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闇金の実調(実地調査)とは?自宅に来られた時の対処法を解説

闇金の手口

「留守中にドアが蹴られていたが、闇金業者の仕業ではないか」
「闇金の督促状がドアに貼られていたが、闇金業者が家まで来たのではないか」

闇金を利用したことがある方の中には、闇金業者が家まで来るのではないかと恐れている方や、実際に来られたことがある方もいらっしゃるかもしれません。
最近の闇金業者は、債務者の自宅まで直接取り立てに来ることはほとんどないといわれていますが、取立て以外に実調(実地調査)として債務者の自宅付近に現れることもあるそうです。

本記事では、闇金が行うという実調(実地調査)とはどのようなものであるかと、その目的について説明します。闇金が自宅に来た場合の対処法についても詳しく解説しますので参考にしてください。

闇金の実調(実地調査)とはどのようなものか

闇金用語に「実調(実地調査)」というものがあります。
本来の意味では、国が国税調査のために納税義務者の元を訪れて質問や検査等を行うことや、それに類する行為を指しますが、闇金が行う実地調査とはどのようなものなのでしょうか。

以下では、闇金の実調(実地調査)の意味について解説します。

夜逃げしていないか確認する

闇金の実調(実地調査)は債務者の自宅まで来て、夜逃げをしていないかなど確認する行為をいいます。具体的な確認方法としては、郵便受けや電気メーター等をチェックして、そこに人が暮らしているかどうかをチェックするようです。

取り立て行為は行わない

実調は主に債務者が不在中などを狙って行われ、債務者と直接顔を合わせ取り立てるといったことはしないようです。

闇金の利用者の中には、闇金が自宅まで押し掛けてきて、暴力を振るわれるのではないかと恐れている方もいらっしゃるかもしれませんが、こうした行為は最近ではほとんどありません

ヤミ金融対策法の施行後、闇金に対する罰則は強化されており、最近の闇金業者は極力警察に捕まることを避ける傾向があります。単に高利でお金を貸しているというだけなら民事事件扱いになるため、警察が積極的に取り締まることはありませんが、直接現れて暴力を振るうようなことがあれば、刑事事件として警察が動き、逮捕されてしまう恐れがあるからです。

闇金の暴力行為については以下の記事で解説していますので、詳しく知りたい方は併せてご参照ください。

痕跡を残していくことも

実調に来た闇金業者は、直接の取立てはしない代わりに、ドアやポストに督促状を残していくことがあります。他にも、いつの間にか誰かにドアを蹴られた跡が残っていることや、電気メーターのコードが抜かれているようなことがあった場合は、闇金業者が実地調査に来た可能性があります。

督促状以外の痕跡では、闇金が来たことに気付かない方もいらっしゃると思います。しかし、闇金はあなたの知らない間に、実調(実地調査)を行っているかもしれません

闇金が実調(実地調査)を行う目的

闇金の実調(実地調査)は、上述した通り、第一に債務者が夜逃げしていないかの確認のためです。他の目的としては、以下のような事柄が挙げられます。

住んでいる事実と場所の確認

闇金からお金を借りる際には、住所の確認ができる身分証明書の提示を求められます。闇金の実地調査では、その身分証の住所に債務者が実際に居住していることを確認する目的もあると考えられます。

もし実地調査により、その場所に現在住んでいないことが知られた場合は、闇金業者のネットワークを駆使して捜索されることになるでしょう。

債務者を精神的に追い詰めるため

実地調査の際には、債務者の前に直接姿を現すことがなかったとしても、督促状を残す等、訪れたことを知らせることで、債務者を精神的に追い詰める狙いがあると考えられます。
また、督促の際などに、実際に行かなければ分からないような自宅の特徴などを語った上で「返済しなければ家まで行くからな!」と言えば、脅しも現実味を帯び、債務者は震え上がることでしょう。

近所へ悪評を流す等の嫌がらせをすることも

他にも、実地調査の際に、近所の家に顔を出して、「お隣の××さんが借金を返してくれないんですよ」などと吹聴することや、自宅近くに債務者を中傷する内容のビラを貼り付けるといった嫌がらせをすることがあります。
家族が近くのお店などで働いている場合や子どもの学校などが近くにある場合は、そちらを訪れるといったケースもあるかもしれません。

闇金業者が自宅近くに来ていると感じることは、債務者にとって大変なプレッシャーになります。実地調査には警察に通報するには情報が足りないけれど、確実に自宅の近くまで来ており、いざとなれば直接攻撃されるかもしれない、という恐怖を与える目的もあるのかもしれません。

闇金に実地調査をされた場合の対処法

もし闇金に実調(実地調査)をされた、または、されているのではないか、と感じた時は、以下の通りに対処することをおすすめします。

証拠を集める

まず、闇金業者が家に来た証拠を集める必要があります

ドアが靴跡で汚れていた、電気メーターのコードが外れていたというのは、やや証拠としては弱いものですが、闇金業者の仕業である疑いがあるのでしたら写真に撮って残しておきましょう。督促状や中傷のビラなどが残されている場合は、重要な証拠となりますので、捨てずに保管してください。

また、子どもや家族が家にいて自分が不在の間が心配だという場合や、家に来られたらどうしようと恐れている場合には、防犯カメラを設置するのも良いかもしれません。防犯カメラも簡易なものであれば、家電量販店で数千円程度で販売しています。

警察に相談する

闇金が確実に自宅まで来ており、その上で脅迫を受けているなど、身の危険を感じる場合は、警察に相談することをおすすめします

闇金被害を警察に相談する際は、最寄りの警察署の窓口で「闇金被害の相談をしたい」と申し出ましょう。警察で闇金被害に対応するのは、基本的に生活安全課です。
警察に闇金被害を相談することは可能ですが、しかしそれで警察が闇金に対し捜査を行い逮捕という流れを期待することは難しいと理解しておきましょう。
何故かというと、闇金問題は一般的に民事事件として扱われるからです。警察が扱うのは基本的に刑事事件のみで、民事事件には介入しません。

しかし、闇金業者が実際に自宅まで来ており恐怖を感じているという場合は、その証拠を示すことで、闇金が現れそうな時間帯に自宅周辺のパトロールの強化などをお願いすることはできます。
警察に真剣に取り合ってもらうためにも、できる限り上述したような具体的な証拠を集めておくことが大切です。

闇金問題を警察に相談する際の手順については、以下の記事で詳しく説明していますので、併せてご参照ください。

法律の専門家に相談する

闇金問題を警察に相談しても、上述したような事情から即時に解決することは難しいです。

闇金問題を早期に解決したい場合は、法律の専門家に相談することをおすすめします

闇金対応を法律家に依頼すると、法律家は闇金業者に対し介入を知らせる受任通知書を送付します。受任通知を受け取った業者は、その後法律家を通さずに債務者に直接連絡や督促を行うことはできません。もし介入後、債務者に直接接触した場合は、法的な措置を取られることになります。
ヤミ金融対策法の改正後、罰則が強化されたこともあり、闇金業者は逮捕されることを恐れています。そのため、法律家が介入したことを知った時点で手を引く業者も少なくありません。

法律の専門家に相談するデメリットとして、費用が掛かるという点が挙げられます。しかし、闇金対応を専門に扱っている事務所の中には、後払いや分割払いに対応しているところもあります。闇金に怯えて暮らし続けるくらいでしたら、法律の専門家に相談して根本から問題解決してはいかがでしょうか。

我々ジェネシスWESTは、借金問題に詳しい司法書士と元警察官がタッグを組んで、闇金トラブルに対応する司法書士事務所です。相談は無料で、着手金については後払い・分割払いにも対応しています。闇金業者とのトラブルを解決したいという方は、一人で悩まずにぜひお気軽にご相談ください。

転居も手段の一つ

闇金問題を解決した後も、闇金業者に教えた個人情報は、闇金業者のネットワーク内に残ります。そのため、今回の問題が解決した以後も、いつまた勧誘や請求が来るとも限りません。闇金に一度教えた個人情報はできる限り変更することをおすすめします。その一環として、知られている住所から引っ越してしまうという手段があります。

ただし、問題を解決せずに夜逃げすることはおすすめできません。夜逃げをすることで闇金問題から逃れることは、リスクが多いからです。闇金問題で夜逃げをするリスクについては、以下の記事で詳しく説明していますのでご参照ください。

まとめ

今回は、闇金が行うという実調(実地調査)とはどのようなものであるか、闇金が実地調査を行う目的、闇金に実地調査をされた場合の対処法などについて説明しました。

ヤミ金融対策法施行後、闇金業者は実際の事務所を構えることはなくなり、基本的に債務者と携帯電話やネット上でのやり取りのみになったため、債務者の前に姿を現すことは少なくなりました。自宅まで取り立てにくるといったケースもほとんどありません。しかし、住所を知られている以上、自宅周辺に現れないとは言い切れません。

もし闇金の督促状がドアに貼られているようなことや、闇金業者が自宅付近に現れたのではないかと感じた場合は、証拠を揃えて警察に相談するようにしましょう。もし決定的な証拠が得られなかった場合や、警察に相談したけれど解決しなかったという場合、闇金問題を根本から解決したいという場合は、法律の専門家に相談することをおすすめします。