奨学返還のために闇金を利用⁉流れと対処法を解説
新型コロナウィルスの流行の影響もあり、昨今、奨学金返済に行き詰る方は少なくないといわれています。返済が難しくなった方の中には、滞納を避けるためや無理な返済によって資金不足に陥るなどして、最終的に違法な闇金を利用してしまう方もいらっしゃるようです。
今回は、奨学金返済が行き詰まる理由と、奨学金返済のために闇金を利用する流れ、奨学金返済のために闇金を利用した事例、奨学金が返せない時の対処法について説明します。
目次
奨学金返済が難しくなる理由
バブル崩壊後の長期に渡る不況により、親世代の経済状況も芳しくないため、奨学金を利用する学生は大学生全体の約30%を超えるというデータもあります。
しかし、在学中ずっと奨学金を受給した場合、その総額は新社会人になったばかりの若者が抱える負債としてはかなり高額になります。また、前年からの新型コロナウィルスの流行のような不測の事態により、返済に行き詰るケースは少なくありません。
以下では、奨学金返済が難しくなる主な理由について説明します。
日本の奨学金の多くが貸与型
奨学金は給付型と貸与型の2種類が存在します。給付型奨学金は返済の必要がありませんが、貸与型の奨学金は卒業後に返済していく必要があります。
給付型は返済しなくて良い一方で、審査が厳しく定員も少ないため、現在日本で奨学金を受給している方の大半は貸与型であるといわれています。
また、貸与型にも有利子のタイプと無利子のタイプに分けられます。受給者側としては返済時の負担が軽い無利子のタイプを受給したいのが本音でしょうが、無利子のタイプは有利子のものに比べ条件が厳しいため、有利子タイプを選択せざるを得ない方が多いようです。
卒業して間もなく返済が始まる
貸与型の奨学金の場合、貸与終了の7か月後から返済が始まります。つまり、最後の貸与が3月だったとすると、10月に初回の返済をしなければいけないということになります。
順調に就職できた場合でも、1年目の給料はそれほど余裕があるとは思えませんので、奨学金の返済はそれなりの負担になると推測できます。
見積もりの甘さが原因
返済が行き詰まる要因の一つとして、見積りの甘さが挙げられます。就職すれば給料が毎月出るのだから、奨学金の返済くらい余裕だろうと考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、例えば額面給与が20万だったとすると、税金や社会保険料などを差し引いた手取りは大体15~17万程度になります。奨学金の返済額は平均月17000円程ですので、手取りの約1割に当たります。これが返済終了まで毎月続くわけですから、少ない負担ではないでしょう。
こうした見通しの甘さと厳しい現実のギャップから、奨学金の返済が難しいという事態に陥ってしまうのです。
思ったような就職ができなかった
もし就職が上手くいかなかった場合、奨学金返済はさらに困難になるでしょう。想定していたより収入が少なければ、返済の負担は大きくなります。
就職ができずにアルバイトとなれば、さらに厳しくなります。
就職が上手くいかなかったのは本人の責任だろう、と思われるかもしれませんが、中には本人にはどうしようもできないケースもあります。
新型コロナのような不測の事態も
2008年のリーマンショックや2020年度からの新型コロナウィルスの流行のように、予測不能な要因によって急激に企業の業績が悪化し、予定されていた採用が控えられるというケースもあります。
実際にコロナ禍の影響によって、内定の取り消しになった方は大勢いらっしゃいます。2019年度までは、比較的景気も上向きで新卒の内定率も好調だっただけに、想定外の事態にショックを受けた学生も多いことでしょう。
働きながら奨学金の返済を順調にしていた方の中にも、コロナ禍で収入が減少することや、勤めていた会社が倒産するなどして、返済が難しくなってしまった方も少なくないそうです。
家庭の事情で進学が難しい時に奨学金は助けになる制度ではありますが、思ったような就職ができなかった場合や、不測の事態が起きた場合などは、返還が難しくなることもあるため、利用の際には注意が必要です。
奨学金の返済のために闇金を利用する流れ
前章で説明したように、奨学金の返済は難しくなってしまうことがあります。そうした場合、闇金に手を出してしまう方も存在するといわれています。
なぜ、奨学金返済のために闇金利用をしてしまうのでしょうか。以下では、奨学金返済のために闇金利用に至る流れについて説明します。
奨学金の督促は厳しい
奨学金を滞納した場合、通常の借金と同様に督促が来るようになります。この奨学金の督促は電話や郵送によって行われますが、消費者金融などの督促に比べても厳しいといった意見も聞かれます。
滞納時には保証人に連絡が行く
奨学金の申請の際には、連帯保証人と保証人を立てる必要があります。もし滞納すればこの連帯保証人・保証人へ連絡が行くことになります。保証人に連絡が行って、心配や迷惑をかけることは避けたいと考える方は多いのではないでしょうか。
信用情報に滞納記録が残る
奨学金は総量規制(収入の3分の1以上の借入ができない)の対象外ですので、返還中でも他の借入に影響が出ることは通常ありません。しかし、もし2カ月以上滞納した場合、延滞記録は信用情報に記録されることになります。
正規の貸金業者の審査に落ちる
信用情報に延滞記録が残るため、資金が必要になり借入をしようとしても、融資の審査に通りにくくなるケースがあります。さらに、一社の融資審査に落ちてすぐに他の貸金業者の審査を受けると、直前に融資審査を受けたという履歴が残っているため、通りにくい傾向にあります。収入や他の借入状況にもよるでしょうが、奨学金の延滞履歴があるために、必要な資金が調達できないという事態に陥る可能性があるのです。
闇金利用に走る方も
必要な時に正規の貸金業者が利用できなかったために、仕方なく闇金利用に走る方も存在するといわれています。
また、奨学金の返済に追われ、常日頃から生活資金が不足し、恒常的にカードローンなどを利用しているうちに総量規制に達し、闇金に手を出すというパターンもあるようです。
奨学金の返済のため闇金を利用した事例
前章では奨学金の返済が元で、闇金を利用する流れについて説明しましたが、「本当に奨学金返済のために闇金を利用する人などいるのだろうか?」と、疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
大手Q&A掲示板を参照すると、以下のような投稿が掲載されていました。
2020年頃3月頃、旦那が闇金に借金していたことが判明したという内容の投稿です。
投稿者の夫は、奨学金の返済に追われた結果闇金を利用していたそうです。借金の総額は当初、50万という話でしたが、詳しく聞くとさらにあるようだとのこと。50万借りた上で、金利がかかるという話のようです。
「積み立てを解約してでも返済した方が良いか?」という投稿者の問いに対し、回答者からは以下のような意見が寄せられていました。
- 奨学金の返済だけで闇金を利用するなどあり得ない
- 法律の専門家に相談するべき
回答者がいうように、奨学金の返済だけで闇金を利用するケースは少ないかもしれませんが、他の要因が重なるとあり得ない話ではないでしょう。闇金を利用した場合は、法律の専門家に相談することで借金問題を解決することが可能です。闇金との契約はほとんどの場合、法的には無効であるため、返済の必要はなくなります。
ただ、奨学金の返還が終わっていない場合や、他の正規の貸金業者からの借入がある場合は、また別の問題となります。
参考記事:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13222071353?__ysp=5aWo5a2m6YeR44CA6ZeH6YeR
奨学金が返せない時の対処法
奨学金が返せない状況に陥った場合、主な対処法として以下の3つの方法があります。
返還期限猶予制度や減額返還制度を利用する
災害・傷病・経済困難・失業等によって奨学金の返済が難しい時、日本学生支援機構の奨学金の場合、返還期限猶予制度や減額返済制度を利用することが可能です。
- 返還期限猶予制度:一定期間、返還期限を延期する(最大10年)
- 減額返還制度:月々の返還金額を減額する(1回の願出で最大15年まで延長可)
返還期限猶予制度も減額返還制度も、現時点での奨学金返済の負担をなくす・軽減することは可能ですが、返還すべき元本や利子が免除されるわけではありません。
詳しい手続き方法などは、以下のサイトを参照してください。
参考サイト:返還が難しい時(日本学生支援機構)
返還免除制度もあるが条件は厳しい
奨学金の返還が免除されるケースというのも存在しますが、条件は非常に厳しいといえます。
まず、大学院において優秀な成績を収めた場合、奨学金の返済が全額もしくは半額免除される「特に優れた業績による返還免除制度」があります。ただし、これは大学院を卒業する前に申請しなければいけません。
他に返還免除が認められるケースとしては「受給者が死亡した場合」と、「精神もしくは身体の障害によって労働能力を喪失した場合」に限られるため、ほとんどの方は返還免除制度で奨学金の返還から逃れることはできないでしょう。
どうしても返済できない時は債務整理を
奨学金がどうしても返済できないという場合は、債務整理を行うという手段もあります。債務整理を行うことで、奨学金についても返済額を減額、もしくは返済する必要はなくなります。
ただし、奨学金の場合、申請時に連帯保証人・保証人を立てているため、債務整理を行った場合、連帯保証人・保証人の元に請求が行くことになりますので、注意が必要です。
まとめ
今回は、奨学金返済が難しくなる理由、奨学金の返済のために闇金を利用する流れ、奨学金の返済のため闇金を利用した事例、奨学金が返せない時の対処法などについて説明しました。
昨年からの新型コロナウィルスの影響により、奨学金返済が難しいという状況に追い込まれている方は少なくないのではないでしょうか。奨学金の返済が難しい時は、まずは返還期限猶予制度や減額返還制度を利用し、闇金を利用することは絶対に止めましょう。
もしすでに闇金を利用してしまったという方は、早急に闇金対応を得意とした法律の専門家に相談することをおすすめします。
我々ジェネシスWESTは、借金問題に詳しい司法書士と元警察官がタッグを組んで闇金トラブルを解決する司法書士事務所です。年中無休で迅速に対応しますので、奨学金返済のために闇金を利用してしまったという方は、一人で悩まずにぜひお気軽にご相談ください。