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闇金からの借入は債務整理が可能?債務整理と闇金について解説

闇金の手口

借金返済に悩んでいる方の中には、債務整理を検討されている方もいらっしゃるかもしれません。
債務整理には、信用情報に事故情報が記載され、住宅ローン・自動車ローンなど信用情報を参照する借入ができなくなるというデメリットもありますが、返済不能となった借金を整理し、人生をやり直すことができるという大きなメリットもあります。
しかし、その借金が闇金業者からのものである場合、債務整理は可能なのでしょうか。

このページでは、債務整理と闇金について詳しく説明すると同時に、闇金からの借入は債務整理が可能かどうか、債務整理をした人に対して闇金がアプローチする流れ、解決するためにはどのような事が必要かについてお伝えします。

債務整理と闇金の概要

まずは前提となる債務整理や闇金というものについて理解をしましょう。

債務整理とは

債務整理とは、借金返済に困ってしまった人が、借金を免除してもらったり、減額してもらったりなどして、お金の面での人生のやり直しをしていこうというものです。
債務整理には、自己破産・個人再生・任意整理などのその人に応じた個別の借金に対応する方法があります。

闇金とは

次に、闇金とはどのようなものでしょうか。

一般的には、法に反する取り立てを行う金融業者というイメージを持っている方が多いと思います。ただ、貸金業者に課されている義務は取り立てだけに限られたものではなく、利息の制限・登録をしなければならない、などのものがあり、闇金はこれらの法律の規定に従っておらずに貸金業を営んでいる者をいうと考えましょう。

ですので、たとえ貸金業の登録をしていても、取り立ての態様が法律に違反したものであるならば、それは闇金であるといえます。

法律で定められた利息は100万円未満であれば年18%までなのですが、闇金はいわゆる「トイチ(10日に1割の利息を取る)」などで、法定利息を大幅に上回る貸付をしています。返済ができなくなると、貸付時に聞き取りをした家族・会社などの関係先に脅迫めいた返済を迫ります。このような行為は、出資法・貸金業法・刑法に違反する行為です。

闇金から借りたお金の法律上の取り扱い

闇金から借りたお金はどのように取り扱われるのでしょうか。

当然のように、借りたお金である以上返済する義務がある、と思っていらっしゃる方も多いかもしれません。しかし、最高裁判所は、闇金から借りたお金は返済する義務がないと判断しています。

なぜなら、闇金が貸し付けたお金は犯罪のために使われたお金なので、それを返済する義務すらないという民法の不法原因給付という規定により、返済義務がないとされています。

返済ができなくなったら闇金が実際に何をするか

では、実際に闇金は返済ができなくなった人に対してどのような事を行うのでしょうか。

まず、返済を迫る電話をかけてきます。借入をする際には、緊急連絡先・在籍確認などの名目で、親族・会社・会社の上司や同僚などの関係者といった情報を聞き出します。本人に連絡をするのはもちろん、念のため聞いておく程度だったこういった連絡先にも返済を迫る電話をかけます。当然ながら親族や会社、友人などは返済をする法律的な義務はありませんが、そのような事はお構いなしに連絡を入れ続けます。

督促といっても、貸金業者の入金を促すようなものではなく、脅迫口調でしつこく迫るものなので、督促を受けている側は精神的なダメージを受けます。耐えかねて支払ってもらう、という事を繰り返し行い、返済できなくなるまでこれを繰り返します。

闇金からの借入は債務整理が可能か

闇金からの借入を債務整理することはできるのでしょうか。

闇金の債務整理の実態

上述した通り、闇金に対しては全く返済義務がないので、厳密にいうと債務がありません。しかし、借金問題と関連はしているので、便宜上債務整理ということで取り扱われています。債務整理の手続きである自己破産・個人再生・任意整理といった手続きに関しては、法律の規定に従って行われます。

しかし、闇金は法の秩序の外で活動していることから、どのような行動を行うか予測がつかず、法律の専門家からの督促中止を申し入れたとしても、すぐに引き下がることもあれば、督促をやめないような場合もあります。そのため、債務整理に関連する問題ではあるのですが、法律の専門家の中には闇金の債務整理に関しては取り扱わないというところもあります。

そのため、闇金問題についても取り扱う法律のプロに依頼をすることが望ましいです。もし、まだ消費者金融など一般的な債務についても併せて対応が必要な場合には、債務整理についても相談するとよいでしょう。

闇金問題解決のために必要な費用は、闇金1件につき5万円程度が相場になります。複数の闇金からの借入がある場合には、件数分の費用が必要になります。

闇金問題を取り扱う法律の専門家の多くは分割払いを受け入れているので、費用の心配をすることなく早急に依頼することが可能です。費用の一括支払いしか対応しないという事務所は、そもそも闇金問題を取り扱いたくないため、このような対応をしている可能性があります。

闇金問題の相談の際に聞かれることを知る

では、闇金問題の相談の際にはどのような事を聞かれるのでしょうか。

債務整理の相談を含めて、法律の専門家に依頼をする場合には、法律相談を先行して行います。その法律相談では次のような事項をまとめておく必要があります。

闇金の呼称

まず、借入をした闇金の名前について聞かれます。闇金は◯◯ファイナンスといった屋号のような形で営業している場合のみならず、苗字のみを名乗ることもよくあります。法律の専門家に依頼をする件数に関するものなので、どの業者なのか区別できるようにしておきましょう。

連絡先

次に聞かれるのが連絡先です。通常の貸金業者であれば、自社の住所・ホームページ・固定電話の電話番号などの情報があるのが通常です。しかし、闇金に関してはこれらの情報はなく、携帯番号のみしか連絡先がわからない、ということもあると思いますが、それでも構いません。

また闇金は利用している電話を止められることがあるため、返済している最中に連絡先の電話番号が変わることが珍しくありません。そのような場合に、すでに警察などの捜査機関による捜査の対象になっていることも考えられますので、過去の電話番号についても併せて伝えるようにしましょう。

借入元本

次に、借入元本がいくらであったかが聞かれます。一般の銀行・消費者金融などの場合には、10万円~50万円程度の貸付枠が与えられ、多い場合には200万円程度の枠が与えられていることもあります。

しかし、闇金については多くて10万、中には5,000円程度の場合もあります。貸付利息が出資法に違反していることを確認するために聞き取りがされます。

返済に関する事項

次に、返済に関する事項が聞かれます。内容としては、毎回いくら支払いをしたか、その支払いはどのくらいの頻度であったか、指定された銀行口座、などの情報を提供します。闇金の銀行口座は凍結されることもあるため、借入をしている最中に返済口座の変更があった場合は、過去に返済をした口座も伝えましょう。

以上のようなことを聞かれることになりますので、相談前に一覧表にするなどしてわかりやすくまとめておくと、法律の専門家との相談がスムーズにいくようになります。

闇金の債務整理の流れ

では、実際に闇金問題はどのような流れで解決されるのでしょうか。闇金の債務整理の流れについて順を追って説明します。

闇金と交渉を開始する

まず、法律の専門家が申告のあった闇金に連絡をして交渉を開始します。交渉が成立したら、その時点で闇金は手を引きます。電話をしても出なかったり、交渉に応じなかったりする場合には、家・職場などへの連絡が始まります。

対応を協議

自宅・職場への連絡がくるような事がある場合には対応を協議します。闇金業者からの連絡などの状況によって、対応の内容は異なります。たとえば連絡に取り合わないでもらう、そもそも電話線を抜いておいてもらう、寿司などのデリバリーがきたら事情を話して帰ってもらうなどします。

口座・携帯電話の利用を制限する手続き

同時に法律の専門家は、連絡や入金に利用した携帯・口座の凍結手続きを行います。徹底的に支払う意思がないことがわかれば、2~3日の間には闇金は何もしてこなくなるのが通常です。

闇金の債務整理をする代わりに闇金からある提案をされたら?

複数の闇金から借入をしてしまって、もう返済ができなくなってしまったような場合には電話攻撃を受けることになるのですが、稀に闇金から「支払はいいから」と言われ、ある提案がされることがあります。

提案の内容は、返済の代わりに携帯電話を購入して本体を渡して欲しい、銀行口座を作って渡して欲しい、などという内容のものです。このような提案に乗ってしまうと、どのような事がおきるのでしょうか。

携帯電話は本体を使うだけではなく、通話に使われることが一般的です。つまり、闇金が営業をするために使うのです。通話をするということは、その分の代金の請求があなたにくるようになります。騙されたという事を主張しても、自分自身の行動の結果なので、支払い義務が消えるわけではありません。

銀行口座も同様に、闇金が他の顧客の回収のために使います。他の被害者から口座の凍結の依頼があると、実はその口座の凍結だけではなく、名義人に関するすべての銀行口座が凍結されます。

犯罪収益移転防止(マネーロンダリング)の観点から、銀行口座を作成することが適切ではないと判断された結果、その人は口座を持てなくなります。このような措置にあうと、給与振り込みのための口座すら持てなくなるので、社会生活に大きな影響を及ぼします。

2015年9月4日の産経westの記事によると、闇金から2万円を借りた40代の女性が、銀行口座を提供した結果、すべての銀行口座が使えなくなってしまい、給与が手渡しで行われる日払いの仕事しかできなくなって生活が安定しないという状態が3年以上続いているという事があるようです。

以上に加えて、闇金の営業のために携帯を渡す、口座を使わせるという事は、違法な闇金の営業を助けていることになります。そのため、出資法違反のほう助として、刑事罰の対象になることがあります。つまり、他の闇金被害との関係でいうと「加害者」という立場になってしまうことになります。

債務整理をした人に闇金がアプローチしてくることがある

闇金からの借入を債務整理する方法について説明しましたが、闇金は債務整理をした人にアプローチをすることもあります。

前述の通り、債務整理をすると信用情報に事故情報が記載されますので、信用情報を参照する借入ができなくなります。そのため、急遽資金が必要になった際に、正規の貸金業者から融資を受けることができずに困ることがあります。
その弱みに付け込んで、闇金業者がアプローチを仕掛けてくるのです。

債務整理をした方に闇金がアプローチする流れは以下のようなものです。

貸金業者が名簿屋に流す

上述したとおり、債務整理をすると信用情報に事故情報として登録がされます。信用情報が蓄積されている信用情報機関は当然にこのような情報を外に漏らさない義務を負っています。

しかし、このような情報こそ、闇金をはじめとする犯罪者に必要とされるもので、実際には名簿業者が仕入れていることから、残念なことに流出をしていると考えられます。その情報をもとにDM・ショートメールをしているのが現状です。

自己破産・個人再生の官報の情報を取得する

上記の情報流出に加えて、自己破産・個人再生に関しては利用にあたって官報という国が発行しているものに、手続きを利用している旨の公告がされます。そこでは、氏名と住所が掲載されており、手続きを利用する場合にはどうしても情報が知れてしまいます。

他の闇金から情報を手に入れる

上述した通り、闇金は小規模のグループで相互につながっています。そのため、一人の闇金から借入をした場合には、そのグループ内には借入をしている事実が共有されます。闇金からの借入をする方は5件10件と借り入れを増やすことがよくあります。そのため、仲間内で別の業者を騙って貸付を繰り返すことがあります。

債務整理をすると正規の貸金業者から融資を受けることができなくなりますが、せっかく債務整理をしたにもかかわらず、闇金から借入れてしまっては元の木阿弥です。
では、債務整理をした方が急遽資金が必要になった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。

闇金を頼らない生活資金の調達法

債務整理を行ったなどの理由で、正規の貸金業者から貸付が受けられない事情があっても、現実に食べていくためのお金がない、住むところを確保するためのお金がないなど、生活に必要最小限の資金にすら窮してしまうケースもあります。
そのような場合、闇金を頼らずに、資金を調達する方法はあるのでしょうか。

生活資金貸付制度を利用する

債務整理後など、正規の貸金業者から融資を受けられない場合で生活資金に困窮した場合、「生活福祉資金貸付制度」を利用してはいかがでしょうか。これは、厚生労働省が行っている制度で、低所得である、障がい者がいる世帯である、65歳以上の高齢者がいる世帯を対象に貸付を行います。

貸付は、生活を再建するための費用や、住居の確保をするための費用といった基本的なものから、仕事を得るのに必要な技能の習得、冠婚葬祭、教育に必要な費用などまで、一般的な生活を送るための費用であれば借入の対象になります。連帯保証人をつけられる場合には無利息で、付けられない場合でも年1.5%という非常に低利息で借入をすることができます。

申し込みは、市区町村に設置されている社会福祉協議会を通じて行うことになっており、担当職員や場合によっては民生委員などと相談を受けながら行います。当然ですが審査があり、緊急小口資金の貸付を受ける場合以外は2週間~1ヶ月程度の時間が必要になりますので、注意が必要です。

詳しい情報を知りたいという方は、厚生労働省の公式サイトを参照してください。

参考サイト:生活福祉資金貸付制度(厚生労働省)

年金を受給している方の場合には年金担保貸付も検討をする

収入として年金を受給している方は、年金を担保に貸付を受けることもできます。高齢者で年金の受給をしていたり、障がい者で障害年金の受給をしていたりする場合には、その年金受給権を担保にお金を借りることもできます。

これは独立行政法人福祉医療機構が行っているもので、年金を担保に貸付を行うことが認められる唯一の例外です。返済は独立行政法人福祉医療機構が年金をかわりに受け取ることで行います。申し込みは、年金担保貸付を行っている「独立行政法人福祉医療機構代理店」という表示がされている銀行・信用金庫などの金融機関で行います。

債務整理後でも申請可能

生活福祉資金貸付制度や年金担保貸付は、一般的な貸金業者とは貸付審査が異なるため、債務整理後でも申請することが可能です。

ただし、債務整理中場合は申請できません。現在債務整理中の方は、委任している代理人や、居住区の福祉事務所と相談してみてください。

まとめ

今回は、債務整理と闇金の概要、闇金からの借入は債務整理が可能かどうか、債務整理後に闇金からアプローチされる可能性、闇金に頼らない生活資金の調達方法などについて解説しました。

闇金からの借金を債務整理したい場合、最も重要となるのは相談先です。
闇金には返済義務自体がありませんが、借金にまつわるものとして、債務整理の対象として取り扱われることも多いです。
通常の債務整理は貸金業者との法律などに則ったやり取りであるのに対して、闇金は法律に従った行動を期待できない相手になるので、強い交渉力と専門性が必要となります。闇金問題は、闇金業者への対応実績を豊富に持つ法律の専門家に依頼するようにしましょう。

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