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闇金から借り逃げはできる?法律上は返済不要でも逃げるリスクとは?

取り立て対策

「闇金から借りたお金は返済しなくてよい」という情報が、ネットなどで多数出回っています。

確かに、闇金から借りたお金は元金すら返済する必要はないという主旨の、最高裁の判決も存在します。

しかし、法律上は返済しなくていいからといって闇金の督促を無視したり、最初から借り逃げ目的で闇金からお金を借りたりすることは非常に危険な行為です。

闇金に多くの人が泣く泣く返済しているのは借りたお金を返さなければならないから返済しているのではなく、取立てが怖いから返済しているのです。

最高裁の判決があろうがなかろうが、お金を貸した人に対して闇金は徹底的に取立てを行いますし、借り逃げした場合にはさらに取立ては執拗かつ悪質になります。

この記事では、闇金から借りたお金を借り逃げするリスクと、リスクなしで闇金に謝金を返済しない方法について詳しく解説していきます。

決して「借り逃げすればいい」という安易な気持ちで闇金に手を出さないようにしてください。

闇金からの借金は返済不要

闇金からの借金は原則的に返済不要です。

巷で言われているように、闇金からの借金は元金が残っている状態で返済を止めても、債務不履行などによって差押えなどが行われる心配はありません。

これは最高裁判決が根拠になっています。

闇金からの借金を返済しなくてもよい理由について、まずは詳しく解説していきます。

2008年の最高裁判決

闇金から借りたお金は返済する必要がないという判決が、2008年に最高裁から以下のような概略で出ています。

「ヤミ金融業者が貸付けとして借主(被害者)に交付した金銭は、不法原因給付に該当するため、ヤミ金融業者から借主に対して返還請求することはできない」

引用:https://www.pref.miyazaki.lg.jp/keieikinyushien/kurashi/shohi/tewodasita.html

この判例によって、闇金から借りたお金に関しては返済しなくても違法ではないという解釈が一般的になりました。

なお、不法原因給付とは、社会において守るべき道徳や倫理に反する行為(反倫理的行為)に基づいた給付(金品の受取り)のことです。

たとえば、闇金のように法的金利よりも著しく高い金利で貸付を行なって金銭を得た(給付)場合などに該当します。

ただし、この判例では適用された金利が著しく高金利だったことから、ソフト闇金のように数百%を下回る金利での貸付には該当しない場合もある点に注意しましょう。

適正に対処すれば元金すら返済の必要はない

最高裁から上記のような判決が出ている以上、闇金から借りたお金は返済する必要がないといえます。

しかし、これはあくまでも法的な解釈の話です。一般の人が闇金からお金を借りて「判例上は返済する必要がない」と借り逃げを企図しても、闇金もそこまで甘くないです。

適正な方法で闇金と対処した場合のみ返済義務はなくなるのであって、一般の人が最高裁判決を盾にとっても、闇金が「そうですか」と引き下がることはありません。

では、闇金から借り逃げした場合どのような事態になるのか、適切な対処とはどのようにすればよいのかを詳しく見ていきましょう。

闇金から逃げることはできるのか

闇金からの借金は返済しなくてよいと知った人の中には、「督促が来ても無視して返済しなければよいのでは?」と思う人もいるかもしれません。

確かに、法的に闇金からの借金は返済しなくても問題ありませんが、闇金もそうしたリスクを承知でお金を貸し付けており、決して借り逃げされないように地の果てまでも督促を行います。

返済しない人に対して闇金がどのような督促を行うのか、詳しく見ていきましょう。

1日数百回の電話がかかってくる

闇金にとって取立ては命です。返済されないと、通称「鬼電」と呼ばれる督促電話をかけ続けます。その数1日に数百回を超えることもあります。

無視しても自宅に電話がありますし、電話に出れば脅迫めいた言葉で恫喝されます。

この電話は返済が行われるまでずっと続くので、精神的にも大きなストレスとなり日常生活にも支障が生じてきます。

職場に電話がかかってくる

闇金からの督促電話は携帯や自宅だけではなく、職場にもかかってきます。

「お宅の従業員が借りた金を返済しない」などと同僚や上司にも督促を行うので、職場の業務にも支障が生じるほか、利用者が会社に居づらい雰囲気に追い込まれます。

会社の業務時間の間、電話が鳴り止むことなく続くこともあり、返済が行われるまで闇金からの嫌がらせは継続します。

家族にも嫌がらせを行う

嫌がらせは家族にも行われます。子供が電話に出たら「お前の父ちゃんが金を返さない」などと恫喝し、妻にも親にも同じことを行います。

場合によっては子供へのつきまといが行われることもあり、自宅に「金返せ」という張り紙が貼られることもあります。

闇金は借り逃げを絶対に許しません。貸した金を返すまで、利用者本人だけでなく周りの人全てを巻き込み、徹底的に取立てを行うのです。

死んだと嘘をついても警察を呼んでも引き下がらない

闇金は利用者本人が死んでも引き下がりません。「本人が死んだ」と妻が伝えても「死亡した除籍の謄本を見せろ」「葬式に参加させろ」などと言って絶対に引き下がりません。

嘘だと判明した場合には取立てはさらにエスカレートします。

また、玄関先などで大声を出された場合には「警察を呼びますよ!」と言ったところで意味はありません。

「上等だ。警察を呼べよ!」という話になり、警察が登場しても、警察は「事情はよく分からないけど落ち着いて」と言う程度です。

お金の貸し借りは民事紛争のため警察は介入できないので、「借りたものはちゃんと返さないとダメですよ」と注意するくらいしか対応してくれません。

このように、闇金にとっては取立てが命ですので、電話を無視したり嘘をついたりする程度では絶対に逃げることはできません。

借りた金を返すまでは、闇金は地の果てでも追いかけてくるものと考えておきましょう。

闇金から逃げることは難しい

結論から言えば、闇金から逃げることはほぼ不可能です。

相手はプロで反社会的勢力のネットワークを持っています。住所を変えても職場を変えても死んだことにしても、闇金は執拗に督促を行います。

完全に逃げ切るには住民票を移さずに夜逃げするしかないですが、その場合には自治体の公共サービスを受けられなくなり、日常生活すらままならなくなります。

自分ひとりだけであれば、住民票を移さずに逃げてしまうこともできるかもしれませんが、実家の親に迷惑がかかってしまう可能性も十分に考えられます。

このように、現実的に闇金から逃げることは実質的には困難なのです。

借り逃げする借り逃げ目的で闇金に手を出しても、そもそも闇金相手から逃げることが難しいので、結局は執拗な取立てにあってカモにされてしまいます。

闇金からの借り逃げによる金儲けを考えるのは、現実的ではありませんし、デメリットの方が圧倒的に大きいと理解しておきましょう。

借り逃げ目的で闇金からお金を借りる場合

中には、「闇金からお金を借りて借り逃げしてしまおう」という安易な考えをもつ人もいるかもしれません。

しかし、借り逃げ目的でお金を借りてしまうと、借りた側が詐欺罪になる可能性もあります。

さらに、闇金は反社会的勢力ですので、闇金を馬鹿にした人間には徹底的に取立てを行います。借り逃げ目的で闇金からお金を借りては絶対にいけません。

詐欺で訴えられる可能性もある

プリペイド型の携帯電話を使い、架空の身分証明書を作成するなどすれば、個人情報を一切隠したまま、闇金からお金を借りることができる可能性はあります。

しかし、このような行為でお金を借りれば、たとえ闇金相手でも詐欺行為が適用されることがあります。もしかしたら闇金から詐欺で刑事告発を受けるかもしれません。

そうなってしまったら、闇金と警察双方に追われる可能性があり、逮捕された後に闇金からどのような仕返しがあるかも分かりません。

闇金から逃れることはできたとしても、警察から逃れるのはさらに至難の業になります。

相手が闇金でも、最初から借り逃げ目的でお金を借りることは犯罪ですので、犯罪行為に手を染めてはなりません。

何がなんでも取立ては行う

闇金にもメンツがありますので、ありとあらゆる手を使って借り逃げした人を探し出します。反社会的勢力のネットワークや、最近ではSNSを使って個人を特定することもあります。

闇金も「闇金からの借金は返済不要」という最高裁判決をよく知っているため、利用者を絶対に逃さないようあらゆる手段で取立てを行います。

取立てに命をかける闇金から、一般人が詐欺目的で逃げることは基本的には難しく、警察に被害届を出されたら警察からも捜査されることになってしまいます。

闇金から借り逃げ目的でお金を借りることは現実的に不可能であり、借りてしまったら執拗な取立てや利息の支払などが待っています。

闇金は警察で解決できる?

闇金からの借金は返済しなくても問題ありません。しかしそれは、専門家が入って問題を解決した場合のみです。

「警察に駆け込めばいいのでは?」と考える人もいるようですが、基本的にお金の貸し借りの問題について、警察は力を貸してはくれません。

闇金からお金を借りて警察に駆け込んでも返済不要になる訳ではない点に注意しておきましょう。

警察が介入するのは刑事事件があった場合のみのため、警察には何が相談できて何が相談できないのかを理解しておきましょう。

脅迫や器物破損には対応してくれる

闇金から脅迫を受けたり、自宅のドアなどを壊されたり暴力を振るわれたりした場合は、警察は動いてくれます。

暴力を振るわれた場合は刑事事件になるので、警察は傷害事件として捜査をしてくれる可能性があるのです。

闇金が刑事事件を起こした場合は警察が動きますが、動くのはあくまでも刑事事件に対してのみと理解しておきましょう。

もちろん闇金もこのような警察の方針は十分に理解していますので、安易にモノを壊したり暴力を振るったりするようなことはありません。

借金に関しては民事不介入

一方、借金に関しては民事不介入が警察の方針であるため、警察を呼んでも対処してくれません。警察が対処するのはあくまでも刑事事件だけです。

お金の貸し借りは民事事件となるため、警察に被害を訴えても基本的には「民事のことは当事者同士で話をして解決してください」というのが警察の方針です。

つまり、いくら最高裁が「闇金からの借金の返済は不要」と判決を出したとしても、金銭トラブルは当事者同士が話し合って解決すべきと警察は判断します。

そのため、警察が「闇金からの借金は返済不要だから取立てを行う闇金を逮捕する」という流れには絶対になりません。

警察は、闇金が行なった暴力や器物破損、恐喝などには対処してくれますが、借金問題そのものには介入しない点を理解しておきましょう。

専門家に対処を依頼することで返済不要にできる

一般人が闇金から逃げることはほぼ不可能であり、逃げるだけでは闇金問題は解決できません。警察も民事不介入のため、闇金問題を解決はしてくれません。

では闇金問題が返済不要になるのは、裁判の場だけなのでしょうか?実は、闇金問題は専門家である弁護士や司法書士に依頼することによって解決できます。

闇金問題に精通した専門家は警察とも強いコネクションを持っており、闇金の所在が分かったら警察に情報を提供して、摘発に向けて動いてもらえることもあります。

闇金問題に強い専門家に間に入ってもらうことによって、ほとんどのケースで問題は解決します。

闇金も警察には捕まりたくないため、闇金問題に強い専門家と交渉するのを嫌がります。足がついて摘発される可能性が高くなるためです。

専門家もそのようなことは分かっていますので、闇金に対して「お宅も摘発されるのは嫌でしょう?だから取立てはほどほどにした方がいいですよ」という交渉を行います。

こうすることによって、多くの闇金は摘発を恐れて逃げてしまうのです。

この時に闇金から借りた残金が残っていても、それ以上督促が行われることはなく返済する必要もありません。

闇金からの借金を借り逃げ(逃げているのではありませんが)できるとしたら、このように専門家に間に入ってもらって解決できた場合のみです。

一般人が最高裁の判決を盾にとっても、闇金は取立てをやめないため借り逃げは不可能です。

闇金から借りたお金は返済しなくても問題はありませんが、取立てが行われる限りは払わないと救われません。

そのため、まずは専門家に相談し、取立てを止めることを優先しましょう。

まとめ

2008年に出た最高裁判決により、闇金からの借金は返済不要という事実は広く一般に知られています。

しかし、闇金は存在自体が違法のため、判決に従って取立てをやめることはありません。

闇金の利用者は、闇金からの取立てが行われる限りは日常生活を送ることが困難となるため、結局はお金を払うしかなくなってしまいます。

闇金からの借金は返済しなくてもよいというのはあくまでも司法の判断ですので、違法な存在である闇金には関係ないのです。

闇金から借り逃げ目的でお金を借りても逃げ切ることはほぼ不可能です。警察に相談しても、民事不介入で相手にはしてくれません。

闇金から借りたお金を返さなくてもよい方法は、闇金問題に強い専門家である弁護士や司法書士へ相談することだけです。

専門家に相談することによって、闇金からの取立ては止まり、残金が残っていた場合に初めて返済不要となります。

最初から借り逃げ目的で闇金からお金を借りた場合には、弁護士や司法書士も仕事を受けてくれない可能性や、警察に詐欺罪で訴えられる可能性さえあります。

「闇金からの借金が返済不要」と判決が出ていたとしても、闇金に関わって良いことはひとつもありません。闇金には絶対に自分から関わらないようにしましょう。