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年金担保金融とは?闇金の悪質な手口や被害事例、高齢者の対処法

闇金の手口
年金担保金融とは?闇金の悪質な手口や被害事例、高齢者の対処法

「治療や手術のために年金でお金を借りたい」
「年金担保金融の仕組みや被害事例が気になる」

定年退職した後に受け取れる年金を担保に、お金を融資する手法が年金担保金融です。最近は闇金業者が高齢者をターゲットにして、違法な年金担保金融を営むケースが増えています。

悪徳業者に引っかかって年金を失わないためには、詐欺の手口や防ぎ方を知っておくことが重要です。本記事では違法な年金担保金融の特徴や被害事例、対処法について解説します。

闇金業者による年金担保金融詐欺の手口

年金担保金融詐欺とは闇金業者が高齢者をターゲットにした違法な融資です。年金を担保に法定よりも高い金利でお金を融資して、年金生活者から高額な利息を徴収するのが業者の目的。

過去には違法な年金担保融資が大きな社会問題となり、2004年には違法年金担保融資対策法が成立しました。一方、未だに年金を狙う違法業者は残っていて、被害にあう高齢者は少なくありません。

どのような手口で高齢者からお金をたかるのか、闇金業者による年金担保金融詐欺の手口を詳しく見てみましょう。

年金生活者に融資を勧誘

まず、闇金業者は融資を希望する人を集客するために、高齢者の多い地域や施設にチラシやビラで宣伝します。「70歳以上でもOK」「老後の生活をサポート」などの謳い文句で高齢者を勧誘。

年金生活者は毎月の収入が少なく、家電の故障や病気など突然の出費に対応できない場合があります。そして、まとまったお金を必要とする高齢者が闇金に電話で申し込んでしまうのです。

利用者から通帳や印鑑を徴収

融資を希望する年金生活者からの連絡がきたら、闇金業者は指定した場所で利用者と面会します。そして利用者から名前や住所などの個人情報を聞き出し、融資して問題ないか判断。

また、融資した資金とその利息を回収するために、次のような物を利用者から徴収します。

  • キャッシュカード
  • 通帳
  • 印鑑
  • 年金手帳

もちろん、年金の受給権利を奪うのは法律違反であり、正規の貸金業者が通帳や印鑑を要求することはありません。

闇金業者は、利用者が借金の返済から逃れることを防ぐため、必要な情報や物品を受け取ってから利用者にお金を融資します。

法外に高い金利で利息を徴収

闇金業者は違法な金利を設定していることが多く、年100%以上の利息を徴収するパターンが多いです。一般的に自動引き落としで高額な利息を徴収して、業者は融資による利益を受け取ります。

また、業者によっては利用者の口座にあるお金を勝手に引き出して、手数料という名目で徴収する場合もあること。

通帳や印鑑を奪われている以上、利用者が業者から預金を守るのは難しいです。

年金担保金融による被害・逮捕事例

「年金担保融資によるトラブルや逮捕事例を知りたい」と思う人は多くいるでしょう。インターネットの質問サイトを無料で使える今では、さまざまな人が年金担保金融のトラブルについて相談しています。

また、対策法が成立してからは警察による摘発が厳しくなり、ニュースサイトなどで闇金業者が逮捕された記事が掲載されているもの。

違法な悪徳業者に引っかかりたくない人が見ておくべき年金担保金融の被害・逮捕事例は次の3つです。

75歳の父が通帳とカードを渡す

2013年12月頃、「75歳になる父親が闇金と関わってしまった人の体験談」です。この体験者の父親は闇金業者と年金担保融資という契約を結び、高い金利でお金を借りてしまいました。

また、年金が振り込まれる銀行通帳とキャッシュカードを業者に渡してしまい、お金のない状況下で生活し続けていたのです。体験者は闇金との問題を解決するために質問サイトで相談。

そして「年金が振り込まれる銀行を変更したほうが良い」という回答を体験者はベストアンサーにしました。実際に年金事務所へ連絡して、父親の年金振込口座を変更したことが推測できます。

たとえ闇金業者に通帳やカードを渡してしまっても、振込口座の変更により年金を取り戻すことは可能です。もし、年金を受給できなくて困っている人は年金事務所に相談しましょう。

参考:https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11117962561?__ysp=6ZeH6YeR44CA5bm06YeR5ouF5L%2Bd

利用者に約3億円を貸し付け

2016年11月頃、兵庫県警は無登録の貸金業を営んだ一般財団法人の理事長を逮捕しました。摘発された財団法人では2014年8月から生活保護や年金を受給する男性3人に合計61万円を融資していたのです。

そして利用者から集めた銀行口座の通帳やキャッシュカード、印鑑を使って理事長は口座を管理。一部の利用者には住居や食事などを斡旋して、生活費や利息を天引きした残金を引き渡していました。

逮捕された理事長は「助けてあげただけで貸し付けてはいない」と主張して容疑を否認しています。経済的に立場の弱い人々を相手にして、利益を不当に得るのも悪質業者の特徴です。

参考:https://www.sankei.com/west/news/161108/wst1611080014-n1.html

スポーツ新聞の広告で勧誘

2017年6月頃、大阪府警は超高金利による出資法違反で韓国籍の男性2人を逮捕しました。逮捕された韓国人は大阪市中央区にある雑居ビルで古物商を装いながら闇金業を営んでいたのです。

そしてスポーツ新聞などの広告で融資を勧誘し、年金生活者や生活保護受給者に資金を融資。お金を貸し付ける際に担保として利用者から通帳やキャッシュカードを預かっていました。

実際に堺市内に住む高齢者2人に合計78万円を融資して、法定金利の7倍以上となる利息を徴収していたのです。新聞に広告を出している業者であっても、信頼できるとは限りません。

参考:https://www.sankei.com/west/news/170622/wst1706220063-n1.html

年金担保金融で闇金を避けるには

闇金による年金担保融資は悪質であり、引っかかると年金だけでなく資産を失うリスクがあります。

年金生活者が違法な闇金業者を避けるには、以下にある4つの方法を参考にしましょう。

  1. 福祉医療機構で融資を申し込む
  2. 登録業者であるのか確認する
  3. 生活福祉資金貸付制度を利用する
  4. カードローンを申し込む

それぞれの方法について詳しく解説します。

福祉医療機構で融資を申し込む

2020年現在、独立行政法人福祉医療機構以外による年金担保融資は違法となっています。従来では街金が年金担保融資を担うことがありましたが、今では消費者金融すら年金を担保にはできません。

もし高齢者が年金を担保にしてお金を借りたいときは、福祉医療機構による「年金担保貸付融資のごあんない」を参考にしましょう。

実際に年金担保貸付を利用する流れは以下の通りです。

  1. 福祉医療機構年金貸付課または取扱金融機関に相談
  2. 借入申込に必要な書類を作成して取扱金融機関で手続き
  3. 福祉医療機構により最大5週間の審査
  4. 取扱金融機関から審査結果や融資実行日を申込者本人に連絡
  5. 融資実行日に申込者が指定した預金口座に振込

そして融資が実行された後は申込者に支給される年金を福祉医療機構が受領して、返済額を差し引いてから申込者に返済余剰金を振り込みます。

定年退職をして年金を受給している人は、まず福祉医療機構の年金担保貸付を検討しましょう。

参考:https://www.wam.go.jp/hp/nenkin-nenkin-tabid-263/

登録業者であるのか確認する

一部の闇金業者は「福祉医療機構の手続きを手伝う」という謳い文句で年金生活者を勧誘する場合があります。もし怪しい業者から勧誘されたときは、正規の登録業者であるのか確認しましょう。

業者に住所や固定の電話番号、登録番号を聞くことで国・都道府県に登録された正規業者であるのかチェックできます。

もし登録番号などがチラシやホームページに掲載されているときは、登録貸金業者情報検索サービスで検索することがオススメです。検索しても出てこなければ、確認した業者が違法であることが分かります。

参考:https://www.fsa.go.jp/ordinary/kensaku/

生活福祉資金貸付制度を利用する

全国社会福祉協議会では高齢者の生活を支えるために、生活福祉資金貸付制度を提供しています。65歳以上の高齢者が属する世帯であれば、生活福祉資金を申し込むことが可能です。

連帯保証人がいる場合は無利子となり、借りたお金に利息が発生しないメリットがあります。また、連帯保証人がいない場合でも金利は年1.5%と低く、利用者の返済負担は少なめです。

お近くの市区町村社会福祉協議会に相談することで、生活福祉資金の貸付を申し込めます。借入希望者の状況に応じて、生活困窮者自立支援制度と連携した支援を受けることも可能です。

カードローンを申し込む

年金担保貸付や生活福祉資金制度の審査に通らなかったときは、銀行のカードローンに申込みましょう。70歳以下であれば年齢制限の問題が少なく、スムーズにお金を借りられます。

銀行や消費者金融からお金を借りるときは、手続きのときに違和感がないか注意することが重要です。

例えば通帳や印鑑を要求してくる業者の場合、闇金である可能性があります。

上記で紹介した「登録貸金業者情報検索サービス」を活用しつつ、カードローンを申し込むことがオススメです。

闇金業者の年金担保金融詐欺被害にあった場合の対処法

「年金担保融資詐欺にあって通帳を渡してしまった」
「キャッシュカードや印鑑がなくて年金を受け取れない」

もし闇金業者の年金担保金融詐欺に騙されたときは、落ち着いて信頼できる専門家に相談することが重要です。年金生活者が頼れる相談先として法律事務所と警察の2つがあります。

法律事務所に相談する

法律事務所では闇金や高利貸しなど違法業者に対処できる専門家が多数在籍しています。違法な年金担保融資を申し込んでしまったら、まずは法律事務所に相談することがオススメです。

闇金業者に強い法律事務所に問題解決を依頼することで、あなたの年金を取り戻せるのがメリット。場合によっては金融機関と連携して、闇金が利用している銀行口座を凍結することもできます。

被害にあったら警察に通報

一部の闇金は高齢者が反発しないよう、自宅に訪問して恫喝したりや暴力をふるったりする可能性があります。もし違法業者から直接被害を受けたときは、すぐに警察へ通報しましょう。

暴言や暴力などの被害があれば警察が対応してくれて、悪質な業者を摘発してくれる場合があります。また、警察や警備会社に自宅付近を監視してもらい、身の安全を守ることも可能です。

まとめ

特定の金融機関以外による年金担保融資は違法であり、年金担保金融詐欺により騙される高齢者は少なくないです。闇金業者が通帳や印鑑を受け取り、高額な利息を徴収する事例は少なくありません。

違法な年金担保貸付に引っかからないために、登録貸金業者検索サービスや法律事務所を活用しましょう。