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ひととき融資は違法性が高い!悪質な手口や被害事例、利用者の対処法

相談・解決

「消費者金融の審査に落ちて悩んでいる」
「ひととき融資で問題なくお金を借りたい」

SNSで他人と連絡しやすくなった近頃では、ひととき融資に頼ってお金を借りる女性が増えています。ひととき融資は違法性が高く、借金により性被害などを受ける可能性が高いです。

本記事ではひととき融資に興味がある女性に向けて、業者の悪質な手口や被害事例について解説します。

ひととき融資の悪質な手口とは

ひととき融資とは性行為を条件として男性が女性にお金を貸し付けることです。

融資してくれる相手とひととき(性行為)の時間を過ごすことから、ひととき融資と呼ばれています。

最近では非正規雇用により十分な収入を得られず、消費者金融すら利用できない女性が多数います。借金できなくて困っているフリーターや専業主婦が、ひととき融資のターゲットになる傾向です。

どのようにお金を借りた女性は性行為を要求されるのか、ひととき融資という悪質な手口について詳しく見てみましょう。

SNSや掲示板で若い女性を集客

ひととき融資は個人間融資の一種であり、お金を貸し付ける人のほとんどは個人です。

まずはお金を借りたい女性を集客するためにSNSや掲示板でひととき融資を勧誘します。

「融資が必要な方はLine10分で解決」「初回1万円から5万円まで」とアピールして個人間融資を宣伝。性行為を目的とする個人が多く、年齢を20代から40代に限定する特徴があります。

そして融資を希望する女性から連絡がきたら、DMやLineの個人連絡で融資を説明。前もって女性の容姿や個人情報を知るために、説明時に免許証や自撮り写真を要求する場合が多いです。

もし条件に問題がなければ、お金を融資する人が時間と場所を指定して女性と面談します。

低金利で女性に融資

お金を借りたい女性と約束の場所で出会ったら、さっそく男性が融資の手続きに進みます。資

金を貸し付けた後に逃げられるのを防ぐため、融資の前には女性の裸写真や本人確認書類を撮影。

裸を撮影されることでSNSに恥ずかしい姿を晒されるリスクがあり、女性はお金を融資する男性から逃げられなくなります。また、学生証や免許証を記録して借りパクを防ぐこともよくある手口です。

そして女性の個人情報を記録し終えたら、男性が数万円から数十万円の資金を貸し付けます。性行為を前提とする融資であるため、悪質な闇金業者よりは金利が低くなる傾向です。

返済時に性行為を強要

消費者金融ではお金を振り込んで返済するのが基本ですが、ひととき融資では返済時も男性と面談します。

そして女性がお金を返済するとき、性行為を要求される場合が多いです。

「性行為しなければ1万円の利息追加」「脱いでくれれば融資額を増やす」などと伝えれ、お金に余裕のない女性は性行為を受け入れてしまいます。

男性から借りた金額が高額になると、返済期間中に何度も性行為を求められる場合もあること。ひととき融資に手を出すことで気持ち悪い思いをさせられて、精神的に苦しめられる女性は多くいます。

ひととき融資が違法である3つの理由

「相手と合意しているなら問題ないのでは?」と思った人はいるかもしれません。

成人女性の場合は合意のうえで性行為することに違法性はなく、ひととき融資に問題がないように見えます。

ただ、実際には融資の金利が上限を超えていたり、性行為を強要したりして違法になる場合が多いです。

ほとんどのひととき融資が違法であるのには主に3つの理由があります。

  1. 利息制限法の上限金利を超えている
  2. 性行為の強要は強制わいせつ罪となる
  3. 未成年の場合は児童買春禁止法違反になる

それぞれの理由について詳しく見てみましょう。

利息制限法の上限金利を超えている

国内ではお金を貸す人の搾取を防ぐため、融資の上限金利を定めている利息制限法があります。

2020年2月時点の利息制限法による上限金利は以下の通りです。

  • 借りた金額が10万円を超えていないとき、年利20%まで
  • 借りた金額が100万円を超えていないとき、年利18%まで
  • 借りた金額が100万円以上のとき、年利15%まで

ひととき融資では100万円未満のお金を貸し付けることが多く、年利18%から20%の金利を超えると違法になります。

利息制限法を把握している人は少なく、違法な金利で融資する男性は多いです。

例えば、フライデーが取材した記事では「年利109.5%でカネを貸せる」という男性の主張があります。取材された男性は利息制限法に違反しているため、女性との借金契約は法律上無効です。

参考:https://friday.kodansha.co.jp/article/59125

性行為の強要は強制わいせつ罪となる

ひととき融資をしている男性には強制わいせつ罪が適用される可能性も十分あります。

強制わいせつ罪とは13歳以上の相手に、暴行または脅迫によりわいせつな行為をすることです。

わいせつな行為には「服を脱がせる」「抱きつく」などの性的接触が含まれます。例えば「カネを借りたいなら言うことを聞け」と男性が主張した場合、脅迫によりわいせつ行為をしたと認められる可能性が高いです。

強制わいせつ罪で有罪となれば、男性は6ヶ月以上10年以下の懲役刑が下されます。

未成年の場合は児童買春禁止法違反になる

多くの高校生がスマホでSNSを利用する今では、未成年を相手にひととき融資してしまう場合もあります。

もし18歳未満の女性に融資して性行為をした場合、児童買春禁止法違反となるもの。

ひととき融資により児童買春した男性には、5年以下の懲役刑または300万円以下の罰金が課せられます。

ひととき融資の逮捕・被害事例

「ひととき融資で実際に問題が起きたのか気になる」と思った人は多くいるでしょう。性行為を条件にするひととき融資は問題になりやすく、インターネットには多くのニュースが掲載されています。

お金のためにひととき融資の利用を検討している女性が見ておくべき事例は以下の3つです。

  1. 公務員が性行為を条件に融資
  2. 生活費が足りずに個人間融資
  3. クレジットカードで多重債務

それぞれの事例について詳しく見てみましょう。

公務員が性行為を条件に融資

2019年6月頃、性行為を条件に高金利でお金を貸し付けた36歳の公務員が逮捕されました。逮捕されたのは大阪府千早赤阪村の人事財政課主査であり、出資法違反が疑われています。

2016年から2019年にかけて20代と40代の女性に26万円を融資して、81万円の利息を徴収。法外に高い利息だけでなく、逮捕された公務員は肉体関係を前提としてお金を貸し付けていました。

月に1回だけ性行為をすれば金利がそのままになり、性行為を断れば5,000円の利息を上乗せしていたのです。

信頼できる公務員であっても、裏では違法に個人間融資している可能性があります。

参考:https://dot.asahi.com/wa/2019061100002.html?page=1

生活費が足りずに個人間融資

ひととき融資の被害にあった女性がNHKニュースで報道された事例もあります。

被害女性は子供を保育するために働けない時期があり、夫から家庭内暴力を受けて生活費を貰えませんでした。

女性は生活費を得るため、友人から教えてもらった掲示板で個人間融資を利用。お金を貸してくれる人の条件は「ひととき」であり、男性の9割以上は性行為を要求してきたのです。

個人間融資が続くにつれて男性の要求が厳しくなり、借金した100万円に対して利息が200万円まで増大。裸写真や連絡先を男性に知らせている以上、借金返済から逃れられませんでした。

参考:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20191107/k10012167441000.html

クレジットカードで多重債務

「ひととき融資が横行する個人貸金の実態」では個人間融資を利用しそうになった女性の事例が公開されています。

都内で暮らしている女性はクレジットカードの返済を延滞して個人間融資を検討。

他のカードを利用して借金で借金を返済していましたが、すぐに資金繰りが行き詰まってしまったのです。女性はネット上で20万円の融資を希望した結果、40代の男性から融資を提案されました。

ただ、融資の話を進めていくと罪悪感が強くなり、結果的にはひととき融資せずに借金を解決。違法性の高いひととき融資の利用を避けたことで40代男性から性被害を受けずに済みました。

参考:https://www.excite.co.jp/news/article/Myjitsu_086576/?p=2

ひととき融資を避けてお金の問題を解決するには

「ひととき融資で嫌な思いはしたくない」と思ったら適切な方法でお金の問題を解決することが重要です。

違法性の高いひととき融資を避けるには以下にある3つの方法が役に立ちます。

  1. 借金は債務整理で減らす
  2. 司法書士に依頼して交渉する
  3. 生活福祉資金を申し込む

それぞれの方法について詳しく解説します。

借金は債務整理で減らす

消費者金融やクレジットカードの借金で悩んでいるときは、債務整理をして返済負担を軽くしましょう。

任意整理や個人再生であれば、資産を手放す必要がなく、金銭的余裕を取り戻せます。

債務整理の手続きをするのは難しいため、借金を減らしたいときは法律事務所に相談することがオススメです。信頼できる司法書士に頼ることでスムーズに借金問題を解決できます。

司法書士に依頼して交渉する

SNSなどの個人間融資に手を出して性行為を求められているときは、法律事務所に交渉を依頼しましょう。

法律の専門家が交渉することで性被害や違法な利息を対策できます。

特に闇金対策に強い法律事務所の場合は、悪徳業者と交渉した専門家が多く、悪意のある個人に対抗しやすいのがメリットです。

生活福祉資金を申し込む

「生活費が足りなくて暮らしが苦しい」と思ったときに役立つのが生活福祉資金です。

お近くの社会福祉協議会で担当者と相談することで、生活するために必要な資金を借りられる場合があります。

収入が少なくて住民税非課税であったり、70歳以上の高齢者がいたりすると生活福祉資金の融資を受けられる可能性が高いです。生活費を目的とする場合は社会福祉協議会に問い合わせましょう。

まとめ

借金や生活費などお金に余裕がない女性をターゲットにして、性行為を条件に融資するのがひととき融資です。

SNSが普及した今では個人間融資が増えていて、被害にあう女性は増加しています。

もし借金やひととき融資で悩んでいるときは、なるべく早めに法律事務所で相談しましょう。法律知識のある司法書士があなたに代わって対処することで借金問題を解決できます。