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闇金被害も振り込め詐欺救済法の対象となる!手続き方法と注意点を解説

相談・解決

闇金に高金利の利息分を含めた大金を返済した方の中には、何とかお金を取り戻せないものかと思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
闇金業者は違法な高利を利用者に請求しますが、過払い金として返金請求を行うことは様々な事情から困難とされています。
しかし、闇金被害者に対しても返済したお金を取り戻すことができる手段が存在します。それは、「振り込め詐欺救済法」です。

今回は、振り込め詐欺救済法が闇金被害にも適用されることについて詳しく説明すると同時に、手続き方法と注意点について説明します。闇金被害に遭った際の対処方法についても詳しく説明しますので、ぜひ参考にしてください。

闇金被害は振り込め詐欺救済法が適用される

闇金業者は高利ですが、払い過ぎた利息を取り戻す過払い金請求を行うことはほぼ不可能とされています。しかし、その代わりにではありませんが、闇金被害についても振り込め詐欺救済法が適用されます。振り込め詐欺救済方法を利用することで、闇金に支払ったお金を取り戻すことができる可能性があります。
以下では、闇金被害で振り込め詐欺救済方法が適用される理由と、振り込め詐欺救済方法について詳しく説明します。

振り込め詐欺救済法とは

振り込め詐欺とは、いわゆるオレオレ詐欺や架空請求詐欺、担保融資詐欺、補償金詐欺等、被害者に預金口座等に振り込ませる形の詐欺犯罪の総称です。振り込め詐欺救済法は、前述のような振り込め詐欺被害者の財産被害を迅速に回復することを目的として、平成20年6月21日に施行された法律です。

これにより、被害者は振り込んだ金融機関に申請することで、金融機関が振込まれた口座を凍結し、凍結した口座に滞留している残高から被害額の全額、もしくは一部を被害回復分配金として受け取ることが可能となりました

闇金は振り込め詐欺に該当するのか

振り込め詐欺に闇金被害も含まれるというのは、あまりピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、違法業者である闇金業者へは本来元本すら返金義務はないとされていることから考えると、返済義務のないお金を請求する行為自体が振り込め詐欺に該当するということになるのでしょう。

また、いわゆる融資担保詐欺と呼ばれる、融資前に保証金を求められ保証金を振り込んでも肝心の融資はなされないというのは闇金業者が良く使う手口ですが、これは振り込め詐欺以外の何物でもありません
闇金被害は法律的な観点から考えると、振り込め詐欺被害の一種であるとみなされても不思議はないのかもしれません。

振り込め詐欺救済法の手続き方法

前章では、振り込め詐欺救済法を利用することで闇金被害者も被害額の一部が取り戻せる可能性があることを説明しました。
本章では、振り込め詐欺救済法によって被害回復分配金を受けるための手続き方法について具体的に説明します。

警察・金融機関へ被害を知らせる

まずは、警察と振込先金融機関へ被害を届け出、振り込んだ口座の凍結を求めます。
被害回復分配金は犯罪口座の残高を上限に支払われるため、預金を引き出されないためにも、できる限り速やかに連絡するようにしましょう

金融機関による措置

被害者からの連絡を受け、金融機関は被害者が振り込んだ口座に対し取引停止(凍結)措置を行います。そして、預金保険機構へ失権のための公告を要請します。

預金保険機構に公告を掲載

預金保険機構は失権のための公告を、公式ホームページ上で実施します。

参考サイト:振り込め詐欺救済法に基づく公告 (預金保険機構公式サイト)

この公告は約60日間行われ、その間に名義人による権利行使の届出や名義人または被害者の訴訟提訴等の手続きがなされなければ失権となります。

振込先金融機関へ支払い要求をする

失権となった預金口座がある金融機関は、今度は分配金支払いのための公告を預金保険機構に要請し、預金保険機構はホームページ上で分配金支払いのための公告を約90日間実施します。

凍結された口座から被害回復分配金を受けるには、この90日間の公告期間内に振込先金融機関へ以下の書類を提出し、申請を行う必要があります

  • 所定の申請書
  • 運転免許証や健康保険証などの本人確認書類
  • 振込通知控などの振り込みの事実が確認できる書類

上記の書類を振込先金融機関へ、持参もしくは郵送します。
具体的な手続き方法については、振込先金融機関へ問い合わせるようにしましょう。

被害額が支払われる

金融機関による手続き後、申請時に指定したあなたの口座へ被害回復分配金が振り込まれます。

振り込め詐欺救済法の注意点

前章では、振り込め詐欺救済法で被害分配金を請求する手続き方法について説明しました。
本章では、闇金被害で振り込め詐欺救済法を利用する際の注意点について説明します。

全額返金されない可能性

前述の通り、振り込め詐欺救済法による被害回復分配金は、犯罪口座の残高から支払われます。そのため、被害額が全額返金されない可能性があります。また、犯罪口座の残高が1000円以下だった場合は、被害回復分配金の支払い手続き自体行われないとされています。

もし、その犯罪口座に対して他にも被害者が存在した場合は、犯罪口座の残高が被害総額に満たなければ各自の被害額から分配額が割り出されることになります。
闇金業者などの場合、被害者が複数存在することが予想されます。さらに、闇金業者は自らが行っている行為が犯罪であることを承知しており、利用している口座について凍結される恐れがあることを理解しているため、大金を口座にプールしているとは考えにくいです。

このように、闇金被害者の場合振り込め詐欺救済法を利用したとしても、被害額を全額取り戻すことは難しいといえるでしょう。

督促や嫌がらせが止まない可能性

闇金被害の場合、警察に相談して振り込め詐欺救済法で被害回復分配金を受け取った所で、闇金業者からの督促や嫌がらせが止まない可能性もあります

闇金業者にとって使用している口座の凍結は珍しくないことです。あなたが警察に相談したことに気づかずに、新たな振込先を指定して返済を迫ってくる可能性は十分にあります。
また、あなたが警察や金融機関に相談したことを知った場合、そのことに腹を立て、嫌がらせをしてくる可能性も否めません。
闇金業者の嫌がらせは執拗でたちが悪く、職場や家族など利用者のウィークポイントを狙って行われます。しかも、最近の嫌がらせの手口は巧妙化しており、警察に相談しても対処が難しいケースが多いといわれています。

このような督促や嫌がらせについては、振り込め詐欺救済法に罰則規定などは設けられていません。

闇金被害に遭った場合の対処方法

闇金被害に遭った場合、どのように対処を行えば被害を最小に押さえることができるのでしょうか。
本章では、闇金被害に遭った際の対処方法について説明します。

振り込め詐欺救済法の手続きをする

闇金に振り込んでしまったお金を少しでも取り戻したいと考える場合は、上述した振り込め詐欺救済法の手続きを行うと良いでしょう。

被害回復分配金は口座の残高から支払われますので、犯人が口座から資金を引き出すことを防ぐ必要があります。少しでも多くのお金を取り戻すためにも、可能な限り速やかに行動するようにしましょう。

法律の専門家に相談する

振り込め詐欺救済法で振込先口座が凍結された後も、闇金からの督促や嫌がらせが止まない場合は、法律の専門家に相談することをおすすめします
闇金問題は一般的に民事事件として扱われます。近年、警察も闇金対策に相談窓口を設けるなど力を入れていますが、闇金被害を警察に相談しても例えば捜査を行って逮捕する、といった流れを期待することは難しいようです。

一般的に、闇金トラブルを早期に解決するためには、警察より法律の専門家の方が適しているといわれています。
しかし、闇金被害を相談する場合、法律の専門家ならば誰でもいいわけではありません。法律の専門家の中でも闇金対応は難しく、しかもあまり積極的に扱われる分野ではないからです。闇金と聞いただけで断られることも多いといわれていますし、引き受けてもらえた場合でも闇金対応に不慣れな法律家では、闇金業者に押され言いなりになってしまうというケースすらあるそうです。そのため、闇金被害を相談する際は、闇金対応の実績豊富なプロを選ぶ必要があります。

我々ジェネシスWESTは、闇金業者への対応経験豊富な司法書士と元警察官が力を合わせて闇金トラブルを解決する司法書士事務所です。相談は無料で、着手金については後払い・分割払いにも対応しています。24時間・年中無休で受付しておりますので、闇金トラブルを抱えている方は、一人で悩まずにぜひ一度ご相談ください。

連絡先・口座番号を変更する

電話番号や住所など闇金業者に渡した個人情報は、業界内で売り買いされるなどして長期に渡って残ってしまうため、可能な限り変更することをおすすめします。もう連絡が来なくなったから大丈夫、とそのままにしておくと、何年か後、忘れた頃に闇金の勧誘の連絡が来る可能性があります。

銀行口座についても、解約するか口座番号を変更した方が良いでしょう。勝手に振り込んで来て返済を迫る、いわゆる押し貸しの被害に遭う恐れ以外にも、もし他の利用者からの返済金をあなたへの融資金に充てる「客振り」が行われていた場合、あなたの銀行口座が犯罪口座とみなされ、凍結されてしまう恐れがあるからです。

個人情報の変更手続きをしておくことは、再度トラブルに巻き込まれることを防ぐことに繋がりますので怠らずに行うようにしましょう

まとめ

今回は、振り込め詐欺救済法が闇金被害にも適用されることについて、振り込め詐欺救済法の手続き方法と注意点、闇金被害に遭った際の対処方法などについて説明しました。

闇金被害の場合、一度返済した資金を取り戻すことは難しいとされています。しかし、振り込め詐欺救済法による被害回復分配金を請求することで、全額とはいかなくとも、多少は取り戻すことができるかもしれません。
振り込め詐欺救済法についてさらに知りたいという方や、同時に闇金トラブルを解決したいという方は、法律の専門家に相談することをおすすめします。