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経営者が闇金に手を出すのは危険!闇商工ローンのリスクを解説

相談・解決

闇金業者が貸付を行う相手は、個人だけではありません。
企業向けの融資である商工ローンの裏社会版も存在します。

資金繰りに苦しむ経営者は、つい闇金を頼ってしまいたくなることがあるでしょう。
しかし、経営者が闇金を利用するのは、大変危険な行為です。

本記事では、闇金と事業資金と、闇商工ローンの現状について説明します。経営者が闇金から借り入れないための方法と、借りてしまった時の対処方法についても詳しく説明しますので、ぜひ参考にしてください。

闇金と事業資金

1998年に「日栄」「商工ファンド」などというビジネスローン業者による商工ローン事件が起きました。「腎臓売れ」等の過激な発言による取り立てが報道され、世間を震撼させたものです。

この事件を起こした貸金業者は、闇金ではなく正規の事業者であり、実際に腎臓を売るルートを持っていたわけではありません。

事件後に行われた法改正により、現在では取り立てに関するルールが厳格化され、個人向けも法人向けに関わらず登録貸金業者の取り立てでは、債務者を威迫することや、私生活や業務の平穏を妨げる言動は禁止されています。

しかし、現在でも過酷な取り立てをする貸金業者が存在します。貸金業許可を取得していない闇金業者です。
正規の貸金業者でも、規制ができるまでは厳しい取り立てを行っていたのですから、違法業者の取り立ての苛烈さは言うまでもありません。

違法業者である闇金業者は法人に対して貸付を行うこともあります。しかし、経営者個人に融資することの方が多く、深刻な問題も多いといわれています。

個人と法人では、闇金の貸付実態が異なる

法人に対しての闇金の融資は、規制強化もあり以前よりは下火になったようです。
闇金を頼ろうと考える法人は、すでに正規の金融機関から借入れ不可能な状態になっており、遅かれ早かれ破綻するのは目に見えているため、闇金すらうま味を見いだせないという理由もあります。

個人への融資であれば、徹底してお金をむしり取ることが可能ですが、不動産等の資産はすでに抵当に入っていることが想定されるため、破綻した法人から闇金業者が得られる利益はほとんど見込めません。

法人に対しての嫌がらせは難しい

闇金は恐怖を与えることで、返済能力のない借り手から無理やり搾取するビジネスモデルです。しかし、当たり前のことですが、法人自体に感情はないので恐怖を与えることはできません。返済義務のない従業員を脅しつけても、警察沙汰になるだけです。
会社の信用を落とすような嫌がらせをしても、倒産が早まってかえって損をするだけです。

経営者個人に対しての貸付けに注意

上述したような理由から、闇金業者は法人に対してではなく、経営者個人に対して貸し付けることを好む傾向にあります

経営者個人に貸付けることで、生命保険をあてにすることもできるようになります。昔から、因果を含めた上で死をもって弁済させることは、闇金業者の常套手段です。また、経営者個人の債務とすることにより、会社とは関係がない経営者の家族をも巻き込むことも可能になります。

闇商工ローンの現状

法人向けの闇金ビジネスは、経営者個人への融資が多いこととその理由について上述しましたが、闇商工ローンの現状はどうなっているのでしょうか。

2020年の新型コロナの世界的流行により、追い込まれた事業者を狙って新たな動きもあるようです。以下では、闇商工ローンの現状について説明します。

法改正以来、リスクの高い商売になった

現在はヤミ金融対策法も成立し、闇金業者にとって商売がしにくい時代になっているといわれています。
闇金は、警察の「民事不介入」を逆手に取って活動していたため、法律での取り締まりが強化されることで、逮捕されるリスクが増え、やりにくくなっていることは事実でしょう。

しかし、それでも闇金業者は依然活動していいますし、法人に対しての貸付けも行われています。

それでも商売の仕方はある

グレーゾーン金利の撤廃に伴い、中小事業者に無担保で小口を貸付けるノンバンクによる商工ローンは激減しました。
銀行が行っているビジネスローンは、貸し倒れになる可能性の高い中小企業には積極的に貸し付けることはありません。

銀行に融資を断られ、資金繰りに困った事業者の前に、闇金業者は事業者向けの低金利ローンを装い近づきます。
融資をちらつかせながらぎりぎりまで引っ張り、あと1日でも入金が遅れると不渡りが出るという状況を意図的に作り出します。暴利であっても借りざるを得ない状況に追い込んだ上で、厳しい条件を突き付けるのです。
闇金被害を警察に相談したとしても、捜査が始まる頃には会社は潰れています。

また、最近はファクタリング業者を装った闇金業者も現れています。
ファクタリングとは、企業から売掛債権を買い取り、売掛債権の管理や回収を行う金融サービスのことです。
しかし、闇金業者が行うファクタリングサービスは、ファクタリングとは名ばかりで、売掛債権を担保に現金を貸し付け、法外な利息を請求してくるというものです。

「ソフト闇金」が法人融資を行っていたという事例もあります。ソフト闇金は、従来の闇金に比べ、金利が低く、強引な取り立てもしないという触れ込みですが、実際は従来の闇金業者と何ら変わりはありません。
手続きが複雑な上、新たにローンが組めなくなるなどペナルティも生じる個人破産に比べると、会社が倒産するのは容易です。闇金としても手ぬるい対応をしているような余裕はないでしょう。

コロナによる資金繰り悪化を闇金が狙う

2020年の新型コロナの流行は、世界経済に深刻なダメージを与えました。特に影響が多く出ているのは、飲食業やサービス業などの業種の中小の事業者です。
景況感の悪化によって、窮地に立たされることになった法人や個人を狙って、闇金業者が暗躍中です。

闇金業者の法人に向けたセールストークは、「政府自治体の融資する助成金のつなぎとして」というものです。
信用保証協会を通じて緊急融資がおこなわれているものの、申込みが殺到しているため、どうしても融資には時間が掛かります。そこに闇金の登場する余地があるわけです。

今、資金繰りに困っている事業者は、闇金業者と分かっていても飛びついてしまいたくなるかもしれませんが、借りてしまえば運のツキ、何とか得ることができた助成金も根こそぎ持っていかれることになってしまいます。

闇金から借り入れる以外の事業継続の方法

中小の事業者も、いざという時に、闇金以外の選択肢を持っている必要があります。
正規の商工ローンを利用するのも選択肢の一つです。しかし、商工ローンも法定金利内とはいえ、決して低金利ではありません。できれば、借入をする前の段階で手を打った方が良いでしょう。

助成金を検討する

まず最初に、国や都道府県、地方自治体が行っている助成金制度を活用してみてはいかがでしょうか
2020年10月現在、コロナウィルス関連の助成金も豊富に用意されています。
どの自治体も、公式サイトに詳しく載せていますので、調べてみることをおすすめします。

また、国には、事業縮小に伴い事業の縮小を余儀なくされる際に、従業員に支払う休業手当を助成する、雇用調整助成金制度という制度があります。コロナウィルスの影響に伴い、この助成金の特例も登場しています。

参考サイト:雇用調整助成金(厚生労働省)

リストラも必要

前述した雇用調整助成金は、事業縮小を前提とした制度です。
このような制度が存在するということは、つまり経済活動において雇用の調整、すなわち、リストラは避けられないものだということです。
必要なリストラを先延ばしして、闇金から借り入れるなどというのは、現実を顧みない行為といえます。
商売はうまく行くときもそうでないときもありますが、優先順位を付け、やるべきことをやるべき時にやらなければ、いずれは破綻してしまいます。

そもそも本当に事業継続する必要がある?

経営者が闇金に手を出してしまう背景には、「従業員の雇用を守ろう」「先代から引き継いだ事業をなんとか次に残したい」といった理由が多く挙げられます。

しかし、新型コロナのような不測の事態だけでなく、商売が続けられなくなる事情は常に発生する可能性があります。
危機に瀕した際、が非でも事業を継続することにしがみつくのではなく、事業を畳むことも含めて検討するべきです。会社が無くなったとしても、人生が終わるわけではありません。

個人財産の大部分が会社の保証になっていて、今さら後戻りできないという場合であっても同じです。
個人の破産も、選択肢の一つとして考えるべきです。

闇金から事業資金を借り入れたらどうする

経営には常に冷静な判断が必要ですが、事業継続できるかぎりぎりの状況下では、冷静な判断ができなくなるのも無理はありません。もし、闇金業者が関わっていれば、かき乱すようなことを言うため、より冷静さを保つことが難しくなるでしょう。
冷静さを失い、闇金から借り入れてしまった経営者は、その後どうしたら良いのでしょうか。

返済義務はない|専門家に相談する

闇金はそもそも違法な存在です。法的には元本すら返済義務はないのです。
また、返済が可能な金利ではないため、まじめに返済をすることは諦め、法律の専門家に相談することをおすすめします

闇金業者は、無駄な労力とリスクを嫌う傾向があります。法律の専門家が介入することで、関わってもお金を引き出せないばかりか、逮捕されるりすくがあると判断すると、多くの場合引き下がります。

ただし、法律の専門家にとっても、裏社会とつながりを持つ闇金業者の対応は容易ではありません。そのため、闇金トラブルを相談する際は、闇金対応の実績を複数持つ法律家に依頼するようにしましょう。

商売をたたむことは恥ではない

経営者が闇金に手を出す心理には、「商売を潰したら恥ずかしい」というものがあるのではないでしょうか。
しかし、闇金に出さなければいけない時点で、事業を継続する道は実質的に絶たれているといえます。
ピンチを闇金のおかげで乗り切り、商売を再び軌道に乗せるというストーリーを描きたくなるかもしれませんが、現実的には難しい場合が多いです。

会社を畳むことは、決して恥ではありません。冷静さを失わずに、的確に判断し、行動することが重要です。

まとめ

今回は、闇金と事業資金と闇商工ローンの現状について、経営者が闇金から借り入れないための方法と借りてしまった時の対処方法などについて説明しました。

「あと数日を乗り切ればショートしなくて済む」という状況にある経営者は、闇金にでも縋りたくなるかもしれません。しかし、ピンチの時ほど冷静に考えましょう。闇金しか頼る場所がないという時点で、事業の継続は絶望的な状況なのです。
傷が浅いうちに、事業の縮小か廃業の決断をすることをおすすめします。
会社を畳んでも、人生は終わりませんし、新たに事業を始めることも可能です。

既に闇金業者を利用してしまった場合、早急に法律の専門家に相談するようにしましょう。