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借りていない借金の返済を迫るカラ貸しとは?

闇金の手口

闇金はお金を借りてもいない人に対しても返済を迫ることがあります。これを「カラ貸し」と言います。

「借りてもいないのにお金を返済するわけがない」と多くの人は考えるのではないでしょうか?普通の人は確かにその通りです。

しかし、闇金はカラ貸しに引っかかる人を狙って請求を行います。

カラ貸しはどのような人が狙われやすいのでしょうか?カラ貸しの手口と対処法について詳しく具体的に解説していきます。

カラ貸しとは?

カラ貸しとは、お金を借りてもいない人に対して「返済せよ」と請求を行うことです。

このため、「闇金からお金を借りる」というよりも「振り込め詐偽」のような詐欺行為と言った方がよいでしょう。

借りていない人に「返済されていない」と請求する

カラ貸しとは簡単に言えば、実際にはお金を借りていない人に対して「返済されていないからお金を返済しろ」と督促することです。

対象者は実際にはお金を借りていないことから「カラ」貸しと言います。

カラ貸しはありもしない請求を行う点で、手口としては闇金というよりも振り込め詐欺に近いということができるでしょう。

カラ貸しをするのは闇金

カラ貸しをしているのは闇金か、闇金が後ろについているグループであることが一般的です。

そもそも振り込め詐欺グループの後ろにも暴力団がついていることが多いので、元を正せば一緒と考えた方がいいかもしれません。

カラ貸しの手口は闇金と非常に密接で、基本的には過去に闇金から借りたことがある人や、たくさんの借金を抱えて自己破産や債務整理になった人だけが被害に遭う傾向が高くなっています。

カラ貸しは闇金が行う詐偽の手口ということができるでしょう。

カラ貸しの手口

ではカラ貸しがどのようにして行われるのか見ていきましょう。

振り込め詐偽と異なる点は、カラ貸しは無差別に電話帳などから督促を行うわけではないということです。

普通の人は借りてもいないお金について「返済が行われていない」などと迫っても引っかかることはありません。

闇金はカラ貸しに引っかかりそうな人を絞って督促を行います。それが「過去に闇金を利用していた借金が多そうな人」です。

カラ貸しがどのような人に督促を行うのか詳しく解説していきます。

闇金などの業者から完済した人のリストを入手する

カラ貸しは無作為に電話をかけて督促を行うわけではありません。最初に、過去に闇金などからお金を借りて、それを完済した人のリストを入手します。

「お金を完済した人のリストなど意味がないのではないか」と考える人も多いでしょう。しかし、カラ貸しにとってこのリストは非常に意味のあるリストとなります。

過去に闇金などから借りていた人に督促を行う

過去に闇金などから借りていた人に対して、闇金は「お宅に○○年○月○日に貸した■■万円の返済がまだ行われていないので、返済してほしい」などと電話をかけます。

電話がかかって来た人からすると、借りた会社の名前や金額、借入日などにリアリティがあるので、詐欺を疑うことなく信じてしまう傾向があるのです。

督促は無差別に電話で行われる

闇金は過去に闇金から借りていた人のリストを入手すると、そのリストに対して無差別に電話をかけます。

何件もかけたうちの何件かでもヒットすればよいという感覚ですので、闇金から実際にお金を借りた時のように、しつこい督促が何度も来るわけではありません。

このため、最初にカラ貸しの督促があった段階で毅然とした態度で断ってしまえば、その後しつこく同じ業者から督促が来るようなことはありません。

しかし「借りたかなぁ」などと曖昧な態度の場合には、しつこく電話が来る可能性が高くなってしまいます。

なぜカラ貸しに引っかかるのか?

借りてもいないお金の返済を迫られ返済してしまうということは、普通の人からすればあり得ない話のように思えます。

振り込め詐偽のように、家族や行政の人間のフリをしているならだまされてしまうのも分かりますが、カラ貸しの場合には堂々と「お金を返せ」と言ってくるからです。

しかし、カラ貸しのターゲットにされる人にとっては、堂々と「お金を返せ」と言われる方がだまされてしまうことが多いのです。

カラ貸しに引っかかってしまう理由についても詳しく見ていきましょう。

たくさん借りていると、どこから借りているのか分からなくなる

闇金からお金を借りている人というのは、1社だけではなく複数の会社からお金を借りている可能性が非常に高いケースが少なくありません。

このような人は、どこにいくら返済して何のローンを完済したのかという記憶がかなり曖昧です。

また、心理的に楽になるために、完済までにまだ長い年数がかかるローンについても、「あと少しで返済できる」などと事実と異なり楽観的に捉えてしまうことも多いのです。

要するにたくさんお金を借りている人は、借りている借金と完済した借金の区別ができていないことが多いので、カラ貸しのターゲットにされやすいのです。

どこからも借金をしていない人なら「貸したお金が返済されていない」と突然言われても「人違い」とか「詐欺かもしれない」と考えるでしょう。

しかし、お金を何件も借りている人は、このような安易な手口に引っかかってしまうことも少なくないのです。

過去に借りた分については記憶が曖昧

このように、多重債務の人はお金の管理が曖昧になっています。

そのため、カラ貸しから「○○年○月○日に貸した■■万円の返済がまだ行われていない」などと言われると、「返済していなかったのか」と安易に信じてしまい、借りてもいない借金を返済する事態になってしまうことがあるのです。

カラ貸しの督促の手口

実際にカラ貸しはどのように督促を行ってくるのでしょうか?カラ貸しにおける電話の内容や、「借りていない」と答えた場合の手口を詳しく解説していきます。

ランダムに電話で督促

カラ貸しでは、リストの中からランダムに電話で督促を行います。

前述したように、カラ貸しはどれだけ多くの人に督促を行うのかが重要です。

リストから手当たり次第に電話をかけて、「○○年○月○日に貸した■■万円の返済がまだ行われていない」と督促し、「完済した」とか「借りていない」と答えると、「こちら側が嘘をついていると言うのか」と威圧的な態度になることが多いようです。

このような脅迫に屈してしまうと、何かと理由をつけて再三督促されることになります。

闇金は過去に借りていた人のリストの中から、ランダムに督促を行ってだましに弱そうな人を探し、一度だまされた人・だまされそうな人を徹底的にターゲットにします。

借りていないというと完済証明の提出を求められる

闇金からカラ貸しの電話が来た際に「借りていない」と答えると、「それなら完済証明書を提出しろ」などと言われます。

もちろん、闇金から借りたお金を完済したところで、完済証明などもらえるはずはありませんので、「完済証明を提出しろ」と言われても提出することは不可能です。

このように、闇金は実行不可能ないちゃもんをつけて、完済したかどうか曖昧な人に対して無理やり借りてもいないお金の返済を迫ってくるのです。

融資申込後のカラ貸しの手口にも要注意

上記の事例は、以前闇金を利用していた人に対する手口です。

しかし、闇金からお金を借りたことがなくても、闇金に申し込んだり個人情報を闇金に伝えたりするだけで、カラ貸しのターゲットにされてしまうこともあるので注意が必要です。

申し込みをキャンセルすると手数料を要求する

闇金に申し込んだけれど実際にお金を借りていない人も、カラ貸しの被害に遭ってしまうことがあります。

借金の申し込みをキャンセルしても、闇金は「手数料」などと言ってお金をせびってくることがあります。これも、実際にお金を借りていないにも関わらず費用を請求しているのでカラ貸しです。

もちろん、1円も支払う必要はありませんし、支払ってしまうとさらに様々な名目でお金をせびり、最終的には「支払うお金がないならお金を貸します」という話になってくる可能性が高いので、絶対にお金を支払ってはいけません。

職場へ連絡すると言って脅す

そもそも闇金に申し込んでしまうということは、闇金に勤務先や住所などを知られてしまうということです。

手数料を要求されて支払を行わないと「会社に電話をかけて請求するぞ」などと脅されます。

この脅しにも屈してはいけませんし、そもそも実際にお金を借りている訳ではないので、毅然と断ってしまえば会社にまでカラ貸しの督促が行われるようなことはないでしょう。

融資申込後は個人情報を知られているのでタチが悪い

そもそも闇金に申し込みを行うと、闇金に個人情報を知られてしまうことになります。

つまり、闇金がカラ貸しに利用するリストに名前が載ってしまうことになりますので、闇金業界に個人情報が出回ってしまい、カラ貸しや闇金からの勧誘などに頻繁に悩まされることになるでしょう。

カラ貸しにだまされないために

カラ貸しの手口は、たくさんお金を借りていそうな人に対して「まだ返済されていないのでお金を返済しろ」と迫ることだけですので非常にシンプルです。

そして闇金側も、本当にお金を借りているわけではない人に対して督促をしているのですから、実際にお金を借りている人に行うような強迫的な取り立てをしつこく行うことはありません。

毅然とした態度で「借りていないものは返済できない」と言えば問題ありません。

それでも、闇金から電話が頻繁にかかってくるということは気持ちのよいものではありません。カラ貸しからの請求を予防するためには、どのような対処を行うべきでしょうか?

闇金には絶対に申し込まない

闇金には絶対に申し込みをしないことが第一です。

前述したように、闇金に申し込みを行うと個人情報は闇金業界で回覧され、他の闇金からも勧誘やカラ貸しの督促が来る可能性が非常に高くなってしまいます。

名前を聞いたことがない業者に問い合わせをする前には、必ず貸金業登録番号を確認するなどして、闇金ではないことを確認してから申し込みや問い合わせを行うようにしてください。

また、ネット上には審査サイトという「個人情報を入力すると審査が行われ、融資可能な業者を紹介する」というサイトがありますが、これも闇金がお金に困った人の個人情報を入手するための手口ですので、絶対に利用しないようにしてください。

いずれにせよ、闇金とは接触しないことが第一です。

返済額と残高をメモしておく

前述したように、多重債務の人ほど自分の借入金額や借入本数を理解していない人が多いものです。

また闇金の場合、利息の支払が膨大で「どうせ完済できない」と考えている人も多いのですが、やはり自分が今どこからいくら借りているのか、いくら返済したのかということはメモに残しておき、その振込明細もできれば取っておきましょう。

返済額と残高をしっかりと把握しておけば、カラ貸しの督促があってもだまされることはありません。

また、弁護士へ闇金に関する相談をするときなども、返済の証拠となる振込明細などを用意できれば、弁護士は「すでに元金以上の金額を返済しているのでこれ以上は返済しない」という交渉を闇金に対して行いやすくなります。

やむを得ずお金を闇金から借りてしまったら、借入残高と返済額をしっかり把握しておきましょう。

脅しには屈しない

前述したように、カラ貸しの際にも「職場にばらす」などと脅される可能性があります。

しかし、このような脅しに屈してお金を支払ってしまうと、闇金の督促はさらにエスカレートしてしまいます。

要するに、脅して取れるところからは取れるだけ取ろうとしているだけの話ですので、絶対に脅しに屈してお金を支払ってはいけません。

カラ貸しは返済しなくてもしつこくはない

前述したように、カラ貸しの督促は返済しなくてもしつこくはありません。

闇金側としても、カラ貸しの請求では「引っかかったら儲けもの」程度にしか考えていないので、あまりにしつこく督促して深追いするようなことはありません。

カラ貸しの請求があっても最初に毅然とした態度で断ってしまえば特に問題はないでしょう。

カラ貸しに引っかかったら弁護士に相談

カラ貸しにだまされてしまい、お金を一度返済してしまうと大変です。

闇金はなんだかんだと理由をつけて、絶対に一度の支払で終了させるようなことはせず、必ず再び支払を迫ってきます。払えば払うほど「脅せば金が出る」と思われて督促はエスカレートします。

カラ貸しにだまされてしまったら、すぐに弁護士に相談するとともに警察にも届出を行いましょう。

カラ貸しは詐欺

カラ貸しは闇金としてはリスクの高い行為です。カラ貸しは詐欺なので刑事事件として扱われます。

闇金からお金を借りても民事不介入ということで警察が動かないケースが多いのですが、カラ貸しは詐欺行為ですので、しっかりと警察や弁護士に相談すれば守ってくれます。

弁護士に連絡すればすぐに督促は止まる

カラ貸しの督促があまりにもしつこい場合には弁護士に相談すればすぐに止まります。

そもそも詐欺行為ですので、闇金としてもカラ貸しにこだわってリスクを負うよりも早く諦めて次のターゲットを探した方がよいのです。

カラ貸しからしつこく督促がくる場合や、カラ貸しにお金を支払ってしまった場合には、弁護士に相談するのが最も効果的で早い対処法でしょう。

弁護士に相談するお金がないという人は、消費生活センターなどに相談することでもカラ貸しの督促は止まることもあります。

警察への被害届もお忘れなく

前述したように、カラ貸しは一般的に闇金に適用される貸金業法違反や出資法違反ではなく詐欺です。

お金の貸し借りの場合には民事不介入になるので、警察に相談しても動いてもらうことができないケースも少なくありません。

しかし、カラ貸しの場合には詐欺ですので、警察に相談することは効果的です。

カラ貸しにお金を払ってしまった場合や、あまりにも督促がしつこい場合には警察へ相談するようにしましょう。

まとめ

カラ貸しとは、お金を借りてもいない人に対して「お金を返済してくれ」と迫ってお金の支払を求めることです。

カラ貸しは過去に闇金などに手を出し、複数の借金を抱えている可能性が高い人がターゲットにされやすいので、今複数の借金を抱えている人は、借入残高が残っている借金は何か、いくら残っているのかなどをしっかりと確認しておきましょう。

また、カラ貸しの督促があったら基本的には無視で構いません。脅されることもありますが、決して脅しに乗らず1円も支払わないようにしてください。

支払ってしまった場合や、あまりにも督促がしつこいような場合には弁護士などに相談するようにしましょう。