということになりかねません
闇金の手に銀行口座が渡ってしまった場合、警察に闇金業者の仲間とみなされる可能性や、同じ名義の全ての銀行口座が凍結される、新規で銀行口座が開設できなくなる等のリスクがあります。

勝手に連帯保証人にされる

通常、連帯保証人をたてるには、本人の同意が必要です。しかし闇金の場合は、勝手に連帯保証人にしてしまうというケースも珍しくありません。闇金を利用する親の中には、子どもを連帯保証人にしてしまう方も存在するといわれています。

親の死後も取り立てがくる可能性

親が闇金を利用していた場合、親の死後も取り立てを受ける可能性があります。
例え相続放棄をしたとしても、闇金は元々違法であるため、法律などお構いなしで取り立てをしてくることもあるのです。

親が闇金を利用していた事例

親が闇金を利用していた時のリスクについて前述しましたが、「親が闇金を利用していることで、子どもにまで被害が及ぶことなどあるのか?」と、疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
大手Q&Aサイトには、親が闇金を利用しており被害に遭っているという事例が複数掲載されています。今回はその中から数例をご紹介します。

未成年の子どもを連帯保証人に闇金を利用

2021年3月頃、親が闇金を利用し未成年の子どもを連帯保証人にしていた事例です。

投稿者の知人の親が闇金を利用し、未成年者(17歳)の娘を連帯保証人にしていたそうです。
「こちらに被害が及ばないようにするにはどうしたら良いのでしょうか?」
「連帯保証人を解消する事は出来ますか?」
「上記の内容を未成年が相談できる組織はありますか?」
といった投稿者の質問に対し、回答者からは以下のような意見が寄せられていました。

  • 未成年でも連帯保証人にはなれるが、同意なく連帯保証人にされていた場合は無効である
  • 相手が闇金ならば契約自体が無効である

回答者の意見にあるように、親であろうと勝手に借金の保証人にすることはできません。また、相手が闇金であるのなら、貸付契約自体が無効であると考えられます。しかし、保証人であることを理由に借金の弁済を迫られる可能性があるため、早期に法律の専門家に相談するべきでしょう。

参考記事:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11240451116?__ysp=6Kaq44CA6ZeH6YeR

親が闇金を繰り返し利用してしまう

2007年11月頃、親が闇金などで借金を繰り返すという事例です。

投稿者の母親は、以前から繰り返し闇金を利用してしまうそうです。司法書士等を介して解決しても、すぐにまた闇金から借金をしてしまうため、きりがないとのことです。借りる際に、子どもである投稿者の名前や職場を教えてしまったようで、ここ1カ月ほど脅迫めいた督促が来るようになり、困っているそうです。

「何かこの事例に対し、良い知恵がありましたらよろしくお願いします」という質問に対し、回答者からは以下のようなアドバイスが寄せられていました。

  • 闇金も、保証人以外に対する督促も、取り立て行為自体も全てが違法なのだから、警察に行けばいい
  • 法律の専門家に相談するべき

このケースは、現時点での会社に督促が来るという問題を解決するためには、法律の専門家に相談するのが良いでしょう。しかし、問題の根本は投稿者の母親が闇金から繰り返し借金をしてしまうところにあるため、今回の件を解決したところで、またいつ同じことが起きないとも限りません。

参考記事:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1113382051?__ysp=6Kaq44CA6ZeH6YeR

父親が闇金を利用していた

2014年8月頃、父親が闇金を利用していた事例です。

父親が闇金のようなところからお金を借り、返済が滞っているようで、「父親から回収できない場合は、息子さんの所に行きます」と、言われたそうです。
「連帯保証人にもなっていないのに、相手が闇金であると私にも返済責任があるのですか?」「闇金側に個人情報が渡っているようで、心配です」という内容の投稿でした。

回答者からは、以下のようなアドバイスが寄せられていました。

  • 保証人になっていない限り、親の借金を返済する必要はない
  • 闇金のようなところ、という借入先が本当に闇金であるか確認する必要がある
  • 法律の専門家に相談する

回答者の意見にある通り、借入先が闇金でなくても連帯保証人になっていない限り、債務者本人以外に弁済責任はありません。しかし、連帯保証人でもない子どもに対して弁済を求めてくる業者が正規の貸金業者である可能性は低いでしょう。

参考記事:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12134823742?__ysp=54i26Kaq44CA6ZeH6YeR

親が闇金を利用していた時の対処法

親が闇金を利用していた場合、子どもはどうすれば良いのでしょうか。以下では、親が闇金を利用していた時の対処法について説明します。

返済する必要はない

まず、自分から署名・捺印をして連帯保証人になっていない限り、親とはいえ、他人の借金を代わりに返す必要はありません。また、万一連帯保証人になってしまっていたとしても、相手が違法な闇金業者であれば、貸付契約自体が無効となる可能性が高いです。

法律の専門家に相談する

親が闇金を利用して、子どもであるあなたに取り立てが来た場合は、法律の専門家に相談することをおすすめします。闇金業者は違法ですので、法律のプロである専門家に相談することで、問題を解決することが可能です。

闇金業者の情報や貸し借りの状況などを把握するためにも、お金を借りた当事者である親を相談に行かせる、もしくは一緒に相談に行くことが望ましいですが、連絡が付かない・相談に行くことを嫌がる等、無理であれば取り立て被害に遭っている子どもだけでも大丈夫でしょう。未成年であっても、法律家に相談することは可能です。

警察に相談する必要があるケース

「闇金は違法なのだから、相談先は警察でもいいのでは?」と思われるかもしれません。最近は、警察の闇金に対する取り締まりも厳しくなっているため、闇金の被害者を「借りた方が悪い」と門前払いすることは少ないです。しかし、親身に話を聞いてくれたからと言って、具体的な対処を行ってくれることは残念ながら期待できません。何故なら、警察は基本的に民事不介入であり、闇金事件は一般的に民事として扱われるからです。
そのため、闇金の取立てや嫌がらせを止めさせたい場合は、警察より法律の専門家の方が適しているといえます。

ただし、闇金業者が家まで押し掛けてきて人や物に対して暴力行為を働いたようなケースや、その恐れがある場合は、警察に通報する必要があります。家まで来ている場合は、玄関を開けずに警察に通報して来てもらう、具体的な被害が出た場合は証拠(医師の診断書や壊された物の写真など)を持って相談に行くことをおすすめします。

親と距離を置くのも一つの手段

育ててもらった恩や情があって難しいかもしれませんが、親が何度も借金を繰り返してしまう場合、距離を置くのも一つの手段です。あなたの人生はあなたのものです。連絡先や仕事先は教えずに遠くに引っ越してしまうことや、親戚などの周囲にも口止めや協力を仰ぐ等を行い、できるだけ関わらないように距離を置いて暮らすことを検討してはいかがでしょうか。

まとめ

今回は、親が闇金を利用していた時のリスク、親が闇金を利用していた事例、親が闇金を利用した時の対処法などについて説明しました。

親とはいえ、他人が作った借金は連帯保証人になっていない限り、返済する義務はありません。また、闇金は違法業者であるため、契約自体が無効である可能性が高いです。
もし親が闇金を利用しており、督促を受けた場合は、闇金対応に強い法律の専門家に相談することをおすすめします。

我々ジェネシスWESTは、借金問題に詳しい司法書士と元警察官がタッグを組んで闇金トラブルを解決する司法書士事務所です。年中無休で迅速に対応しますので、親の方は、一人で悩まずにぜひお気軽にご相談ください。