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闇金の取立てが親・兄弟・親戚に及んだ際の対策と相談先

取り立て対策

闇金の被害に遭った際の被害例として、取立てが債務者本人だけでなく親兄弟や親戚に及ぶケースがあります。

ここで、「どのように取立てが行われるの?」「取立てに応じる法的義務はあるの?」と疑問に思った方もいらっしゃるでしょう。

今回は、闇金の取立てが親兄弟や親戚に及んだ場合について、取立ての具体的な内容や相談先と対策などついて解説し、平穏な生活を取り戻す方法を紹介します。

闇金の取立てが親兄弟や親戚に及ぶケース

次の場合に、闇金が債務者の親兄弟や親戚にも取立てを行うことがあります。

書類に電話番号を書いた時

闇金側から「ブラックリストに該当しているけれど、お金を貸すから」などといわれ、書類に親兄弟や親戚の電話番号を書かされるケースがあります。

借りる本人は「ちょっと借りるだけで、次の給料で全額返済できる見込みだし」といった気持ちで、気軽に名前を書いてしまいがちです。

このようにして債務者の親兄弟や親戚の個人情報が闇金側に渡り、実際に返済が滞って本人と連絡が取れない時に、闇金から親兄弟や親戚にも連絡がいきます。

利息を待つなどの口実をつける

闇金が、債務者本人以外の電話番号を入手する方法としては、次のような口実もあります。

債務者が利息を期限通りに納められない時に、期日を数日延ばすのと引換えに親兄弟や親戚の個人情報を聞き出す方法です。

この際には闇金側が、親や兄弟の連絡先のみならず勤務先情報まで聞き出すケースもあります。

闇金の取立て方法

闇金が、債務者の親兄弟や親戚に対してどのような取立てを行うのかを紹介します。

返済の督促

闇金は親兄弟や親戚に対しても、債務者本人に対するのと同様、高圧的なもののいい方で返済の督促をしてきます。

例えば親戚が「借金のことなど知らない、ここ1年は電話もしてなければ10年以上会ってさえいない」と伝えるとします。

それでも、「血縁関係にあるあんたが代わりに返すのが、人間としての道理ってもんだろうが」などと口汚い言い方で難くせをつけてくるのです。

別の親戚の個人情報を聞き出そうとする

親兄弟や親戚が返済に応じない場合、別の親戚などの個人情報を聞き出そうとしてきます。

「もうあんたには電話をかけないから、他の親戚の電話番号なり勤務先の電話番号なり教えろ」といった感じです。

債務者の親兄弟や親戚に返済義務はあるか

連帯保証人になっていない限り、債務者以外の親兄弟や親戚には債務の返済義務はありません。
債務者以外に返済を求める行為は、貸金業法で禁じられています。本人の同意なく、勝手に保証人にされていた場合も無効です。

また、相手が闇金である場合は、債務者本人にも返済義務はないとされています。
本来、闇金が設定している法外な高金利による返済内容では、貸金業法により金銭貸借契約そのものが無効となるからです。
貸金業法において、法定年利(年109.5%)を上回る比率で利息の契約を結んだ場合には、その契約は無効と定められています。

闇金の取立てが親族に及んだ時に想定される被害例

闇金からの、債務者の親兄弟や親戚に対する取立てにより、想定される被害例を紹介します。

勤務先への迷惑電話

闇金が債務者の親兄弟に関する勤務先情報を入手した場合、勤務先に督促電話がかかってくることもあります。

闇金はで債務者に関連する人物の個人情報を仲間内で共有するため、督促のほかにも融資に関する一方的なFAXや問い合わせメールなどが送られてくるケースもあります。

闇金から勤務先への一方的な連絡により、債務者の親兄弟や親戚の昇進が阻まれたり退職に追い込まれたりする可能性も否定できません。

SNSでの被害

Facebookなどをはじめとした様々なSNSで、債務者本人のみならず、親兄弟や親戚に関する事実無根の噂や悪口を拡散される可能性があります。

例えば借金の事実だけでなく、~社の~さんは不倫をしているなどといった完全なデマなどです。

さらに、SNSを通じて闇金が債務者の友人や知人と一方的に接触し、何らかの不当な行動を起こす可能性まであります。

子供や子供の学校への迷惑行為

闇金側が、債務者の親兄弟や親戚の子供に関する学校情報を入手した場合、対象の子供と学校についての根拠がない悪口などをネット上で拡散される可能性があります。

こうなると子供が学校でいじめられる懸念まで生じてきます。

闇金の債務の影響が親族に及んだ事例

闇金が債務者の親族にまで影響を与えた事例として、2003年大阪で、闇金からの執拗な取立てにより精神的に追い込まれ、夫婦とその兄弟が電車へ飛び込み心中した事件があります。

参考:https://xn--pckta5b9ce8it918cde7alinykj.com/toritate-kazoku-kaisya.php

電車へ飛び込んだのは、60代の夫婦と主婦の兄にあたる80代の男性でした。

妻は債務整理の経験があり経済的にゆとりがないにもかかわらず、親族の入院費のために闇金から費用を調達しました。

1万数千円程度を借りただけにもかかわらず、最終的には150,000円以上を支払ったのです。

これだけの金額を返済したにもかかわらず取立ての電話が毎晩あり、精神的なダメージが重なるなかで心中という最悪な結果に至りました。

この事件は闇金融対策法が成立するきっかけとなった事件です。

闇金の取立てに対してしない方が良い行動

闇金に対して、しない方がよい行動について紹介します。

無視する(着信拒否をする)

あまりの恐怖から、闇金からの電話を無視したり着信拒否したりしようと考える人がいます。

電話を無視すると逆に、1日にかかってくる督促電話がどんどん増えてしまいます。

闇金業者は携帯電話を複数所有しているため、1つの電話番号を着信拒否しても、他の電話番号からかかってくるため効果がありません。

また、かえって闇金から恫喝を受けたり、さらなる取立て行為に発展したりする可能性まであります。

自力で解決しようとする

債務者本人は恐怖心のため落ち着いて物事を考えられない精神状態でも、親や兄弟は冷静に物事を考えられる状態とします。

しかし、親兄弟が冷静であっても、闇金に対して返済義務はないと訴えたり自力で交渉したりするのはおすすめできません。

素人が常識や貸金業法などの理論を用いて交渉しようとしても、闇金業者は聞く耳はもちません。

嘘の電話番号を教える

闇金業者から期日を延ばすなどの口実のもと、別の親族の個人情報を聞かれた際には、嘘の電話番号などを教えるのも避けた方がよいでしょう。

一見、家族などに迷惑をかけるのを回避できるように思えますが、闇金側を激高させてしまう可能性があるからです。

闇金被害の相談先と対策

法律の専門家へ相談

闇金からの高圧的な取立て行為で悩んだら、早期に法律の専門家に相談することをおすすめします。
法律の専門家に対応を依頼した場合、取り立ての電話については早ければ当日に止まる可能性があります。

費用が気になるという方も多いと思いますが、初回相談料は無料であることも多いですし、闇金対応については1社5万程度が相場です。闇金対応を行っている法律家の場合は、分割払いや後払いに対応しているケースもありますので、諦めずに探してみることをおすすめします。

法律家へ闇金被害を相談する際には、次のような事柄を事前に整理しておきましょう。

  • いつ何を通して、対象の闇金業者を知ったのか
  • いつどのようにして、闇金とコンタクトを取ったのか
  • 闇金の電話番号や、やり取りをした人物の名前と内容
  • 実際に闇金とやり取りをした金銭の動きがわかるもの(通帳や振込証など)
  • 闇金から親兄弟や親戚への連絡状況と具体的な被害内容

消費生活センター(国民生活センター)

最初から法律家のところへは行きにくかったり、どこに相談すればよいのかわからなかったりするケースもあるでしょう。

そうした場合には、まずは消費生活センターへ相談するのもおすすめです。相談は電話(局番なし188)やメールで気軽に行え、専門の相談員からアドバイスを受けることができます。詳しくは以下の公式サイトをご参照ください。

参考サイト:独立法人国民生活センター

警察へ相談

めったにないケースですが、闇金が自宅へ押しかけてきて帰ってくれないという場合には、その場で警察へ連絡するのが重要です。

これは不退去罪といって、警察が対応できる刑事事件になる可能性があります。体に何か危害を与えられた場合も、同様に警察へ連絡しましょう。

警察に連絡する場合は、インターホンなどのカメラに闇金が映っていれば残しておいた方がよいです。該当の人物が他の事件に関与していれば、警察が動きやすくなる可能性もあります。

勤務先の対応

親や兄弟の勤務先へは、ある程度の恥は覚悟で事情を話しておいた方が良いでしょう。その上で、闇金から会社へ連絡があっても、着信を拒否する、取次を断る等の対応をしてもらいましょう。

また、会社から「これ以上電話をかけてくるなら、営業妨害で警察への相談も辞さない考えもあります」と、伝えてもらうのも効果的かもしれません。
しつこく連絡を続ける可能性もありますが、毅然とした態度を取り続けることで勤務先への取立ては次第に収まると考えられます。

闇金から連絡が来ることで、勤務先に居辛くなることや、退社や左遷を促されるケースも珍しくないため、そのようなことにならないよう早期に対処する必要があります。
法律の専門家を通して勤務先に対応してもらえれば、債務者の親兄弟や会社にとって最適な方法を提示してもらえるケースもあります。

個人情報の扱いについて

闇金からの取立ては収まっても、債務者やその親兄弟などの個人情報は闇金側に渡ったままです。

闇金は自分たちが得た個人情報を他の業者と共有する傾向があるため、他の闇金業者からも勧誘などの連絡がくる可能性があります。よって差し障りがなければ、携帯番号は変えておいた方が良いでしょう

また、闇金利用に使用した銀行口座についても、解約しておくことをおすすめします。
闇金に口座番号を知られていると、勝手にお金を振り込んで来て返済を迫る押し貸しの被害に遭う可能性があるからです。

さらに、闇金が他の顧客からの返済金を融資金にする「客振り」を行っていた場合、あなたの口座が闇金業者の口座とみなされ、口座が凍結される恐れもあります。口座が凍結されると、同一名義の他の銀行の口座も凍結される・新規に口座が開設できなくなることがある以外にも、闇金業者の仲間とみなされて、警察から取り調べを受ける可能性すらあります。

闇金に支払った資金を取り戻す方法はあるか

闇金に大金を支払ってしまった方の中には、資金を取り戻したいと考える方もいらっしゃるかもしれません。
闇金の貸付けは違法であり、元本すら返済義務がないという、過去の最高裁判決もありますので、裁判を起こして返金を求めることは可能です。
ただし、裁判で争うことは、非常に時間も費用もかかるうえ、勝ったとしても、闇金側が逃げてしまうことや支払い能力がないなど、お金が戻ってこない可能性も高いため、あまりおすすめはできません。

闇金から資金を取り戻す方法としては、裁判以外に振り込め詐欺救済法の被害回復分配金という制度を利用することも可能です。
被害回復分配金は、凍結された闇金の口座の残金から、被害者へお金を戻す方法です。この方法のメリットは、裁判に比べて手続きが簡単であることですが、デメリットとしてそれなりに時間がかかることと、被害金額が全額戻ってくる可能性は低い、または全く戻ってこない可能性もあることです。

詳しい手続き方法などが知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

まとめ

今回は、闇金の取立てが親兄弟・親戚に及ぶケース、闇金の取立て方法、債務者の親兄弟や親戚に返済義務はあるか、闇金の取立てが親族に及んだ時に想定される被害例、闇金の債務の影響が親族に及んだ事例、闇金の取立てに対してしない方が良い行動、闇金被害の相談先と対策などについて説明しました。

押さえておきたい点は、闇金の取立て方法が強引で執拗であることと、闇金に対しては法的な返済義務はないということです。想定される被害や、相談先と対策を知ることも重要です。

闇金による被害は早期に法律の専門へ相談することで、問題を解決できる可能性が高いです。

我々ジェネシスWESTは、借金問題に詳しい司法書士と元警察官がタッグを組んで、闇金トラブルを解決する司法書士事務所です。相談料は無料で、着手金は後払いや分割払いにも対応しておりますので、闇金の取立てが親族まで及んでお困りの方は、一人で悩まずにぜひお気軽にご相談ください。