闇金からの借金で銀行口座が凍結?解除方法やお金をおろす方法を解説
闇金による被害の話・議論になると、銀行口座トラブルも一つのトピックになる場合があります。銀行口座というと一般的には、給与の振込先・保険料などの引き落としなどで使うといったイメージがあります。
しかしながら闇金被害による銀行口座トラブルというのは、とても複雑かつ厄介なものなのです。
そこで今回はこの闇金と銀行口座につきまして、銀行口座が凍結する理由・口座凍結解除方法などにも触れながら話が展開されます。
目次
銀行口座が凍結する理由
闇金被害者(闇金利用者)であるにもかかわらず、自分の銀行口座が凍結してしまうというケースがあります。被害者なのに、何で自分の口座が凍結されるの!?と思うのは当然です。
この理由として、知らないうちにご自身の口座が犯罪利用預金口座に認知されている可能性があるのです。
つまり、犯罪に加担していると解釈されている可能性があるということです(もちろん知らず知らずのうちに・無意識に)。
犯罪利用預金口座
犯罪利用預金口座とは、闇金や振り込め詐欺などの振込利用犯罪行為における振込先となった口座のことです(犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律2条3項4項)(振り込め詐欺救済法)。
金融機関は捜査機関などからの情報により、ある口座に対して犯罪利用預金口座の可能性があると認めるとします。
こうなると、当該預金口座に係る取引の停止などの措置(口座凍結)を適切に講ずるとされています(振り込め詐欺救済法3条1項)。
ここで、闇金被害者なのになぜ自分の口座が犯罪利用預金口座と解釈されるの?と思うのは当然です。これは、闇金の客振りという手口によるものです。
客振り
客振りというのは、闇金の客(闇金利用者・被害者)に振り込ませるということです。通常一般的な金銭貸借というのは、下記仕組みになっています。
客振りでは下記の形になります。
つまり闇金業者からの融資(送金)だと思っていたものが、他闇金被害者からの返済金として送金されているという仕組みなのです。
自分の口座が他闇金被害者からの送金先ということは、自分の口座が闇金の口座(犯罪利用預金口座)と解釈されてもおかしくはないということです(事情が公になっていないうちは)。
闇金としては新規問い合わせ・融資申請があった際に、既存利用者に新規利用者へ送金させるのです。こうすることで、闇金側の手間を省けます。
被害者からの申出
被害者からの申出というのは上記ケースと異なり、闇金被害者からの被害相談により闇金業者の口座が凍結するというものです。
銀行口座凍結解除のために
闇金利用(被害)による銀行口座凍結解除には、まずとにかく早めに弁護士の方や司法書士の方といった専門家へ相談となります。
やはり専門家へ頼む方が、解除までの段取りや無罪を主張できる証拠準備などについて一つ一つ丁寧に説明してくれます。
そして法律家のみが入手できる専用の書式を用いて、銀行へ直接要請書を提出してくれます。このような手順を踏んだ方が、落ち着いて着実に段取りを進められる傾向にあります。
たとえば、銀行口座凍結の事実・闇金にだまされたという事実を知ったというだけで冷静さを失い警察へ駆け込み、「闇金にだまされて口座を凍結されました。自分は普通の人ですから、ねえ!!信じて!!助けて!!」と荒い語調で懇願するとします。
これだけで警察が「そうですね、あなたは良い人そうですね、直ちに口座解除のための措置を取りましょう」となるのは期待し難いです。闇金被害者であることの、客観的根拠を伴った証明が求められます。
銀行口座問題(口座売買問題含む)
口座売買
銀行口座を売るのは犯罪です。仮に大金が入っていない口座の場合、大して入っていない口座だし別に何も大きなトラブルにはならないだろうというイメージをもつかもしれません。
しかしながら一般的にあまり大きくは認知されていない傾向にありますが、銀行の口座売買(自分の口座を売る)というのは犯罪収益移転防止法違反という立派な犯罪です。
ここで、そもそも何で口座を売るといった事態になるの?と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。確かに一般的にまっとうな生活をしていれば、口座を売る必要があるなどといった事態はなかなか生じ得ません。このことを次に説明します。
口座を売る(無料譲渡する)経緯
闇金というのは、常軌を逸脱した高金利の利息を求めてきます。この利息返済要求に対して、利用者はだんだんと期日までの利息返済が厳しくなりついには滞ってしまうわけです。
ここで闇金側から、利息を待つから新規口座を作って無料譲渡するようにと求められるのです。
ここで犯罪収益移転防止法の存在を知らない方は、「ただ新規口座を作るだけで、利息返済を待ってもらえるのなら」と要求に応じる場合があるという話です。
銀行口座凍結とお金を取り戻すということ
裁判を起こさずにお金を取り返す
闇金の被害にあって不当にお金を取られた場合は、「振り込め詐欺救済法」や「被害回復給付金支給法」によってお金を取り返せる可能性があります。裁判を起こさなくても、被害金を取り返せる可能性がある方法です。
警察への届出
警察へ被害届の提出も必要となってきます。派出所ではなく、警察署の生活安全係(生活経済係)へ行きます。
警察へ行ったら「借金をしてこうこういった悲惨な状況になり」などといった間接的な表現でなく、「闇金融の被害届を提出に来た」と最初に明確に伝えた方が話は進みやすい可能性があります。
間接的な表現でも、勘の良い警察の方なら「要するに闇金融の被害届ですか?」と対応してくれるかもしれませんが。
そして次の事柄をまとめて整理しメモしておくと、さらに話が進みやすい可能性があります。
- 闇金融の名前
- 電話番号
- 振込先番号
- 入金があった日
- 入金の金額
- 送金した日
- 送金の額
上記に加え、電話の履歴(録音した会話内容)・その他嫌がらせ内容(家族や勤め先への電話)などささいなことでも闇金被害にあった証拠になり得ます。
絶対に取り戻せるというわけではない
闇金というのは、振り込まれたお金を随時引き出す傾向があります。それゆえに闇金の口座を凍結・お金を取り戻すための手続きをふんだとしても、必ず取り戻せるというわけではありません。
そして取り戻せても全額が取り戻せるというわけではなく、一部しか戻ってこないという場合もあり得ます。
報復をされないか
闇金の口座を凍結・お金を取り戻すという行動で、闇金から逆恨みされて何か報復をされるのではと心配する方もいらっしゃいます。
しかしながら闇金というのは様々な手法で複数の口座をもち、各々の口座には複数の方が関わっている場合があります。このような状況では、誰が凍結させたのか特定するのは困難です。
仮に特定されて報復があるにしても、催促電話の時のような電話攻撃がある程度と予想されます。電話攻撃があるときには、司法書士の方や弁護士の方といった専門家へ相談となります。
「暴力などによって実際に危害を加えられるのでは?」と心配する方もいますが、こうなってきたら闇金側としては営業停止処分・廃業へ追い込まれるといった懸念ができてきますので可能性は極めて低いです。絶対にないと断言は致しかねますが。
留意点として電話番号などの個人情報が闇金側へある以上、別の業者・別の手口で何か仕掛けをしてくる可能性はあります。住所などを変えるのは難しいですが、電話番号程度なら変えるのはそう難はないです。
口座凍結の防止策
口座解約
口座凍結の防止策としてまず闇金(怪しい金融業者)からはお金を借りないことはもちろんですが、振り込みを受けた口座(犯罪利用預金口座と解釈される兆しがある口座)を解約することです。
引き落とし口座などとして利用している場合、書類手続きなどで面倒は予想されますが口座凍結によりさらに面倒な事態になるよりはマシです。
口座凍結の予兆
送金元をみると予想した貸金業者とは別の名称でかつ闇金業者から、「振込は確認できましたか?」といった確認電話があるとします。
この場合闇金の別被害者が自分の口座へ送金してきている可能性がありますので、自分の口座が犯罪利用預金口座になってしまうサインともいえます。
この時点でも、消費生活センター・司法書士・警察などといった機関へ早めの相談や措置が有効的です。
口座売買と罪
先程口座を売るのは罪と記述しましたが、事情聴取から実刑までの流れや内容などを説明致します。
大きな流れ
- (自首または警察から任意同行を求められて)警察による事情聴取
- 事情聴取・嫌疑内容確認・異議申し立てするか否か検討(検察にて)
- 裁判(正式の場合と略式の場合があり)
- 罰金もしくは懲役などの実刑
実刑までの説明
警察による事情聴取
無意識とはいえ犯罪に加担してしまったのだという後ろめたさから怖がって「口座を売ったのではなく、紛失した口座を悪用されました」と言いたくなる気持ちにもなり得ます。
しかしながらここでは、後々余計なさらなる問題を防ぐために口座を売ってしまった事実と当時の状況をありのままに話すのが大切です。
検察での段取り
検察での事情聴取が行われ、起訴もしくは不起訴が伝えられます(不起訴の場合はここで終わり、罰金無し・前科無しとなります)。
起訴の場合
正式裁判か略式裁判となります。
※略式裁判:検察官が提出した書面によって審査される、裁判手続きのことです。ただし、被疑者に意義のない場合という条件があります。事件対象としては、100万円以下の罰金あるいは科料に相当する事件です。
実刑
口座売買の場合、罪として詐欺罪もしくは犯罪収益移転防止法違反があります。 犯罪収益移転防止法違反なら、刑として次の2つがあります。
- 100万円以下の罰金刑
- 1年以下の懲役
まとめ
以上闇金と銀行口座について述べてきました。本記事で大きな特徴的な点としては、闇金被害者であるにもかかわらず自分の銀行口座が凍結する理由・銀行口座を売るのは犯罪であるということではないでしょうか。
銀行口座が凍結しまった・銀行口座を無意識ながら売ってしまったとなってからでは、元の平穏な生活に戻るにはとても面倒な問題となります。
なるべく早い段階で気づき、警察・司法書士の方・弁護士の方・消費生活センターなどに連絡・相談が重要といえます。